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    かまあげ

    デュエスを書いてます
    らくがき→画像投稿したSS(いずれまとめて支部へ)
    供養→途中まで書いて満足したやつ
    かきかけ→力を…ください……

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    かまあげ

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    トランプで恋占いするデュ。

    往年の3人組アイドルの名曲より。
    n番煎じです。

    #デュエス
    ds

    ♡Aが出てこないハートのエースが出てこない。
    やめられない、このままじゃ。

     ある休日のこと、デュースはトランプで恋占いをしていた。ジョーカーを除いた52枚のカードを裏向きに重ねて山にして、よくシャッフルしたのちに上から一枚引くというごくシンプルなものだ。一般的には恋愛を意味するハートのカードが出てくれば恋が実ると言われているが、デュースが狙うカードはただ一枚のみである。ハートのエース。
     次にハートのエースが出たら、エースに告白する。デュースはそんな決意を込めてこの占いに臨んでいた。
     だがさっきから何度も繰り返してるのに出てこないのだ。

     この前、エースに誘われて二人で麓の街まで出かけた。エースが贔屓にしている服屋に行って、世界的チェーンのバーガーショップに行って、気になっていた映画を見た。「デュース、口の端にソースついてる」なんて、あいつはいつものように僕をからかう。それは今までの僕たちの過ごし方と変らなかったのだけど、いかんせんエースの誘い方が悪かった。

    「デュース、デート行こうよ」

    このエースの一言のせいで僕の心臓は一日中ドキドキしっぱなしだったのだ。あいつはいつもどおり何でもないような顔で、僕ばっかりエースの一挙一動を気にしてしまっていて。なのに夕焼けが世界を赤く染める帰り道、沈みゆく太陽を反射した穏やかな微笑みで

    「デート楽しかったな」

    なんて言われてしまったら。もう好きだという気持ちが抑えられなくなって、その後どうやって寮に帰ってきたか覚えていない。
     先日またエースに「今度の休日空いてる?」と聞かれたが、思わず空いてないと返してしまった。だって、またデートに誘われる。エースが僕のこと好きかどうかわからないのにそんなの良くないだろ。なあエース、僕との外出をデートだなんて言ったこと、気まぐれなのか本気なのかどっちなんだ。あのときのエースの普段見せない優しい笑顔を信じたい。でも決め手がないのだ。このままじゃ僕ばっかり好きになっていく一方だ。頭の中で注意信号がチカチカと光る。

     願いを込めてもう一度トランプの束を繰り、上の一枚をめくる。また違った。がっくりと肩を落とす。

     突然、ポケットに入れていた携帯が鳴った。表示はエース・トラッポラ。今日はオンボロ寮で監督生、グリムと共に映画鑑賞会をやっていたはずだ。この前4人で映画を見たときは、「この新作のジュースうっま!お前も飲む?」と言ってストローを差した紙パックを差し出してきたのだ。その時は何も考えずに飲んだのに後になってエースが

    「さっきの、間接キスだったの気付いてた?」

    なんて言うから。映画はまさに佳境のシーン、監督生とグリムは画面に釘付けだったから聞かれてはいなかった筈だけど。

    「いっそホントにしちゃおっか、キス」

    いたずらっぽい笑みにすっかり心を奪われてしまった。

    「し、しない!するわけないだろ」

    そう返すだけで精いっぱいだった。どうせ今の電話も「この映画めっちゃ面白いからデュースも見においでよ」なんて誘いに違いない。僕は電話口のエースの声に弱いんだ。今日行ってしまったら、オンボロ寮のソファの上、一瞬の隙をついたエースに今度こそ唇を奪われてしまう。

    「キスしちゃった」

    とぼけて言うあいつの顔が目に浮かぶ。たぶん僕は建物じゅうに響くくらい鼓動が大きく速くなって何も言えなくなってしまって、その行動全部があいつのてのひらの上なのだ。僕も、僕だって、キスしたいのに。あいつが僕のことを好きなんだったら、今すぐにでも。

     そういう訳で着信は一旦無視して占いを続行する。

     あークソ、なんで出てこないんだ。やけになってトランプの山を次々とめくっていく。あれも違う、これも違う。めくり続けて、とうとう最後の一枚になった。これがハートのエースの筈だ。よりにもよって一番下にあるなんて、一周回って運命かもしれない。でも、もう一枚、まだ見ていないカードがあったような……。
    最後の一枚をめくる。

    「スペードの、2……」

    僕のカードだ。あれ、だったらハートのエースはどこへ行ったんだ。慌ててカードの枚数を数える。全部で51枚。求めてやまないハートのエースだけが、ない。

    「なんでないんだ……」

    デュースは呆然とつぶやく。これじゃ恋占いをしても意味がない。もともとないカードを引ける確率は0%なのだ。それくらい馬鹿な僕にでもわかる。
    そのとき、背後から声がした。



    「お探しのカードはこちらですか?」

    よく耳に馴染んだ声が慣れない喋り方をしている。振り返ると、渦中のアイツが佇んでいた。

    澄ました表情で、どこかの有名マジシャンのように様になる仕草で人差し指と中指に挟んでいるのは、裏を向いた一枚のトランプ。どうした、オンボロ寮に行ってたんじゃなかったのか。

    「エース、」
    「まあ見ててよ」

    僕の言葉を軽く制した目の前の男は、手に持ったトランプを厭味ったらしいほどキザな仕草で表に返す。器用に動く指の中でゆっくりと正体を現す一枚のカード。
    そこに描かれていたのは、


    「どう?びっくりしたでしょ」

    にやにやと目を細めて笑うコイツの顔に、瞬間迸った情熱を止められなかった。
    腕を掴んで引き寄せ、衝動のまま言葉を声に乗せる。

    そうだ、僕が求めてやまなかったハートの、

    「エース。僕は、お前のことが———」

    抱き締めた身体から手に持っていたカードが滑り落ちた。ひらひらと舞う先にあるのは、デュースが最後にめくったカード。


     2枚のトランプが、重なった。




    『ハートのエースが出てこない』/キャンディーズ よりインスパイア

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    Replies from the creator

    かまあげ

    DOODLEウィンホリ中、NRCからの帰路にて空港で一晩を明かすデュエスの一幕。付き合ってないしカプ要素は限りなく薄い。
    ウィンホリの帰路 大変な経験を共に乗り越えた相手とは特有の絆が生まれるという。ミドルスクール時代、どこかの運動部のジャージを着た集団が話しているのをすれ違いざまに聞いた。大変な経験とは、彼らの所属する部活の厳しい練習だったり僅差で逃した勝利だったりを指すのだろうか。
     当時は他人事だと思って聞き流していたそれが、ナイトレイブンカレッジ入学以降少しだけわかるようになった気がする。例えば入学初日のドワーフ鉱山、死にそうな思いでどうにか魔法石を手に入れられた時、絶対に仲良くなれないと思っていた同級生とハイタッチしてしまったこととか。

     今回の状況も、それに当てはまるのだろうか。

     現在はウィンターホリデーの真っ只中だ。学園に残ると言っていた監督生から、僕やエースのマジカメに「スカラビアに監禁されている」というメッセージが来て、それを最後に連絡が途絶えてしまったときは本当に肝が冷えた。急いでエースと共に飛行機、電車、バス、船を乗り継いで賢者の島まで戻ってきたが移動の間じゅう生きた心地がしなかった。
    2207

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