Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    しんした

    @amz2bk
    主に七灰。
    文字のみです。
    原稿進捗とかただの小ネタ、書き上げられるかわからなさそうなものをあげたりします。

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 64

    しんした

    ☆quiet follow

    タイトル通りの七灰です。
    フォロワーさん(ゲンキ丸さん@genki_pan_gohan)とお話していて興奮して書いたものです。本文前の設定にお目通しの上、大丈夫な方はお進みください。

    七灰俳優パロ①◯ざっくり設定◯

    七海建人:人気No.1若手俳優。クールで人付き合いが少なくSNSの更新もほぼ先輩の投稿のシェア。共演する前から灰原のことは知っていて、演じることを心から楽しんでいる姿を見て興味を持った。役者として灰原のことを尊敬しているし、人として大好き。同じ事務所の五条の絡みが鬱陶しい。

    灰原雄:注目度No.1若手俳優。元気で明るく芸能界でも友達が多くSNSの更新もマメ。七海のことは共演前から知っていて、普段の淡々とした姿から役に深く入り込むギャップに心を奪われた。なので、一緒の現場に立てたことが嬉しくて仕方なかった。役者として七海のことを尊敬しているし、人として七海のことが大好き。同じ事務所の夏油は憧れの先輩。


    七海と灰原は別の事務所。
    ふたりは付き合っている。
    告白は灰原から。
    付き合ってることは一応事務所にもオフレコだが、灰原が夏油によく七海の話しているので夏油にはバレている。


    ざっくりこんな感じの設定ですが、興奮して勢いで書いたので矛盾しているところもあるかもしれません。ご容赦ください。









    この業界で他人からの評価なんていちいち気に留めていたらキリがない。もちろん、自分の仕事に対しての反応はチェックするし、顔も知らないファンの何気ない一言から学びを得ることもないわけではない。
    とはいえ、仕事として表に出している自分はあくまで『俳優』として作り上げたもの。本当の自分なんて知らない有象無象に、自分の内面のことを好き勝手言われても正直どうでもいいし興味もない。
    そう思っていたのに。



