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    tsushino_es

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    やまさく/えんさく
    WB 棪堂哉真斗×桜遥

    棪堂が桜を2週間かけて堕とす話の3日目です。


    ❤caution!!
    ・デロデロ激甘変態気味の棪堂哉真斗しかいません
    ・流され絆されちゃう桜遥しかいません
    ・色々捏造しています
    ・なんでも許せる方向けです

    桜遥が棪堂哉真斗に堕ちるまで - Day03 - ~ 2 weeks love progress ~■3日目 接吻下記のストーリーを埋めていく予定です。
    ※更新頻度とは連動していません
    ■ 1日目 来訪 ※公開済み
    ■ 2日目 烹炊 ※公開済み
    ■ 3日目 接吻 ※この話
    □ 4日目 呼名
    □ 5日目 寝顔
    □ 6日目 逢瀬
    □ 7日目 未足
    □ 8-10日目 空白
    □11日目 残声
    □12日目 悋気
    □13日目 初夜
    □14日目 後朝

    ■3日目 接吻
     棪堂哉真斗が桜遥の家を訊ねて来るのも、3日目になっていた。
     今日は桜の方が先に帰っていて、シャワーを浴びている最中に棪堂がやって来たのだ。
     ユニットバスは玄関の横にある為、ドンドンドンと玄関ドアが叩かれた音には気付いたが、シャワー中だったため、桜は普通に無視をした。
    「桜ぁ?」
     棪堂の呼ぶ声が聞こえたが、当然返答はしない。
     桜にしてみれば、昨日既に勝手に上がられているから、入って来るなら入って来るでいいし、逆に諦めて帰るなら、それはそれで困らないからだ。
    「お邪魔しま~す」
     棪堂は前者を選んだようで、勝手に玄関を開け入って来たようだ。
    「あぁ、風呂か」
     シャワーの音で察したらしい棪堂の声が聞こえて来たが、やはり桜は自分のペースで身体を洗いシャワーを終えた。
     閉めたトイレの蓋の上に置いておいたタオルで身体を拭き、同じく用意していたボクサーパンツとTシャツを着て、ユニットバスの扉を開けると、台所の流しの前に居た棪堂が振り返った。
    「勝手に上がっ…!」
     桜はユニットバスから出ながら、無断で家に上がり込んで居た棪堂に抗議をしようと文句を口にしたところで、拭き上げが完全じゃなかったらしい足裏に付着していた水分のせいでバランスを崩して前のめりになった。
    「!」
     ユニットバスの出入り口は台所よりも一段高くなっていて、反射的に腕を伸ばした棪堂に向かって落下するように頭が下がる。
     ガツンと音がして額同士がぶつかったと思ったら、その痛みを感じるより先に、桜の唇に柔らかい感触が生まれた。
     至近距離にある棪堂の顔は、驚きながらも桜の身体を支え、桜は桜で反射的に棪堂の首にしがみつく形になっていた。
     そして触れ合った唇 ────。
    「~っ!!!」
     桜は慌てて棪堂の肩に手を掛けて、突っぱねるように顔同士の距離を取る。
     唐突な事に驚いた桜と同様、目の前の棪堂の顔も驚きに目が見開かれていた。
     遅れてやってきた額の痛みに我に返った桜は、自分の額をさすりながら、ほんのり赤くなった棪堂の額を見て状況を把握する。
     転びそうになった桜を、棪堂が支えて助けてくれたのだ。
     その際に額同士がぶつかり、そのついでのように唇同士が触れ合ってしまったが、間違いなく事故だろう。
    「……悪ぃ」
     ぶつかってしまった原因は桜にあるのだから、まずはそのことを謝った。
     唇同士が触れ合ってしまったのも一瞬だったし、キスをしてしまったと桜が意識するほど、棪堂は気にしていないかも知れない。
    「大丈夫か?」
     過去にあれだけの殴り合いをしておいて、今更額がぶつかった程度で大丈夫も何もある訳ないとは思ったが、棪堂の気遣いにコクリと頷いた。
     桜が自分できちんと立ったのを見届けると、棪堂は桜からパッと手を離し、替わりに流しの横に置いていた大皿を手に取って桜に見せて来た。
     当然、その皿にも見覚えが無く、棪堂が持ち込んだものであろう。
    「今日の晩飯はミックスフライだぞ」
     桜は、キスの事を揶揄われる、もしくは大袈裟にネタにされると思っていたのだが、予想外に棪堂がスルーしたことに、少し拍子抜けした気持ちになった。
     もちろん揶揄われたりしたい訳ではないが、棪堂に対して、こういったことを茶化すだろうと思っていたので、なんとなく偏見を持ってしまっていたことに居心地の悪い気持ちになった。


