【弓鄭】祈り 燃える炎のような夕陽の橙。
いつからだろう、この、夜が訪れる前の、太陽が融けて消えていく僅かの時間を愛するようになったのは。
自分はそんな感傷的な人間ではなかったはずだ。
きっとアーチャーだって笑うさ。こんな、橙の中に佇んで夕陽を眺めている俺なんて見たら。
そう思うのに、うつくしく陽が落ちていく日にそうせずにはいられないのは、こうしていたらいつものように彼が隣にやって来てくれるような気がして。
「アーチャー、」
かつて隣にいた、今はもういないひと。
それは戦いの折、彼が見せてくれた景色の色とよく似ていた。
時間に換算したらきっと瞬きのような短さであっただろう。
それでも。
それでも誰より近くて、誰より深く繋がって、同じ夢を見て、同じ速度で歩いた。
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