    ぼんやりとSNSの検索結果を眺めていた時。とある文字を目にして、寝ぼけた頭が一気に覚めた。
    『この前のananで建人と共演してた灰原雄って何?』
    ほとんど日課になっているエゴサの最中にふと目に留まった何気ないつぶやき。
    元々同職種との付き合いが薄く、エゴサしても他人の名前は事務所の先輩くらいしか出てきたことがなかった。だから、自分の名前と灰原の名前が一緒につぶやかれたことに気付かないうちに浮かれてしまったのだろう。
    それが間違いだった。
    『最近売れてきた俳優。なんか同い年だからって両方の事務所が共演押してるらしいよ』
    『へー。ていうか、雑誌以外で建人と一緒に出てたっけ?』
    『ドラマでは一回、バラエティはこの前ので二回目かな。でもドラマはチョイ役だったし、絡みもあんまりなかったよ』
    『確かに。ドラマ全然気づかなかった』
    『でもなんかのインタビューで、最近仲良しなんですー!(原文ママ)って言ってたよ』
    『なにそれ。ウザ』
    「は?」
    口から勝手に声がこぼれていた。寝起きということを加味しても、地を這うような低い声に自分でも内心驚いた。しかし、そんなことよりも、スマホの画面に映される言葉たちから目を逸らすことができない。
    『でも、最近たまに灰原のインスタに建人の写真上がってるよね』
    『でも建人シェアしたことなくない?』
    『先輩とのやつはいつもしてる』
    『なにが仲良しw』
    『建人があんな明るいだけがとりえみたいなやつと仲良くするわけないだろ』
    頭の片隅で、もうやめておけと、いつもの冷静な自分が言っているのは分かっていた。それでも、画面をスクロールする指を止めることはできなかった。
    『どうせ売名でしょ。図々しい』
    そこまで読んでから、流石にスマホの画面をオフにした。腹の底から迫り上がってくる様々な感情を押さえ込むように、長く深く、呼吸を繰り返す。こんなこと、この業界に身を置いているならば日常茶飯事。それだけ大勢の目に止まっているという証でもあるし、いちいち気にしていたらこの世界ではやっていけない。
    そう、頭では分かっているのに。
    いまだ手にしていたスマホをクッションの下へ押し込んで、腕の中でスヤスヤと眠る灰原の頬をそっと包み込む。
    やっと重なったオフ。灰原の部屋へ行くのも久々で浮かれて食材を買い過ぎてしまったが、灰原と一緒にお昼を作るのは楽しかった。それに、嬉しそうに食べ物で頬をパンパンにしている灰原を目の前で眺められるのは、幸せ以外のなにものでもなかった。
    食後は灰原が用意していた名作と言われる古い映画を鑑賞した。オフとはいえ、お互いにメディアの露出も増えて気軽に出掛けることが難しい身。会うのは必然的にどちらかの部屋で、こうして娯楽なのか後学なのか分からない過ごし方をすることが多い。それでも、自分も灰原に負けず劣らず役者馬鹿な部分も持ち合わせているから、二人で意見を交わしながら名作を鑑賞するのは単純に楽しかった。
    しかし、腹の皮が張れば目の皮が弛むとはよく言ったもので、お互いに目元に触る回数が増えたところで顔を見合わせて笑い、レコーダーの電源を落とした。
    対して広くないソファへ二人で横になり、狭いねとはにかんだ灰原を腕の中へぎゅうっ、と抱き込む。すると、背中へ回った腕が同じように抱きしめ返してくれて、たまらない気持ちで胸が苦しくなった。なんとか顔が見えるように体勢を整えると、灰原は途中まで見た映画の感想を話し始めた。
    役者としてひたむきに努力している灰原から受ける刺激はたくさんある。ただ純粋に演じるということが大好きで、それを全身で表現している姿を見ていると負けていられない、なんて気持ちにさせられる。役者として同じ場所に立っていたいと、そんなふうに思わされる。
    しかし、灰原に惹かれる理由はそれだけではないのだ。明るいところ、前向きなところ、笑顔を絶やさないところ。結構頑固なところがあるのは最初驚いたが、人当たりがよく柔軟でありながら芯の強い部分も持っているところに興味がそそられた。意外と細やかな一面を垣間見た時は、普段とは違う柔らかな表情から不思議と目が離せなくなった。
    灰原は好きになったのは自分が先だ、とよく言うが、実際は自分の方が先に灰原を好きになったと勝手に確信している。なぜなら、こっちは共演する前から灰原のことを意識していたのだから。
    役者としてもひとりの人としても、灰原のことを尊敬している。ただ単純に好きだと思うし、灰原に好きと思われたい。だからこそ、役者としての灰原もひとりの人としての灰原も大して知らない人間に灰原を蔑まれたことをどう受け止めていいか分からなかった。
