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    あすと

    @aaast

    成人向け🔞NSFW / 全員受けで全員攻め

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    あすと

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    敬語禁止されたいぬかいとタメ口禁止された囚人たちの話[朝]

     こんにちは。獄LuckのHANCHO、犬飼憂人と申します。
     突然すみません。実は少し聞いていただきたい話があるのです。決して難しい話ではありませんし、怖い話でもありません。どうか身構えず気楽に聞いてほしいと思います。
     ではそろそろ始めさせていただきたいと思います。
     私達が暮らす仮設住居……彼らがプレハブと呼ぶここで、今日起きた出来事の一部始終を。どうかくだらないと言わずに、またはどうでもいいとも言わずに、聞いてくださると嬉しいです。よろしくお願いします。まずは朝から。
     
     「すみません犬飼さん、明日の社会奉仕活動のことなんですけど」
    「は、はい! なん、でしょう……?」
    「すごーくだるいので辞退させていただきたいのですが」
    「そっ…れは……ですね……!」
    「……っていうか、犬飼さん、は、どうして普段通りなんですか、俺達にだけやらせるつもりなんですか」
    「あっ、えーっと……ふぅー……すみま、じゃなくて、ごめんね! あまりにも急だったから慣れなくて! こ、これで大丈夫かな? 甲斐田く……ちがっ……甲斐田!」
     
     この時点での私は、この不思議な状況を全く理解できずにいました。何故このような事態が起きているのか、一体何が起きたのか。思い当たることがひとつもなかったからです。
     ただの時系列に過ぎないのですが、今説明できることがあるとすればこうです。
     私が朝六時に起床し、身支度を整え、その後時間になっても起きてこない囚人の皆さんに声をかけ起床を促し、渋々といった形でようやく全員が起き上がったとき、彼らは顔を見合わせため息をつき、それからそれは始まりました。
     
     混乱し説明を求める私に、囚人の皆さんの口から嫌そうに、本当に嫌そうに語られた情報を整理するとつまり、これは私の命令なのだそうです。全く記憶がありません、どうやら私はまた何かやらかしてしまったようなのです……。
     
    「おま……チッ、犬飼さん? の命令なんですけど。明日一日てめえらはタメ口をやめろこいつは敬語をやめる、とかなんとかクッッソくだらねえご命令をな!」
    「私が……?」
    「そう、です。俺らも、やりたくてやってんじゃね……ッス。お前……犬飼……チッ……さん、も、真面目にやりやがれ……てください」
    「そうですよ、犬飼さんもちゃんとやってくれないと俺達まとめて懲罰なんですよ。マジ迷惑です」
     
     御子柴くんは普段とあまり変わってないような気がします。土佐くんは慣れないながらも一生懸命頑張っているなあと思います。そして甲斐田くんは元々柔らかい口調であるということを差し引いても臨機応変、が得意なのだなと思いました。
     
    「で、さっきの話の続きですけど。ねえ聞いてますか犬飼さん。返答が無いようですので許可されたとみなしますね。はーいと言う事なので俺は明日の社会奉仕活動は不参加ということでよろしくお願いしまぁす」
    「俺も無理ー」
    「俺も……ッス」
     
     完璧にこなさずところどころくだけた感じになっているのは、あえて慣れない二人に合わせているのかもしれないなと思いました。こういった気遣いが出来るのも彼の良いところだと私は思います。
    また、困難と向き合って一生懸命頑張ろうとする土佐くん、アレンジのきかせ方がとても個性的な御子柴くん、それぞれとても素晴らしいと思うのです。
     ですがそれはそれ。社会奉仕活動にはきちんと参加してもらわないと困ります。私は普段の三人の言葉遣いを思い出しそれを参考にしながら、その件については認められない旨はっきりと伝えました。
     
    「すみ…ごめん、ね、だけどっ、ちゃんと参加しないと駄目なんだよね……ク、クソ面倒なのはわかるけど、これも大会のためだと思って頑張ろうぜ! ね! えっと……土佐、甲斐田、御子柴……!」
    「犬飼さんクッソきめぇでぇーす。つかなに呼び捨てにしてんだよ俺に話しかけないでくださいついでにそのまま消えてください」
    「ええっ!? おかしい……かな? 頑張ってるんだけど、なぁ」
    「はぁ……無理するな……しないでくれ……ッス」
     
     落ち着きません……。状況に応じて相応しい言葉遣いを心掛けるというのは社会の一員として大事なことです。ですが囚人の皆さんが私に対して親しげに接してくれることを嫌だと思ったことは一度もありません。これも信頼への第一歩だと思っています。
     ですが今この状況においては一体何が正しいのか答えを出すことすらとても難しいのです。
     
