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    かとうあんこ

    赤安だいすき

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    POIPOI 68

    かとうあんこ

    ☆quiet follow

    花火を見に行く両片思い赤安

    恋に落ちる、花火が上がる好きな人が恋に落ちる瞬間を、僕は見てしまった。

    「本当にすみませんっ、あのクリーニング代を」
    「気にしないでくれ。この暑さだ、すぐ乾く」
    「でも」
    自宅から徒歩五分の距離にカフェがオープンした。
    通り沿いに面した大きな窓から観葉植物が生い茂っている店内を見て、赤井の顔がすぐに浮かんだ。
    赤井が植物に興味があるかどうかは知らないけれど、まるで熱したフライパンのようなアスファルトの上を歩くよりも、オアシス然としたカフェに座っているほうが似合う。
    だから赤井を誘うつもりで『たまたま通り掛かった』ところ、ジョウロで鉢植えに水遣りをしていたカフェの女性店員が赤井にぶつかった。
    彼女は何度もお詫びの言葉を述べた後、僕たちを店内へと案内し、清潔なタオルと看板メニューだというレモンチーズケーキを出してくれた。
    そんな彼女を赤井が熱心に見つめる横で、僕はフォークを噛んでいる。
    「俺の分も食べていいぞ」
    赤井が自分のチーズケーキを僕に差し出す。「帰りましょう」と言い出さないようにチーズケーキで僕のおしゃべりな口を封じたいのだろう。
    「とても美味しいよ。このチーズケーキは店内で?」
    一口しか食べてない癖によく言う。
    美味しいのは同意できるので、僕は赤井のチーズケーキにフォークをブスッと刺した。
    焼き目のついた表面はよくあるチーズケーキと同じだが、断面は鮮やかな黄色。赤井に褒められて頬を赤く染めている彼女いわくレモンの蜂蜜漬けを使ってこの色を出しているらしい。
    「そんなに難しいレシピじゃないんですよ」
    「ホォ……俺にも作れるかな」
    カフェでこんな会話が聞こえて来たらブラックコーヒーみたいな見た目に反してスイーツに関心があるように思うだろうが、赤井は実は甘いものがそこまで好きではない。
    興味があるのは彼女のほう。
    彼女も赤井の視線が満更でもないようで「シャツのお詫びにレシピをお伝えしましょうか?」とエプロンのポケットからスマホを取り出した。
    二人の邪魔をしないよう、先に帰ろう。
    僕は杖を手を伸ばしたが、慌てたせいで杖を床に落としてしまった。カーンと硬質な音がして、カフェにいた客たちがこちらを振り返った。
    彼らが音の出所に気づくよりも赤井が僕の杖を拾うほうが早かった。
    「ありがとう。また来たときに教えてもらえると有り難い。生憎今はメモがなくてね」
    ダメ押しとばかり笑顔を浮かべると、女性は「はい」とはにかみながら応えた。
    「僕までご馳走になってしまい、すみません」
    「とんでもありません!私が不注意で服を濡らしてしまったのがいけないんですから……よかったらまたいらっしゃってくださいね!」
    そう応える彼女の耳元で貝殻のイヤリングが揺れていた。
    おそらく二十代後半。感じのいい笑顔と長く綺麗な黒髪。どれも僕にはないものだ。
    同じ家で暮らし、体の関係がある男がそんな女性に色目を使っていたら普通は「浮気は許さん」と怒るところだろう。
    でも僕は赤井と同居してセックスもしているが、浮気を責められる立場ではなかった。
    組織が壊滅して三年が経ったある日、僕は仕事中に重症を負った。幸い命には別状がなかったものの、リハビリをしても杖なしで歩けるようにはならなかった。
    上司に辞表を提出し、そのままアメリカへと飛んだ。
    「赤井、僕の左足になれ」
    「わかった」
    赤井は理由も聞かずに頷くとFBIに辞表を出した。後から知った話だが彼は僕が怪我をしたことさえ知らなかったらしい。
    それなのに決断まで五秒もかからなかった。
    日本に来てからは本当に僕の足となって、一緒に仕事をし、一緒に暮らしている。
    もしあの時、赤井が断ったり戸惑ったしたら、僕は前に進めていたかわからない。そんな男に感謝こそすれ、嫉妬していいはずがない。
    自宅の玄関を開けて部屋に入ると赤井は当然のように部屋に上がった。
    「いつまでそんな格好でいるつもりですか?着替えて来てください。そろそろ依頼人が来ますよ」
    「君の部屋にも俺の着替えはあるだろ?」
    「……まったく」
    このビルは僕の退職金で購入した。師である毛利先生にならって探偵事務所を開き、他の階を住居にしている。
    当初は一階が僕の部屋、二階が探偵事務所、三階が赤井の部屋だった。
    一度、僕が酔っ払って「セックスを経験しないうちに足がだめになった」と泣いたところ赤井は「問題ない」と言って僕を抱いた(僕としては抱かれる側になることを指して嘆いたわけではなかったのだが)。
    以来、赤井は僕の部屋で寝たり自分の部屋に帰ったりと自由気ままに過ごしている。自然と赤井の私物が増え、今では僕個人の住居というより『二人の家の一階部分』と言ったほうが正確ですらある。
    アイロンを掛けておいたシャツを出してやると、すでに半裸になっていた赤井が「ありがとう」と言って受け取った。
    一緒に暮らし始めて5年。僕は37歳、赤井は40歳になった。
    短くはない時間を一緒に過ごしているが、彼が恋をしたのはこれが初めてだと思う。
    言い寄られたことは何度もあっただろう。僕も何度か目撃したことがあるが、取り付く島もない態度だった。
    「いい店だったな」
    「そうですね」
    「事務所にも観葉植物を置いてみようか」
    「……置くならあなたの部屋にしてください」
    赤井が好意を向けたのは彼女が初めてだ。道を歩いてて水をぶっかけられたというのに、恋が始まるなんて。
    人生、何が起きるかわからない。

