高間晴☆quiet followMAIKINGチェズモクの話。あとで少し手直ししたらpixivへ放る予定。 #チェズモク chesmok ##BOND ■ポトフが冷めるまで 極北の国、ヴィンウェイ。この国の冬は長い。だがチェズレイとモクマのセーフハウス内には暖房がしっかり効いており、寒さを感じることはない。 キッチンでチェズレイはことことと煮える鍋を見つめていた。視線を上げればソファに座ってタブレットで通話しているモクマの姿が目に入る。おそらく次の仕事で向かう国で、ニンジャジャンのショーに出てくれないか打診しているのだろう。 コンソメのいい香りが鍋から漂っている。チェズレイは煮えたかどうか、乱切りにした人参を小皿に取って吹き冷ますと口に入れた。それは味付けも火の通り具合も、我ながら完璧な出来栄え。「モクマさん、できましたよ」 声をかければ、モクマは顔を上げて振り返り返事した。「あ、できた? ――ってわけで、アーロン。チェズレイが昼飯作ってくれたから、詳しい話はまた今度な」 そう言ってモクマはさっさと通話を打ち切ってしまった。チェズレイがコンロの火を止め、二つの深い皿に出来上がった料理をよそうと、トレイに載せてダイニングへ移動する。モクマもソファから立ち上がってその後に付いていき、椅子を引くとテーブルにつく。その前にチェズレイは静かに皿を差し出した。「お、ポトフかあ」 湯気の立つそれを待ちきれない様子で、モクマは準備されていたナフキンの上にあるフォークを手に取る。「久々に作りましたが、意外と料理の手順や味付けって忘れないものですね」 モクマの向かいに皿を置いて、自分も椅子に腰掛けたチェズレイは微笑む。早くもモクマはほくほくのジャガイモを吹いて冷ますと口に入れた。「うまっ。――もしかしてこれ、お前さんの得意料理だったりする?」 それを聞いてチェズレイは薄く微笑みながら、自分のフォークを手に取る。「ええ。母が作っているのをよく傍で見ていましたから」「へえ。おふくろの味ってやつか」 モクマはそれ以上深く突っ込まずに、料理に夢中になっている。 自分の手料理を誰かに振る舞うことなんて、この生涯ではありえないはずだった。それが今やこうなのだから、人生とはわからないものだ。チェズレイは黄金色のスープの中のソーセージにぷつりとフォークを立てる。「ねぇ、モクマさん。食べながらでいいので、聞いてもらえますか」「ん? なにを?」「ちょっとした、昔話を」 その真剣な声音に、モクマの視線がチェズレイに移る。チェズレイの瞳は少しうつむいた視線で、話し始めた。「ご存知の通り、私の母は自殺しました。私は母を喪いたくなくて――いえ、あれはとっさの行動でしたね。ベランダから飛び降りかけた母の脚を掴みました。それでも所詮は子供の腕力。母を引き上げることもできずに自分の手が痺れて力が入らなくなっていくのを感じていました」 モクマは食べかけのポトフもそのままに、チェズレイと向き合ってその話に聞き入っている。チェズレイは話を続ける。「そうして――どれくらいでしょうか。永遠にも思える時間の後に私の腕の力がなくなり、母は地面に向かって真っ逆さまに落ちていきました。母の濁り具合からある程度予測していたとはいえ……混乱しましたね。首や脚がねじれて曲がり、コンクリートに血溜まりを広げる母の死体を、私は見つめていました」 そこでしばしの沈黙が落ちる。その静けさは耳が痛いほどだった。「時を経て、あなたたちと出会ったあの飛行船から落ちた時、私はそこでようやく気づきました。 ――あぁ、あの時の母とそっくりな状況だと」 そうしてチェズレイの瞳がようやくモクマを捉えた。「でも違った。あなたが私のところへ来てくれた」 そこでチェズレイはようやくソーセージを一口かじって、咀嚼して飲み込む。「あの時からですよ。私の旋律はあなたに狂わされっぱなしです」「……そっか。