    自分のことなら何を言われてもどうとでも処理できる自信がある。それなのに、灰原のことになると感情を上手く制御できない。自分が関わっているのなら尚のことだ。
    「……クソが」
    ようやく出せた言葉は、画面の向こうの顔も知らないファンと不甲斐ない自分自身へ向けた苛立ちだった。
    「んぅ、……ななみ?」
    小さな呟きのつもりだったが、小さく身じろぎした灰原は寝起きの舌足らずな声で名前を呼んでくれた。
    「ごめん、起こしてしまったな」
    「ううん、だいじょーぶ」
    乱れた髪の毛をくしゃくしゃとかき回すように頭を撫でると、灰原はくすぐったそうに目を細める。しかし、お返しなのか仕返しなのか同じように手のひらを伸ばしてきた灰原は、まだ眠そうだった瞳をキョトンとさせた。
    「どしたの?」
    「え?」
    「なんかやなことあった?」
    しんどそうな顔してる、と続けた灰原の手のひらが頭ではなく頬を包み込んだ。少し高い体温がじわりと伝わってきて、ドロドロとした感情が不思議と薄くなっていく。
    あんな心無い言葉を灰原に見せたくない。それでも、灰原に隠し事はしたくない。そう思い、自分の見たことと抱いた感情を正直に告げると灰原はふっ、と目元を緩めた。
    「なーんだ」
    なんだとはなんだ、と言い返したかったが、柔らかく髪を撫ぜる灰原の手のひらが心地よくて、上手く声にならなかった。
    「七海が気にすることないのに。よくあることじゃん、この業界にいたらさ」
    「それは……そうかもしれないが」
    きみだけのことじゃないだろう、と口からこぼれかけた言葉をぐっ、と飲み込んだ。灰原にそんなことを言える立場に自分がいるのか、よく分からないからだ。
    「ごめんね、心配かけて」
    灰原が困ったように微笑む。灰原に謝らせてしまう自分が不甲斐ない。自己嫌悪を陥りそうになっていると、不意に視界が灰原でいっぱいになった。
    「あと、心配してくれてありがと」
    唇に訪れた、柔らかな感触。それから、灰原の気恥ずかしそうな笑顔が目の前にあった。
    「そりゃ、全然気にならないっていうのは嘘だけど、僕が七海のこと好きなのはほんとだし、七海にもそのことは伝わってるって僕わかってるもん。それに、七海も僕のこと好きでいてくれてる、ってのもほんとのことだしね」
    「……そうだな」
    やっぱり灰原はすごい。尖っていた心が丸くなって、自分が本当に大切にしたい気持ちがなんなのか、気づかせてくれる。
    「あ、七海がインスタの使い方よくわかってないのも僕ちゃんと知ってるからね!」
    「それは余計だ」
    咄嗟に言い返したものの、実際自分がSNSに疎いことは自覚している。元々興味もなかったが事務所からアカウントを作れと言われ仕方なく開設したら、事務所の先輩たちが写真を投稿するとスマホを奪われて強制的にシェアやいいねをさせられるようになった。正直、自分では画像を投稿するので精一杯だ(タグの使い方もよく分かっていない)。
    しかし、自分が行動しなかったことが原因で灰原へ心無い言葉が向けられるのは申し訳ないし不甲斐ない。
    「……写真撮ってもいいか?」
    インスタにあげたいから、と付け加えると灰原は驚いたように目を丸くした。
    「え?もちろんいいけど」
    急にどうしたの?と珍しく戸惑っている灰原がじわじわと頬を綻ばせていく。
    付き合う前も付き合ってからも写真を撮るのはいつも灰原だった。灰原が楽しそうにツーショットを撮ってくれることに甘えていたし、自分は灰原の特別なんだと実感して一人で勝手に満足していた。
    お互いが想い合っていればいい。他人なんて関係ない。そんなことを思っていたのだ。
    けれど、自分たちは役者で人前に自分を晒すことを生業としているのであれば、それだけではいけないのだと気付かされた。
    「じゃあ起きよっか。さっき見てたDVDのジャケットでも入れちゃう?」
    モゾモゾと腕の中から抜け出そうとする灰原をやんわりと静止する。
    「待って」
    もちろん、こっちがいくら意図を持って発信したとしても、好き勝手言われることは痛いくらい理解している。灰原の言う通り、よくあることだと流す方がこの業界では正解だとも思う。
    「少し、やりたいことがあるから」
    それでも、好きな人を悪く言われて大人しく黙っていられるほど自分は大人でもなければ冷めてもいないのだ。



