マレ監 姫初め 前置きお正月なマレ監
一月一日。茨の谷の王城は騒がしさに満ち溢れていた。
新しい一年の始まりという事で挨拶回りに訪れた者達の対応で文官や近侍、侍女達が慌ただしく動き回っていた。
そんな中、王城の奥にある王族達の移住区では侍女達が満足気な顔で頷いていた。
「ああっっ優雨様なんて麗しい……」
「故郷の晴れ着だと仰っていましたが、誠に素晴らしい……」
「刺繍も染色も魔法無しの手作業だって……」
「はぁ……」
侍女達の前には次期王マレウスの婚約者である優雨が晴れ着を纏って立っていた。
黒地の宝尽くし。帯は金の麻の葉模様。帯締めは深い緑で茨を模して華やかであった。
「ささ!あとは御髪を整えましょう!」
「ふふ、みんなありがとう。よろしくね」
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