でも俺はきっとあのCAの正体がお前さんだと知っていても、きっと迎えに行ったよ」「そうでしょうね。あの頃のあなたは死に場所を探していた」 チェズレイの容赦ない返しに、モクマは困ったように頭をかいて笑うだけだった。そんなモクマの目を覗き込んでくるアメジストの瞳がある。じっと見つめられて喉が詰まるような思いになったモクマは、顔を引き締め、観念した様子で言う。「――でも今は違う。約束した通りに俺は生きる。お前と一緒に」 チェズレイが少し目を瞠ると、次は満足げにとろけるような笑みを浮かべる。モクマが少し驚いた顔をした。「一緒に暮らすようになってから、お前さんは毎日いろんな顔を見せてくれるね? おじさん、そんな顔されたらときめいちゃうんだけど」「ふふ。全部あなたのせいです。責任、取ってくださいね?」 肩を小さくすくめるモクマをよそに、チェズレイが残りのソーセージを口に入れる。すっかり冷めてしまったポトフが、今は染み入るように美味しかった。Tap to full screen .Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow 高間晴MOURNING140字敦太。 10 高間晴DOODLE敦太R18pass:18↑?すけべどうやったら描けるねん…… 高間晴DOODLE普段すけべを描かない人間の精一杯の敦太すけべpass:18↑? 高間晴DOODLE敦太すけべらくがきpass:18↑? 高間晴PAST過去の文スト短歌。カップリングとかはなんでもありのカオス。 40 高間晴DOODLE接吻せい……の心持ちで描いた related works torirakugakiDONEチェズモクちょっとネタバレ 高間晴DOODLEチェズモク800字。ただのえろ。 817 高間晴MAIKINGチェズモクの話。あとで少し手直ししたらpixivへ放る予定。■ポトフが冷めるまで 極北の国、ヴィンウェイ。この国の冬は長い。だがチェズレイとモクマのセーフハウス内には暖房がしっかり効いており、寒さを感じることはない。 キッチンでチェズレイはことことと煮える鍋を見つめていた。視線を上げればソファに座ってタブレットで通話しているモクマの姿が目に入る。おそらく次の仕事で向かう国で、ニンジャジャンのショーに出てくれないか打診しているのだろう。 コンソメのいい香りが鍋から漂っている。チェズレイは煮えたかどうか、乱切りにした人参を小皿に取って吹き冷ますと口に入れた。それは味付けも火の通り具合も、我ながら完璧な出来栄え。「モクマさん、できましたよ」 声をかければ、モクマは顔を上げて振り返り返事した。「あ、できた? ――ってわけで、アーロン。チェズレイが昼飯作ってくれたから、詳しい話はまた今度な」 そう言ってモクマはさっさと通話を打ち切ってしまった。チェズレイがコンロの火を止め、二つの深い皿に出来上がった料理をよそうと、トレイに載せてダイニングへ移動する。モクマもソファから立ち上がってその後に付いていき、椅子を引くとテーブルにつく。その前に 2010 itUDONSPOILERチェズモク モクマさんとお色気の術※一応M13以降推奨 2 高間晴DOODLEチェズモク800字。とある国の狭いセーフハウス。■たまには、 たまにはあの人に任せてみようか。そう思ってチェズレイがモクマに確保を頼んだ極東の島国のセーフハウスは、1LKという手狭なものだった。古びたマンションの角部屋で、まずキッチンが狭いとチェズレイが文句をつける。シンク横の調理スペースは不十分だし、コンロもIHが一口だけだ。「これじゃあろくに料理も作れないじゃないですか」「まあそこは我慢してもらうしかないねえ」 あはは、と笑うモクマをよそにチェズレイはバスルームを覗きに行く。