兄達よ和解せよ⑤〜これから編〜「……好きだ、戴天」
宗雲がそう言ってから、2人の間に会話は無かった。ひたすら無言で歩いて辿り着いた先は、宗雲が部屋を押さえたホテルの入り口だった。
ホテルの入り口から漏れる灯りが2人を照らす頃には、自然と繋いでいた手はどちらからともなく解かれた。さすがに人目につくのは良くないとお互いの立場と理性が告げていた。
ホテルのロビーにあるソファーに戴天を座らせ、宗雲はひとりでフロントへと向かった。名前を告げると、すでに支配人から話が通っていたのか、特に何も聞かれることなくスタッフからカードキーを渡される。
宗雲が戴天の元へ戻ると、戴天が熱心にスマホを見つめていた。
「どうかしたか?」
「いえ、雨竜くんに連絡を」
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