エンデヴァーとホークスとホラー映画とどうか助けてください
ーーなんて、ヒーローらしかぬ事を叫びたくなる23時。
暗闇の部屋に充満するポップコーンの香り。
唯一灯る液晶テレビには鬱々とした音楽と恐怖に苛まれた男女の映像が流れている。
ソファには俺とエンデヴァーさん。
ファンなら泣いて喜ぶ光景である。
何たって『推しと過ごす夢の映画鑑賞会』が目の前で行われているのだから。
しかし俺は今ーーめちゃくちゃこの場から逃げ出したいと思っている。
*
仕事帰りエンデヴァーさんが珍しく自宅で映画を観ないかと誘ってきた。
福岡でのチームアップ。このまま俺のセーフハウスに泊まって明日静岡に帰るという手筈だった。
「映画っスか。良いですけど」
なぜ俺に?そう思わなくは無い。
でもそれ以上に関心は映画の内容よりも映画を観るこの人に移る。
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