     棪堂が宣言した通り、棪堂が持ち込んだ大皿の上には、千切りにしたキャベツと、エビフライにコロッケに唐揚げといった、定番の揚げ物が載っていて、見ているだけで食欲が刺激された。
     座卓的なものが無いのも判っているからか、四つ折りの新聞紙を畳の上に敷いて、そこに大皿を下ろす。
     その後も棪堂はテキパキと、持って来た弁当箱を開けたり、水筒より太めの魔法瓶から味噌汁を出して椀に移したりして、あっという間に食事の準備を整えた。
    「これがタルタルで、こっちがソースと醤油」
     言いながら、調味料も手際よく桜の前に並べる。
     弁当箱の中には炊かれた白米が入っていて、カリカリの梅干しが真ん中に載っていた。
     どうみても買って来たものではないそれらに、桜は小さく息を飲んだ。
    「なぁ」
     桜が声を掛けたため、桜の前に箸を置こうとしていた棪堂の手が止まる。
    「ん?」
    「これ、手作りなのか?」
     止まっていた棪堂の手が動きだし、桜の前の椀の上に箸を置くと、そのまま★のタトゥーは自分の方へと戻っていった。
    「ああ、全部オレの手作り」
     得意気な顔でもしているかと思ったが、予想に反して棪堂の表情は口元が微笑みを象っている程度だった。
     桜は単純に、これだけの物を作れることが凄いなと思ったのだが、意図せずネガティブな発言に聞こえたのかも知れないと、すぐに気が付いた。
    「手作り苦手、とかじゃ無ぇよな?」
     こちらを伺うような棪堂の声に、桜は首を横に振る。
    「気にしねぇ、つーか、こんだけ作れて凄ぇな……」
     素直な気持ちを吐露すれば、棪堂の表情も、いささか緩んだような気がした。
    「作り方の動画見ながら作ってっから、大したことねぇよ」
    「ここん家調理器具ねぇから、家で作って持って来た方が早ぇなって思ってな」
     訊いていないことも語り始め、いつもの棪堂の調子に戻ったようで、桜は少し安堵しながら「いただきます」と手を合わせた。


