僕だけが知ってる話。ボクのおウチは、大きくて綺麗で一緒に暮らしていた子はボクと遊ぶ以外はずっとオベンキョウっていうのをしていた。
それは、その子にとってはあまり楽しくはなさそうだったけれど、ママが言うからって頑張っていた。
頑張っていい成績を取れば遊びに出かけることだって許される。
ボクはいつもその子と一緒に出かけた。
だけど、ある日、すごくすごく悲しいことが起きたんだ。
ボクは、知ってる。
ボクと遊んでくれていた子は知らない。
悲しい悲しいお話。
ある日のこと、僕を含めた一家全員でピクニックに出かけたんだ。
いつもより少し遠いところ。
今まで行ったことのないようなところ。
お花や木々がしっかりと育った自然豊かなところでボクらは十分に楽しんだ。
それでね、僕を大事にしてくれていた子がトイレに行くって、僕を置いて席を立ったんだ。
少しして、ママとパパが僕を見て「ごめんなさいね。」って言ってパパが僕を持ち上げた。
ずんずんずんずん歩いていって、ここは何処だろうって思っているうちに僕は一番景色の良いベンチに座らされた。
「もう、うちの子には人間のお友達が必要なんだ。わかってくれるね。」
そう、声をかけたパパは僕を置いて来た道を戻っていくようだった。
足音がどんどん離れていく。
ボクは、置いていかれるのだ。
きっと、あの子には少し目を離した隙にカラスが持っていったとでも説明するのだろうか。
それとも、バスケットの中に一緒に入れたはずなんだけどって言うのだろうか。
ピクニックは、この見晴らしのいい場所にボクを置いてくるための計画だったのだろう。
ボクダケガ知ッテル。
全部知ッテル。
ズット見テタカラ。