バス・トイレが一緒だったら絶対にここでは暮らせない。引き戸を開けてみればシステムバスだが、トイレは別のようだ。清潔感もある。ほっと息をつく。 そこでモクマに名前を呼ばれて手招きされる。なんだろうと思ってついていくとそこはベッドルームだった。そこでチェズレイはかすかに目を見開く。目の前にあるのは十分に広いダブルベッドだった。「いや~、寝室が広いみたいだからダブルベッドなんて入れちゃった」 首の後ろ側をかきながらモクマが少し照れて笑うと、チェズレイがゆらりと顔を上げ振り返る。「モクマさァん……」「うん。お前さんがその顔する時って、嬉しいんだ 827 高間晴DOODLEチェズモク800字。結婚している。■いわゆるプロポーズ「チェーズレイ、これよかったら使って」 そう言ってモクマが書斎の机の上にラッピングされた細長い包みを置いた。ペンか何かでも入っているのだろうか。書き物をしていたチェズレイがそう思って開けてみると、塗り箸のような棒に藤色のとろりとした色合いのとんぼ玉がついている。「これは、かんざしですか?」「そうだよ。マイカの里じゃ女はよくこれを使って髪をまとめてるんだ。ほら、お前さん髪長くて時々邪魔そうにしてるから」 言われてみれば、マイカの里で見かけた女性らが、結い髪にこういった飾りのようなものを挿していたのを思い出す。 しかしチェズレイにはこんな棒一本で、どうやって髪をまとめるのかがわからない。そこでモクマは手元のタブレットで、かんざしでの髪の結い方動画を映して見せた。マイカの文化がブロッサムや他の国にも伝わりつつある今だから、こんな動画もある。一分ほどの短いものだが、聡いチェズレイにはそれだけで使い方がだいたいわかった。「なるほど、これは便利そうですね」 そう言うとチェズレイは動画で見たとおりに髪を結い上げる。髪をまとめて上にねじると、地肌に近いところへか 849 kanidaimyojinDOODLEらくがきをもったいない病で無理矢理スケベなチェモにしてしまった inuparadeDONEチェズモクR-18漫画 チェズレイの耳が弱かったらかわいい 2 iriyaichiDOODLEチェズモク掌編クリア後の寒い日の話です。極北って、寒いイメージで、なんとなく北欧想定ですが、どーなんだろ?? 7 recommended works 空木忍DOODLE<A-A>ATRANDOM(と、<AE-1β>EUROPA)Aナンバーズ順番にらくがきしていきたいなぁと思ったのですが、トップバッターから違うナンバー混ざってるw でもアトランダムといえばユーロパでしょう、ということでwその服どうしたの?!っていつも思うし、描いてても思いました。でっかい不器用なお兄ちゃん。ちょこんとユーロパの肩に乗って尖ってたころも好きですが、今の丸くなった彼も好きです。 高間晴DONEお題箱より通常エララと悪女エララのビフォーアフター。単色立ち絵とのリクでこんな感じになりました。 ★★★DOODLE急に懐かしくなって描いた2がいないのと猫がSAN減りそうな顔してる 3 高間晴MAIKING年賀状用のイラスト(線画のみ)丑年要素もなければめでたさの欠片もない。 masoo0803DONEチェズモクワンドロワンライ 様(お題:風邪)書かせていただきました!多分本編後のお話。本当に風邪引いてるのかは諸説ある 3 Osyarotto08DONE吸血鬼すぐ死ぬ ドラルク&ジョンのパンケーキアート matsusakadonDONE吸血鬼すぐ死ぬ、3巻感想 2 たいのDOODLEゴルゴナさんの声と話し方が品があってすごく好き。ファンブックのカバー下で、ドラウスと気が合う兄妹とあってフフっとなってしまった。壁の花しているルド君にも気さくに話しかけてくれて気が利く方なのだなと思います。もっと出てきて欲しいな~。 ふみか🍊MEMO🧛♂️ 4