    「や、七海」
    とあるファッション雑誌の撮影現場。そこで声をかけてきたのは、灰原と同じ事務所で先輩でもある夏油だった。
    「おはようございます、夏油さん。今日はよろしくお願いします」
    「おはよう。こちらこそよろしくね」
    夏油とは少し前にゴールデンのドラマで共演した。今回はその繋がりの対談企画で、作品へのインタビューの他タイアップしていたブランドの新作も何着か撮る予定になっている。
    「そういえば、七海も結構やるねぇ」
    メイクが始まる前の二人きりの楽屋で適当に雑談していると、唐突にそう言われた。
    「何がです?」
    素知らぬ返答をしてみたが、夏油はニヤニヤと含みのある笑みを浮かべている。
    夏油が言わんとしていること。それがつい先日自分がインスタにあげた灰原とのツーショット写真であることも、その投稿がお互いのファンの中で軽くバズってしまい、ネットメディアで取り上げられたということも、もちろん分かっていた。
    「怒られなかった?」
    「別に。プライベートのことなので」
    怒られはしなかったがマネージャーにやたらと驚かれたし、事務所の先輩である五条には「いつもあんだけ俺との写真送ってやってんのにどういう了見だお前ェ」と鬱陶しい絡み方をされた。ただ、周囲の反応はもちろんのこと、ファンの間の反応も想像していたよりも好意的なものが多く正直拍子抜けした。
    「そっか。灰原も特に何も言われてないみたいだよ。ほんとに仲良いんだな〜、とは言われてたけど」
    よかったね。そう続けたは夏油はさっきのいやらしい笑みではなく随分と穏やかな顔で笑っていて、ほんの少しだけくすぐったくなってしまう。
    「いやぁ、それにしても七海があんな写真あげるなんてね」
    夏油がいう『あんな』とは──。
    『あどけない寝顔に夢中!?#仲良しは本当だった!【人気No.1若手俳優七海建人×注目度No.1若手俳優灰原雄】狭いソファで一緒にお昼寝♡写真を投稿』
    これがネットメディアが写真を取り上げた時の記事のタイトルだ。
    投稿したのは『寝起きの七海が眠っている灰原を抱きしめている』という写真。ちなみに『仲良し』のタグ付きだ。
    灰原との写真を撮ろうと思った時、普通に撮っては意味がないと思った。仮に自分がSNSに灰原との写真を投稿しても、いつもと同じような構図だとどっちが撮ろうと言い出したのか分からない。普段の自分の態度から、大多数の人間は灰原が撮ったのだろうと思うに違いない。それに、歪んだ見方をする人間は、灰原が強引に撮らせたなんて解釈するかもしれない。だから、出来るだけこちらが主体で撮ったものだと思わせるようなシチュエーションにした方がいいだろうと思い、灰原に寝たふりをしてほしいと頼んだのだ。
    もちろん、何をしてもこちらが思っていることが全員に伝わらないのは嫌というほど知っている。それでも、こっちの気持ちを微塵も知らない人間に好き勝手言われてばかりでいるのは我慢ならなかった。
    ネットメディアのタイトルの効果もあったのか、自分たちの仲が良いということはお互いのファンの間以外にも広がっているようで、エゴサをすると今までよりも灰原の名前も一緒に上がることが増えた。別に仕事へ繋げようなんて微塵も思っていなかったが、今度クイズ番組で同じグループとして出演することが決まり、内心浮かれていることは灰原にも言っていない。
    「でも、あれ灰原寝たふりしてるだろう?」
    夏油の言葉に浮ついていた頭が一気に冷めた。ついさっきまで優しい先輩だった夏油の表情は、一転して悪友である五条とよく似た面倒で鬱陶しい先輩の表情に変わっていた。
    「……よく分かりましたね」
    「一緒に稽古することも多いからね。演技してる灰原は七海よりもよく知ってると思うよ」
    「そうですか」
    「髪の乱れ方とかブランケットの被せ方は七海がセットしたのかい?灰原のあどけなさが引き立ってて良かったよ。そうだ、構図も上手かったけど、フィルターがかなり良い仕事してたね。あれは灰原がしたのかな?ああ見えて灰原はアプリとかツール使うの上手だよね。流石、売れっ子が二人揃うとプライベートでもあそこまで良い写真が撮れるもんなんだね。みんなほんとに寝起きだって思ってるよ」
    でも、貴方は全部気が付いたんでしょう。
    そう返すことはなんだか癪で、ただグッと唇を真一文字に結ぶことしかできない。一通り揶揄い終えたのか、夏油はスッキリとした顔をしている。
    「まあ、役者じゃない灰原を一番知ってるのは七海だろうし、それは七海も同じだろう?」
    「……そうだと思いますが」
    「じゃあ、ああいう写真だけじゃなくて、そのままの灰原との写真もたくさん撮りなよ?」
    ──灰原、すごく喜んでたからさ。
    内緒話をするように夏油が声をひそめた。
    確かにあの写真を撮る時、灰原は少し恥ずかしがりながらも、とても嬉しそうにしていた。写真を加工している時も、どんな風がいいのかこうしたらどうかと、たくさん試しながら楽しそうにしていた。あの写真はあくまでも俳優として自分たちを見ている人へ向けたもの。それでも、灰原は二人で写真を撮ることを心から喜んでいたのだ。
    「言われなくても分かってます」
    「そっか」
    早く灰原に会いたい。今日の撮影は夕方までと言っていたから、自分の撮影が伸びなければ夜会えるかもしれない。夕食を作る余裕はないかもしれないから何か買って行こうか。ここからだと、いつものスーパーよりも百貨店の地下の方が近いはずだ。
    早く会って、一緒にご飯を食べて、ソファに座って話をして。俳優ではないただの七海建人として、灰原との時間をただ過ごしたい。
    「じゃあ、ちゃちゃっと仕事終わらせますか」
    「そうですね」
    夏油がどこまで灰原のスケジュールを把握しているのかは知らないが、きっと自分がいま頭の中で考えていたことは夏油にはお見通しなのだろう。
    癪ではあるが、夏油のいう通り仕事を伸ばすわけにはいかない。早く灰原に会うために、今は俳優七海建人の顔でカメラの前に立たなければならないのだ。そう思い、パンッと自分の頬を両手で軽く叩いてみた。
    「ははっ、ほんとやるねぇ」
    夏油は面白いものを見たと笑っていたが、今はそんなことどうでもよかった。


