「あー…しまった、飴の補充忘れちまったな…」
ビデオ鑑賞を一緒にしていたライトさんがジャケットやズボンのポケットを確認するようにぽんぽんと叩きながら呟く。
「珍しいね?いつも切らさないようにしてるのに」
「ああ、昨日郊外の子供に配って丁度なくなった事を忘れてた」
仕方ない、我慢するかとライトさんがテレビに視線を戻す横で僕は徐に立ち上がり部屋のデスクへ向かうと引き出しを開けて目的の物を手にしてソファーに戻る。
「はい、ライトさん」
そうして差し出したのは棒付きキャンディーのぶどう味。
それを見てライトさんは目を丸くする。
「偶然か?しかもぶどう味じゃないか」
「ライトさんの為に買ってあったものだからあげるよ」
それを聞いてライトさんは嬉々として受け取ろうと伸ばされた手を僕はひょいとかわした。
てっきり渡してもらえると思っていた彼は呆気に取られている。
「は?くれるんじゃないのか」
「うん、あげる。あげるけど…」
キャンディーの包み紙を外すと僕が持ったままライトさんの口元に差し出す。
「はい、舐めていいよ」
「よく分からんが…」
僕の言動に困惑しつつもライトさんは少し舌を出すとペロリと飴を舐める。
何度か舐めた後に僕から奪い取ろうとするように飴を持つ手に手を近付けてくる。
「ダメ。僕が持ってるからライトさんは飴を舐めて」
「あんた、……やれやれ」
僕の意図を理解したのか奪い取りはしないで僕の手に手を重ねて握ると、僕の顔をじっと見ながら先程よりも舌を差し出しゆっくりと見せつけるように飴を舐め上げる。
「はぁ…っ、…アキラ…」
吐息を洩らし甘さを含んだ声音で僕の名前を呼ぶと飴に唇を当てちゅう、と音を立てて吸い付いて。角度を変えて舌を這わし、遂には棒を持つ僕の指ごとベロリと舐めてくる。
僕が望んだ事だが見ている内にだんだんとムズムズして耐え難くなってくると視線を外し咳払いをした。
「っ、ごめん、僕が悪かった」
「?…なんだ、あんたが始めたんだろ?…それとも飴じゃないもの、くれるのか?」
僕の様子に恐らくニヤリと笑み浮かべているのだろう、少し楽しげな声からライトさんの様子が窺える。
そして意味深な言葉を続けたかと思えば彼の手が僕の下半身の中心部を撫でたのだった。