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    ネロ♀ファウ♀の学パロ、友情、ちょっと百合風味予定です。(ブラネロ前提)
    短編いくつか書くつもりだったのですが予想外に長くなってしまったので一旦ポイピクに・・。
    近日中にもう一本アップ予定です。
    全て揃ったらしっかり誤字脱字チェックして、まとめて支部にアップします〜

    ※女体化
    ※生理ネタ

    出会いとある日の放課後の事だった。
    ネロは帰りがけに偶然担任教師とすれ違い、ちょうどいいと授業の資料を準備室に戻すようにと言いつけられ、いつもならば殆ど用事のない特進科校舎へ繋がる渡り廊下を歩いていた。

    「物置くらいこっちの校舎にも作ってくれよなぁ・・・・。」
    溜め息混じりにネロは独りごちる。
    ネロの通う高校は学力の高い生徒が集められた特進科とそうではない普通科に分けられ、校舎と制服色ごとはっきり区別をされていた。
    出入口や東西で分けられたそれぞれの校舎には特別用事がなければまず立ち入ることはない。特進科に親しい友人がいるわけでもないネロにとってはまるっきり縁のない場所であった。
    日頃勉強に精を出す特進科の生徒のために教材の類のほとんどは第一校舎の準備室に保管されているらしく、ネロはずっしりと重い資料を抱えそれなりの距離を歩く羽目になっていたのだ。

    重い荷物を運び終わり再び渡り廊下を歩いていると、視界の端にふわりと柔らかな茶色の”何か”が目に入り、ネロは思わず足を止めた。
    (・・・・猫?)
    足元に近い場所でふわりと舞う柔らかそうな”何か”を一瞬猫かなにかだと認識したが、足を止めて見てみればそれはうずくまった人の影だとすぐに気が付いた。

    「おい、アンタ・・!大丈夫か・・!?」
    思わず駆け寄り声をかけると、うずくまった茶色の影がむくりと動く。ゆっくりとネロのほうを振り返ったのは、ひどく青い顔をした特進科の制服を身にまとった女子生徒だった。

    「・・っ、だい、じょうぶ・・・・。」
    「いや、大丈夫って顔じゃねぇだろ・・。誰か呼んで・・。」
    大丈夫と告げる少女の顔色は悪く、到底大丈夫だとは言い難いだろう。ネロは人を呼ぼうかとも考えたが、ふるふると横に首を振る少女の手のひらが腹部に宛がわれているのを見て彼女が蹲っている原因を察した。月に一度訪れる女性特有のモノだろうと考えたネロは、蹲る少女に問いかける。

    「あー・・。アンタ、薬は?」
    「くす、り・・は、手持ちが、切れてて・・。多分、そのうち治るから・・。」
    息も絶え絶え、といった様子で少女はネロの問いかけに答える。真っ青を通り越して真っ白な彼女の表情は、到底このまま通り過ぎられるものではなかった。
    「いや・・大丈夫って顔じゃねぇだろ・・。」
    通りすがりの見ず知らずの他人に世話を焼かれることに抵抗があるのだという事は理解できた、ネロ自身もそういった性質の人間だからだ。
    けれど、こんな状態の女子生徒を一人放って置けるほど薄情な人間でもないのだ。
    同年代の女子たちに比べて生理の軽いネロは常に痛み止めの薬を持ち歩いているわけではなかったが、もしかしたらとポーチの中を漁ると怪我の多い知り合い達のためにと買っていた鎮痛薬の箱が見え、それを取り出した。

    「これ、よかったら飲みなよ。専用のじゃねぇけど飲まないよりマシだと思うからさ。」
    「ありがとう・・。」
    水は?と問いかけると、女子生徒はひどくゆったりとした動作でカバンのファスナーを開き、その中から飲みかけのペットボトルを取り出した。
    ごくりと薬を飲みこむが、もちろん即座に効果が現れるわけではない。けれど、薬を飲んだという安心感のためか、先ほどまでの苦し気な表情がいくらか和らいでいるのが見え、ネロはほっと息をついた。

    「10分もすりゃ効いてくると思うから。これ、掛けときなよ。」
    ネロは自らの上着を脱ぎ、痛みを和らげるように腹部を擦る彼女の足元に掛ける。クラスメイトでもない、校舎も違う通りすがりの生徒であるネロにここまで世話を焼かれることに申し訳なさを感じたのだろう、女子生徒は困ったように眉を下げながらネロを見つめた。

    「その、僕はもう大丈夫だよ・・。薬も飲んだし・・。」
    「いやいや、流石にこのままアンタ置いて帰れるような太い神経してねぇって。どうせ暇だし、そっちが迷惑じゃなきゃもうちょっと付き合わせてよ。」
    ずるい言い方をしている事をネロは自覚していたが、それでも目の前で痛みに蹲る少女を放り出す事は出来なかった。ネロの予想通り、他人からの親切を迷惑だと突っぱねることも出来ず、小さな声でありがとうと呟いた女子生徒の隣に座ったネロは再び鞄の中を漁り始める。

