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    summeralley

    @summeralley

    夏路です。
    飯Pなど書き散らかしてます。

    ひとまずここに上げて、修正など加えたら/パロは程よい文章量になったら最終的に支部に移すつもり。

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    summeralley

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    JKマジュニア流れてきて可愛すぎるから風呂入る前にさーっと書いた
    校正もしてないし一人ワンライ状態

    #飯P
    #腐女子向け
    #二次創作BL
    secondaryCreationBl

    【飯マジュ】きみがきらい 窓の外は、今にも雨の降り出しそうな空だ。バッグの中から、くぐもった着信音が聞こえた。
     「マジュニア、鳴ってるぞ」
    「ほんとだ、もう帰りますか?」
    「ああ、夕課外、終わったらしいから」
     二人の前で電話には出ない。出ないことを向こうも分かっているから、留守電に切り替わったタイミングで切れる。バッグに荷物を仕舞うオレを、デンデとネイルが微笑みながら見ている。何だか腹が立って、二人を睨みつけた。
     「なんだよっ」
    「いーえ、ねぇ、ネイルさん」
    「何も言ってないのにな」
     大体、あいつが特進クラスの課外授業になんか参加しているのが悪い。授業が終わったらさっさと帰れば、こうしてオレが待つ必要もないのに。
     「そんなに怒るなよ、マジュニアがあいつを気に入ってることくらい、誰でも知ってる」
    「はぁ?」
     何を言い出すかと思えば……ネイルはすぐこうして物事を決めつける。本当に不愉快だ。何か言い返してやろうと思ったが、時間が惜しく再度睨みつけるに留めた。椅子を机へ乱暴に押し込んで、教室を出る前にふと振り返る。
     「……いつも付き合わせて、悪いな」
    「いいんですよ、僕ら楽しいから」
    「ああ、早く行け」
     二人に手を振って廊下を走る。リノリウムの床は走るとうるさくて、いっそ飛んでしまいたくなる。でも帰った時に何故かバレていて叱られるのが目に見えているから、我慢して駆けた。
     駐輪場が見えてきて、一度足を止めた。学校指定のバッグとローファーは地味だし、少しはマシに見えるようにスカートの裾とソックスを確かめる。別に、あいつに会うからじゃない、誰が相手でも良く見られたいのは一緒だ。
     「遅いですよ、マジュニアさん。雨降りそう」
    「うるさいな、結構急いだんだぞ。そもそも、待たされたのはオレだ」
    「それもそうか……だけど、先に帰ってても良いんですよ」
     悟飯は全く邪気なく笑う。自転車の後ろを示して、どうぞ、と促す。
     歩いて帰っているところに悟飯から声をかけられたのは、一年の秋の頃だった。たまたま帰る向きが同じで、今日みたいに雨の降りそうな日だったから、家まで送ってくれた。あの時は結局、雨に降られて二人とも濡れたっけ……あれから一年近く経つ今も、二人乗りで帰るだけの関係がなんとなく続いている。
     悟飯の自転車はあまり揺れない。自転車が上等なのかもしれないし、運転が上手いのかもしれないし、もしかすると、勘違いかもしれないけれど、後ろに乗るオレに気を遣ってくれているのかもしれない。はじめて乗せてもらった日は、もっと揺れて危なっかしかったような記憶がある。
     「悟飯、水を買いたい」
    「水? コンビニなんか寄ってたら降られちゃいますよ!」
     確かに、肌で感じられるほど空気は湿っていて、雨が降る直前の独特の匂いがした。空は見るからに垂れこめて、今にも底が抜けそうだ。
     「でも喉が乾いたんだ、お前を待ってたから」
    「ずるいな、マジュニアさん……知りませんよ、降られても」
     水を買ってコンビニから出ると、しとしとと小雨が降り始めていた。悟飯の自転車も、停めてある車もゴミ箱も紅葉のはじまった街路樹も落葉も猫も雀もみんな、濡れている。
     「あーあ!」
     悟飯がわざとらしくため息をついて、じっとりとこちらを見かけて、すぐに目を逸らした。制服のシャツが、濡れて肌に貼りついてしまっている。こんなものに動揺するなんて、本当にからかい甲斐がある。却って楽しくなってきて、自転車の後ろに掛けた。
     「マジュニアさんのせいですよ」
    「うるさいな、喋ってないで早く帰ろう」
    「僕はずっとそう言ってます!」
     悟飯が自転車を出す。川沿いの長くカーブする道を、オレたちの住む町へ向けて走る。雨は段々と繁くなり、シャツだけでなくスカートもずっしりと重くなってきた。悟飯は自棄になっているのか、いつも出さないようなスピードで自転車を走らせている。
     「さっき、ネイルがな」
    「なに? ネイルさんー?」
     耳元を抜ける風の音で声が聞こえにくいらしく、悟飯はずいぶん大声で返事をする。うるさくって、聞こえやすくなるように腰に抱きついて顔を耳に寄せた。あきらかに肩を竦めるのがなんとも面白く、密着した背中は温かく心地良い。はじめて乗せてもらった時は、オレもどうしていいか分からなくて、こんな風に掴まったりは出来なかった。
     「オレが、お前を気に入ってるって言うんだ」
    「えっ……それで、どうなの?」
    「きらいだよ、お前なんか。口うるさいから」
    「……僕だって、マジュニアさんなんかきらいです! 水買うし、僕の言うこと聞いてくれないし!」
    「ふーん、そうか。はじめて気が合ったな」
     馬鹿馬鹿しくて、二人して笑ってしまう。スピードに比例して気分が高揚する。遮る車も人もない川沿いの道を、雨に磨かれる街が後ろに跳び去って行く。濡れたアスファルトは鏡のようになって、自転車はその上を軽々と走っていく。 雨粒は目の中に入り込んで、水槽の向こうを見るように景色が滲む。
     なんて意味のない会話なんだろう。
     本当に、きらいだ、こんなやつ。口うるさくて面倒なのに、子どもみたいにまるで無邪気に笑うから、また笑顔を見たいと思ってしまう。まぁいいかと絆されてしまう。癪に障るのに次を待っている。何を言われても、本気で嫌がれないでいる。きらいだから、明日も明後日も、ずっと構ってからかって困らせてやりたい。
     家が近付いてくるのが、心から残念に感じられた。いつまでも走っていたかった。
     明日、ネイルに会ったら言ってやろう。あんなやつ、きらいだって。
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    summeralley

