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    kazura12_R

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    ハグするブラオス

    「オスカー、少しこちらに来てくれないか」
    「なんでしょうか、ブラッドさま」
     自室のベッドに腰を下ろしたブラッドに近寄ると「もう少し近くに、もう少し」と指示され、戸惑いながらも言われた通りの場所まで距離を詰める。
     主を見下ろす形になってしまい、これは自分が膝をつくべきかと思考を巡らせた瞬間ブラッドの長い腕が腰に巻きつきグッと引き寄せられた。
    「ブ、ブラッドさま⁉」
     予想外の行動に硬直して動けずにいると、オスカーの腹部に顔を埋めたブラッドはゆっくりと深く息を吐きだした。
    「ハグをするとストレスが解消されると知っているか? 副交感神経が優位になり心身ともにリラックスした状態になるそうだ」
    「さすがブラッドさま、博識ですね。……それで、あの、これは」
     今の話しとブラッドの行動の意図が理解できずどうしたものかと頭を悩ませていると回されていた腕に力が入り、そのまま身体を引かれ体勢が崩れた。
     突然の出来事であったが間一髪で身体を捻り、オスカーはブラッド横に倒れ込んだ。
    「ブラッドさま! お怪我はありませんか⁉︎」
    「これくらいで怪我をするはずがないだろ。それに元はと言えば俺がお前を無理矢理引っ張ったんだぞ」
    「それはそうですが……あっ、すみません、ブラッドさまのベッドに」
     ベッドから降りようと勢いよく起き上がったが、何故かブラッドに阻止されてしまった。
    「ブラッドさま?」
    「オスカー、さっき俺が言った事を覚えているか?」
    「……ハグをするとストレスが解消される話しですか?」
    「ああ」
     横になったままブラッドに抱きしめられ、居たたまれないような気恥ずかしさがあったが少し悩みながら自分に熱を与える男の背中に腕を回した。
    「……勘違いなら申し訳ないのですが、俺は今ブラッドさまのお役に立っていますか?」
    「もちろんだ。だからもう少しこのままでいさせてもらえるか?」
     目の前で優しく微笑まれ、オスカーの心臓が早鐘のように鳴り響く。
    「嫌か?」
    「そ、そんなことありません! ブラッドさまのお役に立てて光栄です!」
    「そうか」
     顔に熱が集中していくのが自分でもわかる。
     主を疑うことはしたくないが、リラックス効果があるなんて全く信じることができないとオスカーは強く思い、自分の忙しない鼓動が伝わらないことを祈った。
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