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏👏💞💞💞💖💕💖💖💖💖💖💖💖💖🙏💖😍❤❤❤🙏😍💘💖💖👏💕😭😭😭😭💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    しんした

    PROGRESS3月インテの七灰原稿進捗です。
    生存if30代後半の七灰が古民家で暮らすお話。
    暮らし始めたところまで書けたので、とりあえず暮らすぞーってなった部分までをあげました。
    生きるってどういうことかな、ということを多少真面目に考えて書いたつもりですが上手くまとめられているかは分かりません。七灰はいちゃいちゃしてます。
    推敲まだなのでいろいろとご了承ください。
    続き頑張ります。
    3月七灰原稿進捗②.




    呪術師という職業は一応国家公務員に分類されている。高専生時代から給料が支払われるのはその為で、呪術師のみが加入できる特別共済組合という制度もあり、規定年数納税すれば年金も支給されるし、高専所属であれば所属年数に応じた金額の退職金も支払われる。
    「うーん。まあ、別にお金に困ってるわけじゃないし、退職金のこととかそんな気にしなくてもいいよねぇ」
    デスクトップディスプレイに表示された細かな文字列を追っていた灰原は、椅子の背にもたれて小さく言葉を漏らした。
    真っ黒にも程があるブラックな呪術師という職業も、書類上だけ見ると就業規則や福利厚生など案外きっちりと定まっている。給料も一般的な国家公務員とは比較にならないくらいだ。(もちろん、呪術師の仕事内容を考えると当然のことだと思う)
    7556

    recommended works