     空腹だった胃袋が落ち着くと、桜は食べるペースを緩めた。
    「お前、風鈴の伝説って言われてるらしいけど何でだ?」
     エビフライを食べたことで、初めて出会った日の事を思い出した桜は、何とは無しに訊ねてみる。
    「ケンカだったら、梅宮とか焚石だって強かったんだろ?」
     そう、『伝説』が何を指しているかは判らなかったが、『風鈴の』と、言うのであれば間違いなく強さだろう。
     しかし、現役で総代を張っている梅宮や、『歴代最強』という呼び名のある焚石がいるのに、棪堂が『伝説』と言われる所以が判らなかったのだ。
    「あぁ、それな~」
     棪堂は思い出しながら笑ってしまっているようで、あの夜と同じように「照れるな」と表情を崩していた。
    「風鈴って、偏差値最底辺って言われてんじゃん」
     ケンカでテッペンを決める風鈴は、ごく当然のように学力レベルが低く、「名前が書ければ入学できる」と言われていた。
     だからこそ桜も、気軽に受験できたのだ。
    「あの制服着てるだけで、何処に行ってもバカ扱いされるからよぉ」
    「それまで、神童だの天才だのカリスマだの言われて来たオレが、急にバカ扱いされてムカついたんだよなぁ」
     これまでそんな風に周りに言われてきたのかと、桜は少し呆れたように思ったが、口を挟まずに棪堂が語るのを聞いていた。
    「だから、有名どころの予備校の模試で、全部全国1位取ってやったんだよ」
    「……は?」
     口を挟まないでおこうと思ったのも束の間、想像していなかった棪堂の話に、思わず声を上げてしまった。
     桜は熱心に勉強に取り組んでいる訳ではないが、模試で全国1位がどれ程凄いことかは判るつもりだ。
    「そしたらなんか、伝説って呼ばれるようになったんだよな」
     棪堂は大したことではないというようにヘラりと笑う。
    「しかも最底辺の風鈴生が、最高峰の大学なんか受かった日にはニュースなわけよ」
    「そのせいで、金払うからうちの予備校入ってくれって何件も誘われたわ」
     滔々と喋る棪堂に、いちいち相槌は入れないが、疑問が浮かぶと反射的に口にしてしまう。
    「なんで、予備校に誘われるんだ?」
     桜には、棪堂の言っている内容は判るのだが、理由が全く判らなかった。
     既に勉強が出来るなら、わざわざ予備校に入る必要など無いだろう。
    「予備校が箔をつけたいんだよ」
    「ハク?」
    「『偏差値最底辺の風鈴生が、うちの予備校に通って難関大学に受かりました』って箔」
    「なんだそれ……」
     意味が判らなかった。
     既に学力十分な生徒を、金の力で自分たちの手柄に見せるようなものだろうか。
    「ほんと、大人ってバカばっかだよなぁ」
     カラカラと笑う棪堂は、恐らくその全ての誘いに乗らなかったのだろう。
     そもそも1年の終わりには風鈴も中退しているし、大学進学なんかも毛ほども興味が無さそうだ。
    「つうか、お前、そんなに頭いいのかよ」
     桜の問いに、棪堂はニヤリと口元を歪める。
    「勉強、教えてやろうか?」
    「中退したやつに教えられるのか?」
    「教科書あれば、全然余裕だけど」
     本当に余裕そうな棪堂に、桜は何だか可笑しくなって思わず苦笑した。


     今日の晩飯は紙皿ではなく陶器の食器を使用していたので、食器を洗うという工程が発生したのだが、棪堂は食器洗い用のスポンジに洗剤、拭き上げ用の布巾まで用意していた。
     さすがに食器を洗うセットくらいはあるのだが、普段使わないせいで流し台の下に仕舞っていたため、気付かれなかったのだろう。
     棪堂は使用していた食器類を洗って拭くと、和室に移動して持って来たトートバッグに丁寧に仕舞った。
     意外と几帳面な棪堂の行動を、桜は座って眺めていた。
     すると、帰り支度を終えた棪堂が、らしくなく、じっと桜を物言いたげに見詰めた後に、おもむろに口を開いた。
    「……なぁ、もっかいキスしていい?」
     唐突な棪堂の言葉に、桜は一瞬何を言われているのか判らなかった。
     キス、は判る。
     先ほどユニットバスから出るときに、うっかり滑って唇同士がぶつかってしまったことを指しているのだろう。
     その時には何も言わずにスルーしたくせに、今さら思い出させるように言い出すなんて性格が悪いと思いながらも、『もっかい』つまりは『もう一回』に首を傾げた。
    「もっかいって何だよ。さっきのは事故でカウントに入らねぇだろ」
     割合冷静に返答したからか、棪堂は少し意外だというような表情を見せた後、にぃっと目を細めた。
    「そう、だからもう一回、ファーストキスを仕切り直そうぜ」
     『ファーストキス』という言葉に、桜の頬は熱くなる。
     あれをキスだというのなら、確かに桜は初めてだった。
     しかし、自分の中では事故で済ませているのだ。
     キスのカウントに入れる必要はなく、であればファーストキスでも何でもない。
     と、そこまで考えて、実は棪堂自身のことなのでは?と思考が進む。
    「お、お前、初めてだったのか!?」
     自分の思考の到達点に驚いてしまった桜の言葉に、棪堂はぽかんと間抜けな顔をした。
    「……いやいやいやいや、オレじゃねぇよ」
     間抜けな顔をしていた棪堂は、我に返って顔の前で手をパタパタと振ると、ニヤリとイヤらしい笑顔を浮かべた。
    「桜は、初めてだったんだろ?」
    「~~~っ!!」
     図星を指されて、一気に頬が熱くなった。
     『キスのカウントには入れない』と自分で自分に言い聞かせても、唇同士が触れ合ってしまった事実は変えられず、桜は意識してしまったのだ。
     そんな桜の様子を見ていた棪堂の表情は穏やかなものになっていて、目の前に顔が近付いて来て瞳を覗き込まれた。
    「本当に、綺麗だな……」
     熱をたっぷりと含んだストレートな言葉に、頬だけじゃなく顔中が熱くなり、頭から蒸気が吹き出しそうになった。
    「な、な、な……!!!」
     額をコツンと当てられると、深い海のような棪堂の眼差しが、ほぼゼロ距離で注ぎこまれる。
    「オレはこの目に惚れたんだ」
     ストレートで熱烈な告白に、桜は口を開けたり閉じたりしながら、言葉を紡げずに居た。
     なんの反応も出来ずにいると、棪堂の鼻先が自分の鼻に触れ、それから間もなく唇に柔らかい熱が生まれた。
     10秒ほど、そのまま停止していると、「ちゅ」っとリップ音を残して棪堂の唇は離れて行った。
    「!!!!」
     余りの出来事に固まっていると、棪堂の指先が桜の頬に触れて、愛しそうに耳の後ろまで撫でていく。
    「今日はこれで退散するな」
     立ち上がった棪堂は桜の頭を一撫でしただけで、名残も余韻も何も残さずに部屋を出ていった。
     桜は暫く固まったまま、棪堂が出て行ったガラスが嵌め込まれた引き戸をぼんやりと視界に入れていた。