    DONE急いで進めてるけど12話くらいにはなってしまいそう……少し先でベッドシーンで丸々一話使ったせいで……。
    ネイPのP、ちょっと子どもっぽく書いてしまう。
    【ネイP】解剖台で夢を見た/04.聴診器の語るもの ネイルは殆ど、家へ帰らなくなっていた。職員がみな帰るのを待ってから仮眠室へ下りるので、それから帰宅となるとどうしても遅くなる。
     元々、仮眠室へ寝泊まりすることはそう珍しくなかった。同じフロアに、簡易的なシャワールームもある。食事は水で事足りる。コインランドリーは研究所の道向かいだ。
     ――家へ帰ったところで、仮眠室の様子が気になって眠れず、警備員が驚くような早朝に出勤することになる。
     自らが切り刻んだ研究対象への執着なのか、単純な個への執着なのかは、判然としなかった。それでも、寝袋を持ち込んで寝泊まりするようになるのは、ネイルにとって自然な選択だった。
     その日ネイルは、どこか浮き足立っていた。
     石室の標本に関する嘘の報告書は問題なく受理され、更に詳しく検査を進めるようにとの文言を添えた、検査項目のリストだけが戻ってきた。それも、時間がかかることを誰もが理解できる検査項目ばかりで、当分の時間は稼げそうに思われる。
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    summeralley

    DONE10話くらいで終わりたいとか言ってたのに、少し先の話に性的なシーンを入れたので予定が狂って10話で終わるの無理になりました。ネイP次いつ書くか分かんないし、どうせならって……。
    【ネイP】解剖台で夢を見た/03.新しいラベル 「石室の標本について、何か分かったか?」
    「報告書の通り、特段変わったことはありません……何しろ前例がないので、手探りで。慎重に進めています」
     ムーリは頷き、引き続き任せる、と研究室を出て行く。ケースの観察窓を覗かれなかったことに、ネイルは胸を撫で下ろした。研究者としては、それが正しい振る舞いだ。以前ネイルがそうせずにいられなかった、無闇に観察窓の蓋を開ける行為は、暗闇で保管されていた検体にどのような影響を与えるか分からない。
     ネイルの返答は、完全な嘘ではなかった。このような現象に、前例があるはずもない。腐敗せず、硬直もしない遺骸など……ただし「変わったことはない」という部分は、真っ赤な嘘だ。
     石室の標本はもう、標本ではない。さりとて、それを報告できようか? おそらく、上層部の判断で、もっと大きな研究所へ送られることになるだろう。戸籍もない古い時代のナメックが、「呼吸する標本」……良くて「実験動物」として扱われることなど、目に見えていた。
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