♡のちょこれーと「ライトさんいらっしゃい」
ライトが軽くノックをすれば待っていたかのようにすぐにアキラが出迎えてくれる。
それに礼を言い中へと入ると腕を引かれてそのまま2階のアキラの部屋まで招かれた。
「今日貴方と過ごせるのを楽しみにしていたんだ」
「それは奇遇だな、俺もそう思っていた」
ライトが返せば嬉しそうにはにかむ。
ソファーに促されライトが座ると上機嫌のままアキラが机の上に積まれたビデオをいくつか見せてきた。
「今日は恋人と過ごす日だからそれに見合ったテーマの映画を見繕ってみたんだ、ライトさんはどれが見たい?」
うきうきと楽しげにそう聞いてくるアキラに温かい気持ちになりつつ映画の前に済ませておこうと自分が持ち寄ったものを取り出す。
「その前に、アンタにプレゼントだ」
「え、」
ぽい、とアキラの手に小さな箱を乗せる。
それに見開かれるアキラの目にライトが肩をすくめる。
「なんだ、用意してないと思ったのか?」
分かりやすく驚いているアキラにからかうように言えばフルフルと頭を横に振る。
「そんなことは無いけれど、でもいざ貰えると凄く嬉しくて、驚いてしまったんだ、」
照れくさそうに笑うアキラにライトが小さく笑う。
「そんなに喜んで貰えるならあげたかいがあるってもんだな」
「今開けてみてもいいかい…?」
ソワソワと落ち着かない様子のアキラに頷けばじゃあと箱の蓋が開けられる。
数粒のチョコが入ったそれは可愛いハートの形をしている。
「バレンタイン仕様らしい、可愛いだろ?」
いたずらっ子のような笑みを浮かべながらそう言うと1粒手に取りぱくりと自分の口に放り込む。
あ、と小さく声を出したアキラの口にちゅっとキスを落とすと開いたままの口にチョコを押し込む。
驚いて落としそうになったチョコの箱をライトが攫いテーブルに置く。
「どうだ?」
呆けているアキラにしてやったりと笑って問うライトにじわりと顔が赤くなる。
「…とても、甘いね…」
口の中の溶けかけたチョコを咀嚼しつつ答えればライトが楽しそうにくつくつと笑う。
「美味いだろ?ほら」
もうひとつ手に取るとライトがアキラの口にチョコを当てる。
大人しくアキラが口を開けて含むと当然のように後に追って口付け、自らの舌でチョコを溶かす。
アキラの咥内でチョコとお互いの唾液が混ざり合うそれをこくんと飲み干す。
口を離すとライトの頬が僅かに赤らんでいた。
「…ん、確かに甘いな…」
唇についたチョコをペロリと舐め取りつつそう呟くライトにゾクリと背筋に僅かなしびれが走る。
ライトに気付かないようにアキラのめがす、と細められる。
「うん、でも癖になりそうだ」
今度はアキラがチョコを取ると自分の口に入れライトに口付ける。
それに口を開けたライトに先程のお返しとチョコを送るとそのまま舌を絡める。
互いの熱で小さくなるチョコを他所にライトの舌に吸い付けば驚いたのかビクリと震える。
それにほくそ笑みながらチョコが溶け切ったあとも上顎を舐め歯列をなぞって遊んでいればきゅ、と小さく袖を引かれる。
「ァ、キラ…ッも、ンンっ」
顔を引いて離れようとするライトの後頭部をすかさず押さえ更に深く口付ければビクビクと震えるのが伝わってくる。
じゅるじゅると舌を吸えば都度震える様子が可愛らしい。
うっすら目を開ければズレたサングラス越しにぎゅっ、と瞑った瞼が見える。
弱い力で握っていた袖が強く引かれて
そう言えば鼻で息継ぎをするのが苦手だったなと思い出して口を離す。
「ぷは、はっ、はぁ、急に盛っ…ンンン」
口が離れて慌てて酸素を取り込むライトを横目にチョコを1粒口に含みライトのサングラスを外すともう一度口付ける。
最初の余裕はどこへ行ったのかそれだけでビクリと震える身体にまたゾクリと興奮が走る。
ちゅくちゅくとわざと音を大きく鳴らせば恥ずかしいのか耐えるように掴む力が強くなる。
「ふ、ァ、んむ…あっ」
逃げていくライトを追いかけて深くすれば甘い声が混じる。
そのまま押し倒す形になっても続けていると流石に限界なのか背中を叩かれる。
「ッ長い…っ、ぞアキラ…」
口を話せば真っ赤な顔でアキラを睨みそう言う。
「ごめんね?でもすごく美味しかったから…」
眉を下げつつライトの唇を撫でればライトの肌がぶわりと更に赤くなる。
「…そ、うか…なら仕方ない…な…」
そう言いつつもうおしまいだと言うように肩を押される。
「まだチョコは残っているよ」
当然の様に言えばライトの目が見開かれる。
「は…?も、もういいだろ…っ」
「始めたのはライトさんじゃないか」
「ぅぐっ…!」
言葉に詰まるライトの唇にチョコを押し当てる。
「自分から始めたのだからちゃんと最後まで責任とってくれるんでしょ、ライトさん?」
にこりと優しく微笑めばライトの口からひ、と小さく悲鳴が上がった。
「ぅんッ、ん…ふむ、は、あ…」
「大丈夫かいライトさん?」
最後のチョコが溶け切り口を離す飲み込みきれず溢れたチョコをぺろりと舐めとり惚けたライトに目を向ける。
トロリと溶けた瞳が潤んで飴玉のようだった。舐めたい衝動に駆られつつも溢れてしまいそうな涙を拭う。
「チョコも全て食べてしまったし…映画でも観ようか…?」
ライトの頬を撫でつつそう言えばきゅ、とライトの眉が寄る。
「わっ、ン」
襟元を掴まれたかと思うとそのままむちゅ、と唇を押し当てられる。
甘い舌がぺろ、とアキラの唇を舐めて僅かに離れる。
「ま、だあるだろ…」
示すようにライトの脚がアキラに擦り寄る。
「最後までって言ったのはアンタだろ…?」
誘うように首に回る腕にアキラはゾクゾクと堪らなくなる。
「ん、そうだね…こんなご馳走残す訳にはいかないもの」
興奮に荒くなる息を自覚しつつちゅ、とライトの首筋にキスを落とした。