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    summeralley

    @summeralley

    夏路です。
    飯Pなど書き散らかしてます。

    ひとまずここに上げて、修正など加えたら/パロは程よい文章量になったら最終的に支部に移すつもり。

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    summeralley

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    #飯P版深夜の真剣お絵描き字書き60分一本勝負
    お題【お風呂】

    飯Pが同棲している都合のいい時空
    決定的なことはしてないけど性的な空気のシーンはほんの少しだけあります。

    #飯P
    #腐女子向け
    #二次創作BL
    secondaryCreationBl

    【飯P】ぬるい水にあなたと 子供の頃、真夏のこんな暑い日は庭にビニールプールを出して遊んだ。円いかたちの青いプールで、壁面には賑やかな魚や貝の絵がプリントされていた。水ははじめ暴力的に冷たく、だが陽射しにさらされる内にぬるく温まっていく。ビニールの匂いがかすかに立ちのぼって、なんとも言えない「夏の気分」を掻き立てたものだ。
     暑さからふとそれを思い出し、ぬるい水を溜めた浴槽は、ビニールプールとは様子が違っていた。手足の長いピッコロさんのために、この家の浴槽は大きいものを選んでいた(なのに、ピッコロさんは全く浴槽に浸からない。暮らしはじめてすぐ湯あたりしてから、シャワーで済ませるようになってしまった)。さりとてビニールプールの広さには遠く及ばず、白いプラスチックは無愛想で固かった。そんなものへせっせとぬるい水を溜めている僕を、朝から神殿へ出掛けているピッコロさんが見たら、きっと呆れただろう。
     水着は大袈裟だが、裸だとただの入浴になってしまう。すぐに洗濯すればいいと、僕は着たものをそのままに水へ腰を下ろした。深さは腰ほどだが、それが却って「夏の庭先のプール」の風情を際立てた。
     可能な限り脚を伸ばすと、水に浸かった部分から、身体に籠った熱が引いていくのが分かる。窓の外からは、蝉の声と濃い草いきれがかすかに運ばれてきた。
     なかなか、悪くない。ビニールプールほどではないが。
     「……何をしている?」
     満足していると、突然後ろから声をかけられた。
     「あ、お帰りなさい」
     予定より、帰りが早かったらしい。既にマントもターバンも外しているところを見るに、家へ戻って真っ直ぐここへ来たというわけでもなさそうだ。浴槽の真横まで歩み寄って来ると、浅い水に服のまま浸かる僕を見て、心底困惑した顔をしている。
     「ずいぶん早い入浴かと思えば、何だ……?」
    「プールに入っている気分になりたくて」
    「風呂だろう、これは」
    「だから気分ですよ、気分」
     どこから説明したものか迷い、結局、子供の頃のビニールプールのこと、暑さでそれを思い出したこと、一から十まですべて話した。
     「……簡単にいうと、童心にかえりたかったんです」
     説明している内に自信が湧き、胸を張って締めくくったが、ピッコロさんは呆れ返った様子で言った。
     「服もそんなに濡らして……童心にかえるより、大人になれ」
     僕はむっとして、無防備に立つピッコロさんの片手を掴んだ。
     「ぬるい水に浸かる気持よさを知らないから、そんな風に言うんですよ」
    「水に浸かったことくらいある」
    「違うよ。流水じゃない、熱くも冷たくもない水!」
     話しつつ、ピッコロさんの腰を横っ拐いに引いて浴槽へ引きずり込んだ。空間に余裕がなく、自然と、伸ばした僕の脚の上に跨がるかたちとなる。
     「……狭い」
    「狭いけど、でも、ぬるい水はいいでしょう?」
     否定がないことが返事だった。炎暑の水風呂ほど、心地良いものは他にない。
     急に引きずり込んだから、ピッコロさんは半身に水を被ってしまっていた。濡れた服地が、扇情的な身体の線をすっかり露にしている。俄に悪戯心が湧いてきて、向き合った身体を抱き寄せた。二人とも濡れており、裸で抱き合うよりも強く密着しているように感じる。抱きしめたまま肩へ額をつけていると、胸と胸の間に鼓動を感じることができた。
     「……本当なら、毎晩こんな感じで、一緒にお風呂に入りたいんだけどなぁ」
    「嫌だ。お前は湯を熱くしすぎる」
     ピッコロさんは濡れた手を僕の背中へ当ててくれながらも、忌々しげに吐き捨てた。僕は思わず笑って顔を上げ、眇めた目に睨まれる。
     「実家のお風呂が熱かったから、めいっぱい熱くないと物足りなくて。水風呂は、別ですけど」
     ピッコロさんの背中に回していた手を、背骨に沿って撫で下ろす。道着の裾を引っ張り出し、直接肌へ触れると、濡れた服に体温を奪われいつもよりずっと冷たかった。布地が、手の甲へまとわりつく。
     ごく近くでまなざしが絡む。狭い浴槽の中で身体は動かし辛く、唇を重ねることすら、普段と具合が違った。大体、ピッコロさんの方が長身なのに、僕の腿に座らせているのだ。僕が口腔を犯していても、鳥の雛が餌をもらうような姿勢だと思うと、可笑しかった。
     窓からは、藍に近いほど濃い青空が見える。よく晴れた真夏の空は暑さを思わせたが、水風呂に浸かっている僕らは一時それを忘れることができていた。
     不自然な姿勢のせいか、いつもより早くピッコロさんの呼吸が苦し気になってくる。唇を解放し改めて上体を抱きしめると、甘やかな吐息が耳を擽る。悟飯、と小さく僕を呼ぶ声は、しかし「そろそろやめろ」の響きだと分かった。
     それでも背中を撫でているだけの間は、はっきり制されることはなかった。滑らかな肌が、しっとりと手のひらへ吸いつく。ピッコロさんは情欲の昂りを抑えるかのごとく目を伏せて、こちらを見てはくれない。だが僕の手が脇腹を下り、帯を緩めんとすると、途端に身を捩って逃れようとした。
     「お前っ……こんな明るい内から……」
    「だめ?」
     水に浸かる脚の付け根へ手を忍ばせると、ほとんど反射のように肩が竦められ、ピッコロさんの手が僕の腕を掴む。
     「あぁっ、悟飯……待て……!」
    抱き合っているためよく見えぬまま、手探りでその部分へ愛撫を加える。小さく声が上がり、身じろぎが水面を乱す。
     悶えつつも僕を押し返そうとする姿が健気で、一度その手に従った。大人しく見上げれば、瞳はすっかり潤んでいる。少し落ち着いたらしく、深くため息をついた。
     「終わりだ」
    「いいじゃないですか、明るかろうが」
    「……童心にかえると、言わなかったか?」
    「大人になれって、言いませんでしたか?」
     ピッコロさんが言葉に詰まる。返事を待たず下肢に手を伸ばすと、今度は制する動きも逃れる動きも、なかった。本当に嫌がっているわけでは、ないのだ。
     「……水風呂もいいけど、毎晩一緒にお風呂に入れたら、嬉しいのに」
    「またそれか……断ると言っている」
    ただ、とピッコロさんは勿体ぶる。声に微笑が滲んでいた。
    「毎晩この水温なら、入らなくもない」
     ……本当に、嫌がっているわけでは、ないのだ。
     さりとて、毎晩水風呂というのは流石に考えものだ。再度話し合う必要があると、帯を引き抜きながら、僕は窓から覗く夏空を見上げた。
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    Replies from the creator