     しかしみなさんに困難を強いている以上、私だけが出来ないでは示しがつきません。そして私は考えました。いっそ開き直ってみるべきかもしれないと。せっかくの機会です、皆さんとこういった形で親睦を深めてみるのも悪くないのかもしれません。そう決めました。
     とは言うもののなにをどうしようかと改めて考えました。これしかない!覚悟を決めた私は深呼吸をしてから一歩踏み出します。
     
    「ふぅー……っよしっ! 凌牙!」
    「あ?」
    「えと……紫音!」
    「ん?」
    「しっ、シバケン!」
    「はぁ? なんで俺だけ名前じゃねえ……んですかぁ!?」
    「えヘヘ……実は一度こんなふうに呼んでみたかったんだ。今日だけだから、いい……かなぁ? わた……お、俺もっ! 頑張るから!」
     
     三人の表情を伺いながらなるべく柔らかい笑顔……に、なっているはずの顔でそう言いました。三人ともひどく怪訝な顔をしています。急に距離を詰めすぎたのでしょうか……彼らに心を開いてもらうことは出来ないのでしょうか。私はがっくりと項垂れてしまいました。
     
     しかしその直後、三人はため息まじりに言ってくれたのです。今日だけなら、と。とても嬉しくて彼らの名前を何度も呼びたかったのですが、流石に嫌がられるだろうと思い直しやめました。今日一日、この限られた時間の中で、どれだけ彼らの名前を呼ぶことができるだろうか、私はとてもわくわくしていました。
     
    「さ、て! 明日の社会奉仕活動の件はまたあとで、うーんそうだな、明日の天気予報を見てから改めて話し合うことにしようよ。今日は今日の予定をこなそうぜ! で、えっと今日は……特にない……ですね……あっ、ないわー! ……あれ?」
    「っていうかさ、さっきから思ってたんだけどこれって犬飼が言い出したことでしょ? 犬飼がやっぱやーめた、すれば済む話なんじゃない? ……と、俺は思うんですけどぉ」
     
     ハッとしました。確かにそうだ、そうなのです。記憶が無いとはいえ元々私が始めたこと、ならばやめる権利も私にあるという事です。私の我儘で彼らを振り回していいはずがありません。この事態を正直楽しく思っていたのは私だけで……。
     
    「なーんてね、いつもと違う犬飼さん、新鮮だし悪くないですよ。普段はできない楽しい事、俺らとシしませんか?」
    「え……いい……の?」
    「おもしれーから付き合ってやってもいいですけどォ? ま、全部録画して犬飼さんのクソヤバタメ口映像集明日全世界に晒しますけどォ?」
    「めんどくせぇ……ッス、もうどうでもいい、ッス。はぁ……だりぃ」
    「あ、ありがとう! 凌牙、紫音、シバケン! ……俺! マジ頑張るから! 一緒に楽しもうね! ……ところですみません、今更なんですけど私が俺っておかしく、ないですか? もしかして僕のほうが、あっあっ、ちが! ぼっ僕のほうが合ってなーい?」
     
     満場一致でどうでもいい、と返されました。でも皆さんが一緒に楽しんでくれると聞いて本当にほっとしましたし嬉しかったです。
     みなさんと私の心の距離が、どうかぐっと縮まりますように。更生へと繋がりますように。そう祈り、そして沢山の楽しい事を考えながら、この不思議な一日は始まったのです。
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    Replies from the creator

    あすと

    DOODLE夏の終わりの眠れないかいだくん(と誰か)の話
     別に、セックスなんてしなくたって死ぬわけじゃない。性欲なんて一人でだって満たせるし、そしたらあとは眠ればいいだけ。夢は見ない。寂しさは持っていかない。
     本当にほしいものが何なのかなんて自分でもわからない。繋がり、ほしいけど、繋がるってどういうことか本当はわからない。経験のないことは想像するしかないけど、経験がないからその材料すらも持ち合わせてはいない。仮に誰かが教えてくれたとしても、それはそいつの見解であって俺も同じとは限らない。
     だから、わからないことはずっとわからないまま、なんとなくわかった気になって欲しがり続けるしかないってこと。

     さっきまで生ぬるく感じてた扇風機の風は、今は少し寒いくらいだ。暇だな、暇だからこんなに余計なこと考えちゃうんだ。眠りたい。でも今眠ったら連れて行ってしまう。そんなのは嫌だから、目の前の背中にしがみつく。冷えた汗に頬をつける。ゆっくりと、同じリズムで震える体温。 どうして置いてくの、俺も一緒につれてってよ。一緒ならきっと、夢を見るのだって怖くない。ねえお願い、俺よりあとに眠って。置いて行かないで。俺が眠るまで、抱きしめて頭撫でてよ。子供扱いしたっていい、馬鹿にしたっていい、毎晩一緒に眠ってくれるなら、俺、誰よりもいい子になれるから。
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