ふと、瞼が軽くなるのを感じ、何かに引っ張られるように意識が覚醒する。
オレンジの小さな光を頼りにベッドサイドの時計を見ると、深夜2時の表示。
(中途半端な時間に起きてしまった)
隣で静かに眠る左馬刻くんを起こさぬよう慎重に、時計の隣のペットボトルを取った。生ぬるい水が乾いた喉と身体を潤してくれる。
何気なく視線を落とすと、身体のあちこちに赤い痕が散らばっているのが見えた。とはいえいつもの服で隠れる範囲ではあるし、何より意識を失う前まで体液に塗れていたと記憶しているが、それが綺麗に拭われている。
左馬刻くんの優しさに、胸の奥がじわりと暖かくなる。
(夜が明けなければ、いいのに)
自然と浮かんできた思いに、自分でも少し驚いた。
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