            ◆3日目 終了◆
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    👏😭💖👏👏😭💖💞💘
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    tsushino_es

    DOODLE付き合ってる棪堂と桜の桜君が、付き合って暫く経ってから夜中になると初期桜になって、棪堂と交流する話です。
    書きたいところだけ書いてます。

    ❤caution!!
    ・デロデロ激甘の棪堂哉真斗しかいません
    ・流され絆されちゃう桜遥しかいません
    ・キャラブック設定資料の初期桜が出てきます
    ・色々捏造しています
    ・なんでも許せる方向けです
    桜と初期桜が入れ替わったりする話。2.



    「桜遥さん! 好きです! 付き合ってください!」



     桜遥が住んでいるアパートの階段下で、棪堂哉真斗は本人が降りてくるのを数時間前から待っていた。
     そして、降りて来た桜が目の前に来ると、膝を付いて一輪の薔薇の花を差し出し、プロポーズのように告白をしたのだ。

    「はっ!? なっ! ばっ……!!!」

     突然のことに驚いた桜が、後へぴょんと飛び退る。
     その顔は真っ赤になっていて、全く歯牙にも掛けられていないわけじゃないことに、棪堂は少しホッとした。




     桜に告白したのは、もう両手でも数え切れない回数になっていた。

     最初の告白は初めて茶しばきに行った際に、軽いノリで「オレと付き合わねぇ?」と訊いてみた。
     すると桜は、少し頬を赤らめながらも「お前は誰にでもそんなことを言ってそうだ」と流されてしまった。
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    tsushino_es

    DOODLE付き合ってる棪堂と桜の桜君が、付き合って暫く経ってから夜中になると初期桜になって、棪堂と交流する話です。
    つづきます。
    書きたいところだけ書いてます。


    ❤caution!!
    ・デロデロ激甘の棪堂哉真斗しかいません
    ・流され絆されちゃう桜遥しかいません
    ・キャラブックの初期桜が出てきます
    ・色々捏造しています
    ・なんでも許せる方向けです
    桜と初期桜が入れ替わったりする話。1.







     その夜の月が酷く美しかったことを、棪堂哉真斗はいつだって昨日のように思い出すだろう。











     腕の中の温もりがモゾモゾと動いて消えた感覚で、棪堂哉真斗は目を覚ました。
     見慣れた自室の天井付近の壁に視線を投げれば、秒針を刻まないスイープ式の時計が深夜二時を指している。
     日付が変わるくらいまで散々喘がせて、ぐったりと疲れ切って眠ったはずの腕の中の恋人が、思ったよりも早く動き始めたことを少し意外に思いながら、棪堂は上半身を少し起こして恋人 ── 桜遥の姿を探した。
     桜の体力があることは知っている。初めてセックスした訳でもなければ、初めて自室に連れて来たわけでもない。
     そのため、水を飲みたいとか、トイレに行きたいとか、そういった生理現象で動き回るのに棪堂への確認は必要ない。
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