    それから赤井は足繁く彼女のカフェに通うようになった。
    僕が事務仕事をしていたり、依頼人からの電話を受けている時に事務所を出ていく。
    まるで自習の時間に屋上へ遊びに行く学生みたいに。
    僕が「一緒に行く」と言わないタイミングを見計らって、赤井は彼女に会いに行く。
    僕は赤井の恋路を邪魔するつもりはない。これ以上、赤井の人生から何かを奪うつもりもない。
    でも『少し出て来る』と書き置きを残して事務所を出て行く赤井を目で追うことをやめられずにいる。
    『もしもし、降谷さん?』
    「ああ、ごめん、資料が見当たらなくて……ああ、あった」
    パソコンのディスプレイに表示されたままになっていた資料をさも今見つけたかのように嘯くと、新一くんは『降谷さんでもそんなことあるんですね』と笑った。
    同業者である新一くんとは定期的に連絡を取っている。依頼人のことで元公安の僕に相談してくることもあるし、僕のほうが彼の人脈を頼ることもある。
    『やっぱりこの依頼は裏がありそうですね……』
    「そうだね。僕らが代わりに調査してきてもいいよ?」
    『大丈夫です!働かないと蘭に叱られますから』
    「ははは」
    新一くんと蘭さんは去年結婚した。新婚なのだから危ないことは控えろよ、と赤井が言った時も新一くんは同じことを言っていた。
    相手の人生を背負う覚悟が彼をさらに強くしている。
    僕に同じ覚悟があっただろうか。
    足が不自由になって、誰かに頼りたくなった。その誰かは赤井しか考えられなかった。
    『そういえば、今週の日曜日の花火大会って降谷さんたちは見に行きますか?』
    「今のところ予定してないよ」
    去年までは赤井と二人で見に行っていたが、今年はどうするか話してない。聞くのも野暮だと思ったから。
    『よかったら一緒に見ませんか?蘭が商店街の福引きで鑑賞シートを当てたんですよ!』
    鑑賞シートというのは花火大会に協賛している商店街が売り出しているもので、花火の特等席をブルーシート一枚分ごとに購入することができる。かなり人気があり、すぐに売り切れてしまうプレミアチケットだ。
    「へえ、すごいね」
    『昔からくじ運がいいんですよ』
    新一くんはまるで自分のことのように彼女の運の良さを話す。実際、彼が危ない場面に遭遇しても大きな怪我なく来れたのは彼女のもつ強運のお陰だったのかもしれない。
    『シート一枚で十人ぐらいは座れるんで、みんなを誘おうって話してるんです。だから降谷さんと赤井さんもよかったら!』
    「ありがとう。赤井は用事があるみたいだったから僕だけお邪魔させて貰おうかな」
    『へえ、珍しいですね』
    赤井が僕抜きで行動することを新一くんは珍しがっていた。そのことに何度目かわからない罪悪感を覚える。
    『じゃあ、詳しい時間とかはメールします』
    「うん」
    電話を切ってため息を吐く。
    「そろそろ潮時なのかな」
    紛れもない本心なのに、赤井がいない人生を僕は想像することができなかった。
    しばらくして赤井は甘い匂いをさせて戻ってきた。
    今日も彼女のお手製のチーズケーキを食べたようだ。
    「ただいま。悪夢のような暑さだ」
    ニット帽を脱ぐと手でくしゃくしゃと髪をかき混ぜた。癖の強い髪は持ち主同様に自由に気ままなほうを向いている。
    「新一は何か言ってたか?」
    「少し厄介な案件を抱えているようですね。内容はあなたのメールにも送っておきました」
    「わかった。目を通しておく」
    「それから……」
    隠すとあとでしこりが残りかねない。
    赤井に恋人ができたとしても、ビジネスパートナーとしてうまくやっていきたいと思っているから、ここはちゃんと話しておくべきだろう。
    「花火大会に誘われたので行くことにしました」
    「花火大会?」
    赤井の眉間に皺が寄る。
    「新一たちは知ってるのか?君の……」
    「わざわざ言うわけないでしょう、子どもじゃないんだから」
    期待していたことを見透かされた気がして頬が熱くなる。
    「たまにはあなたも息抜きしてください。いつも僕と一緒だと疲れるでしょう」
    「……わかった。しかし忘れてくれるなよ」
    赤井は座っている僕の前に跪き、足を撫でた。
    「俺は君の足だ。疲れたら連絡してくれ。妹のバイクで……降谷くん?なぜ泣いてるんだ?」
    「泣いてなんかない……汗です」
    カフェの彼女と花火デートの途中で僕に呼び出される赤井を想像したら勝手に涙が溢れた。袖で拭い顔を背けると、赤井はそれ以上聞いて来なかった。

