甘やかし上手な恋人 情事後の火照った身体を冷たいミネラルウォーターで冷まし、オスカーは再びベッドに沈んだ。
ブラッドと久々の性行為。
何度熱を吐き出しても昂りが治まらず二人で長く濃厚な時間を過ごし、気づけばカーテンの隙間からうっすらと朝日が差し込んでいた。
体力には自信のあるオスカーだが、ブラッドとの激しい行為で最後は気を失ってしまった。
時計に目をやるとまだ早朝といってもおかしくない時間で、あまり長い間意識を手放していないことにホッと胸を撫で下ろした。
室内にブラッドが見当たらない。となるとおそらく風呂の用意をしてくれているのだろう。簡単に身を清められたようでベタつきはないが中はそのままだ。自分も浴室に向かうためベッドから一歩踏み出したところで足がもつれ、床に転げ落ちてしまった。
「……たて…ない」
そういえば昨晩は中盤から無理な体勢で身体を繋げたことを思い出し、風呂の準備を手伝おうと思ったがこれではブラッドの邪魔になってしまうと判断したオスカーは仕方なくベッドに這い上がった。
──このまま床にいたらブラッドさまに心配をかけてしまう。
初めて身体を繋げた翌日もオスカーは起き上がることができず、丸一日ベッドの上で過ごした。
その日は二人ともオフで、食事や入浴などブラッドが甲斐甲斐しく世話を焼いてくれた。
自分の主に世話を焼かせるなどあってはならない事だ。そう何度も詫びると、受け入れる側の方が身体の負担が大きいにも関わらず欲望を抑えきれずに無茶をしてすまなかったと逆に謝られてしまった。
それから今は主と従者ではなく恋人なのだから二人きりの時間はもっと甘えて欲しい、と。
「オスカー、起きたのか」
「はい、少し前に」
「何か大きな物音が聞こえたが」
「ブラッドさまを手伝おうと思ったのですが立てなくて……」
ベッドから転がり落ちてしまったことを正直に話すと、怪我はないかとあちこち確認された。
「ベッドから落ちたくらいでは怪我なんてしませんよ」
やさしい指がオスカーの肌を滑り、少しだけ腹の奥がうずく。
「足腰以外は問題なさそうだな」
膝裏に腕をいれ、ブラッドはオスカーを横向きで抱き上げた。落ちないようブラッドの首に腕を回すと、くつくつと笑い声が聞こえた。
「最近は素直に抱かれてくれるな」
初めて抱かれた際、同じように抱き上げられブラッドの腕から逃れようと激しく身体を動かしてしまい床に落ちかけた。確かに最近は素直にブラッドの腕におとなしく収まるようになったが、言葉にされると恥ずかしい。それを誤魔化すためブラッドの肩口に顔をうずめ小さな声で「今は恋人の時間ですから」と囁いた。
「……今すぐベッドに連れ戻したい」
「さ、流石に今日はもう」
腕の中であわわしていると頬にやさしくキスをされ、寝室に戻ることなく浴室へ向かってくれたことに安心したのも束の間「ここなら足に負担がかかることもないだろう」と湯の中で再び身体を繋げることになるのであった。
end