    summeralley

    DONE急いで進めてるけど12話くらいにはなってしまいそう……少し先でベッドシーンで丸々一話使ったせいで……。
    ネイPのP、ちょっと子どもっぽく書いてしまう。
    【ネイP】解剖台で夢を見た/04.聴診器の語るもの ネイルは殆ど、家へ帰らなくなっていた。職員がみな帰るのを待ってから仮眠室へ下りるので、それから帰宅となるとどうしても遅くなる。
     元々、仮眠室へ寝泊まりすることはそう珍しくなかった。同じフロアに、簡易的なシャワールームもある。食事は水で事足りる。コインランドリーは研究所の道向かいだ。
     ――家へ帰ったところで、仮眠室の様子が気になって眠れず、警備員が驚くような早朝に出勤することになる。
     自らが切り刻んだ研究対象への執着なのか、単純な個への執着なのかは、判然としなかった。それでも、寝袋を持ち込んで寝泊まりするようになるのは、ネイルにとって自然な選択だった。
     その日ネイルは、どこか浮き足立っていた。
     石室の標本に関する嘘の報告書は問題なく受理され、更に詳しく検査を進めるようにとの文言を添えた、検査項目のリストだけが戻ってきた。それも、時間がかかることを誰もが理解できる検査項目ばかりで、当分の時間は稼げそうに思われる。
    3016

    summeralley

    DONE10話くらいで終わりたいとか言ってたのに、少し先の話に性的なシーンを入れたので予定が狂って10話で終わるの無理になりました。ネイP次いつ書くか分かんないし、どうせならって……。
    【ネイP】解剖台で夢を見た/03.新しいラベル 「石室の標本について、何か分かったか?」
    「報告書の通り、特段変わったことはありません……何しろ前例がないので、手探りで。慎重に進めています」
     ムーリは頷き、引き続き任せる、と研究室を出て行く。ケースの観察窓を覗かれなかったことに、ネイルは胸を撫で下ろした。研究者としては、それが正しい振る舞いだ。以前ネイルがそうせずにいられなかった、無闇に観察窓の蓋を開ける行為は、暗闇で保管されていた検体にどのような影響を与えるか分からない。
     ネイルの返答は、完全な嘘ではなかった。このような現象に、前例があるはずもない。腐敗せず、硬直もしない遺骸など……ただし「変わったことはない」という部分は、真っ赤な嘘だ。
     石室の標本はもう、標本ではない。さりとて、それを報告できようか? おそらく、上層部の判断で、もっと大きな研究所へ送られることになるだろう。戸籍もない古い時代のナメックが、「呼吸する標本」……良くて「実験動物」として扱われることなど、目に見えていた。
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