【ヴェラン】瞳に広がる蒼色は君の色 夏の蒼い空が好きだ。
どの季節よりも高く見え、それでいて上空まで吸い込まれ、手を伸ばせば簡単に届いてしまう――そんな錯覚を抱かせてくれる。
幼い頃、何度も蒼い空を見上げた。橙色に染まってくると家に帰らなければならない。夏の間は蒼い空の時間が長く、ランスロットと遊べる時間が長かったから、夏の蒼い空が好きなのかもしれない。
ヴェインはそんなことを考えながら、木々の合間から見える蒼色を眺めていた。
子供の頃に見た蒼色と変わらない色だ。
ランスロットは隣に住んでいたふたつ年上の幼馴染み。毎日ヴェインを迎えに来てくれて、日が暮れるまで一緒に外で遊んでいた。
クローバー探しも、虫取りも、雪遊びも、近くの廃村へ肝試しに行くのだって、ランスロットと一緒なら楽しかった。
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