    「あぁ、カイロもあった。腹あっためるといいんだろ?貼んなよ。」
    冬の寒い日に入れっぱなしにしたままの小さなビニールの包みを取り出すと、ぺり、と封を開け中身を隣に座る女子生徒へと手渡した。

    「ありがとう。・・それにしても君の鞄、何でも出てくるね。」
    まるであらかじめ用意してあったかのように必要なものが次から次へと現れるネロの鞄を、女子生徒は不思議そうに見つめていた。
    幼馴染やその舎弟たちの面倒を見ることの多いネロは、何かと薬や怪我の治療に必要なものを持ち歩くことが多く、今日は運よく必要なものが全て鞄の中に揃っていたのだ。

    「まぁ、教科書以外なら?」
    茶化すように笑うネロに、女子生徒は一瞬きょとんと瞳を丸くした。直後、大きく開いた瞳を細め、クスクスと小さく笑い、ネロの冗談めかした口調に合わせるかのように言葉を返した。
    「普通、教科書を真っ先に入れるものでしょ。」
    特進科の彼女にとって、学校にまず必要なものといえば教科書や参考書の類なのだろう。
    その全てを鞄に入れていないことを当たり前のように告げるネロの姿が彼女にとっては酷くおかしなものに思えたのか、自らの口元を手のひらで押さえながら楽し気に小さな笑みを浮かべていた。

    (あ、笑った・・。)
    先ほどまでは俯いていてはっきりと見えなかった少女の顔を、ネロは思わずじっと見つめる。
    いくらか血色が戻った顔はそれでも真っ白で、整った造形の顔立ちと厚いレンズの奥に隠れた大きな瞳と相まって人形のようだった。
    大きく、少し吊り上がった目元とふわふわと柔らかな髪の毛がまるで大切に育てられた美しい猫のようにも思えた。

    (なんか、金持ちの家で飼われてる猫みてぇだな・・・・。)
    漠然としたイメージではあったが、あながち大きくも外れていないだろう。女子生徒の愛らしい顔立ちや、ネロよりも小柄で華奢な身体も相まってか、所謂”守ってあげたくなる”印象をこちらへ与えてくるのだ。
    ネロがぼんやりとそんなことを考えている間も、女子生徒はクスクスと笑い続けている。どうやら笑いのツボにはまるとなかなか抜け出せない性質のようだった。
    優秀な生徒ばかりが特進科の生真面目そうな印象とは離れたその姿に、思わずネロもふ、と笑みを零し、彼女が落ち着くのを隣でじっと待ち続けた。



    「だいぶ落ち着いたし、そろそろ帰るよ。本当にありがとう。・・君も帰るところだったのに、悪かったね。」
    女子生徒が笑いのツボから抜け出しようやく薬も効き始めたのか、彼女はするりと立ち上がると改めてネロに向かって深々と頭を下げる。
    初めよりも随分と良くなった女子生徒の顔色にネロは安堵し、ひらひらと手のひらを振った。

    「別にいいって、今日はバイトも無かったし。」
    女子生徒を気遣うように軽い口調でネロは言うが、生真面目な気質の彼女はそれでも申し訳なさげな態度を浮かべていた。
    ネロ自身も他人に気を使いがちな性質である為、彼女のそんな態度も理解出来るのだろう。小さく笑みを浮かべたまま”教科書以外がなんでも入った”鞄を手に持ち、くるりと普通科の校舎に向かって歩き出した。

    「上着、嫌じゃなきゃそのまま着ときなよ。返すのはいつでもいいからさ。」
    「ありがとう・・。そういえば、君・・名前は?」
    随分と長い時間傍にいたというのに、互いに名前を名乗りあっていなかったことに気が付いたのか、女子生徒は僅かに慌てた様子で歩き始めたネロを引き留めた。

    「んーと、普通科の・・って見りゃわかるか。二年Dクラスのネロだよ。アンタは?」
    「僕は二年のファウストだ。二年の、Aクラス・・。」
    ほんの偶然で出会った二人がようやく名乗り合った頃にはすっかり日が落ち、窓のない渡り廊下にオレンジの夕陽が差し込んでいた。
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    DONEネロ♀ファウ♀の学パロ、友情、ちょっと百合風味予定です。(ブラネロ前提)
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    ※女体化
    ※生理ネタ
    出会いとある日の放課後の事だった。
    ネロは帰りがけに偶然担任教師とすれ違い、ちょうどいいと授業の資料を準備室に戻すようにと言いつけられ、いつもならば殆ど用事のない特進科校舎へ繋がる渡り廊下を歩いていた。

    「物置くらいこっちの校舎にも作ってくれよなぁ・・・・。」
    溜め息混じりにネロは独りごちる。
    ネロの通う高校は学力の高い生徒が集められた特進科とそうではない普通科に分けられ、校舎と制服色ごとはっきり区別をされていた。
    出入口や東西で分けられたそれぞれの校舎には特別用事がなければまず立ち入ることはない。特進科に親しい友人がいるわけでもないネロにとってはまるっきり縁のない場所であった。
    日頃勉強に精を出す特進科の生徒のために教材の類のほとんどは第一校舎の準備室に保管されているらしく、ネロはずっしりと重い資料を抱えそれなりの距離を歩く羽目になっていたのだ。
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