    珍しくいい風が吹いていた。
    午前中に降った雨のせいだろう。
    花火大会関係者は気を揉ませたに違いないその雨のおかげで、家から河川敷まで歩いても大して汗をかかなかった。
    鑑賞シートはこちら、と書かれた看板を目指して歩きながら、赤井の姿を見かけないことを祈る。
    浴衣を着た彼女と並んで歩くところを見かけたら、また涙腺が壊れる自信がある。
    河川敷には屋台も集まっていて、焼きそばの香ばしい匂いや綿飴の甘い匂いが漂っている。
    ビニール製の巾着を持った子どもたちがはしゃいでいるのを見ていると、スーパーボールの独特な匂いも蘇って来た。
    「降谷さーん!」
    大きく手を振る新一くんに、紙袋を持った方の手を掲げる。中身は新一くんからリクエストされたサンドイッチだ。
    「迷いませんでしたか?」
    「大丈夫。本当に特等席だね」
    「俺も驚きました」
    「降谷さん、お久しぶりです」
    蘭さんが僕に笑顔を浮かべる。その向こうには懐かしい顔ぶれが揃っていた。
    毛利先生はすでに出来上がっていて、僕に缶ビールをくれた。
    僕のサンドイッチは中央に集められた様々な料理と一緒に並べられた。焼き鳥、たこ焼き、炊き込みご飯のおにぎりに枝豆。大宴会だ。
    田舎に帰省するとこんな感じなのかなと、帰る場所のない僕は思った。
    ほどなくして花火が始まるアナウンスが流れた。
    紙皿と割り箸を手に持ち空を見上げた僕の前に大きな黒い影が現れた。
    「悪い、遅くなった」
    そう言うと赤井は当然のように僕の隣に腰を下ろした。
    なんで、赤井がここに……?
    新一くんを見ると、わざとらしく目を逸らされた。
    「新一に嘘を吐いただろ」
    一つ目の花火が打ち上がる。
    大きな音と大輪の光、そして火薬の匂い。
    「別に嘘ってわけじゃ……」
    「ホォ?俺を仲間はずれにしたくせに?」
    次の花火が打ち上がる。
    こんなに密集しているのに、僕たちの会話は花火の音でかき消されてお互いの耳にしか届かない。
    「気を使ったんですよ。デートの邪魔をしたら悪いと思って」
    「デート?」
    缶ビールのプルトップを持ち上げて、一気に煽る。
    今度は朝顔の形の花火だ。
    泡と苦味が口いっぱいに広がる。
    「カフェの彼女と約束するかなって思ったから」
    背比べをするように並んでいる焼き鳥に手を伸ばしたが、串を持つ寸前に赤井が横から手を掴まれた。
    「そんなわけないだろ」
    「隠さなくてもいいのに」
    「君以外のやつと出掛けても俺にとってはデートじゃない」
    花火が次々に打ち上がる。
    赤、青、黄色。
    光、音、匂い。
    僕の指先を掴む赤井の体温。
    夜空に開いた大輪の花がシートの上に僕と赤井の影を作る。
    「降谷さん」
    「えっ」
    「花火終わりですって。立てますか?」
    心配そうに僕を見る新一くんの横で、僕を恋に落とした男が僕を見下ろしていた。
    「抱えて帰ろうか?」
    「だ、大丈夫です!」
    本当はずっと座っていたから足が痛かったけど、赤井なら本当にやりかねないのでなんでもないフリをした。
    でも後片付けは無理で、赤井が代わりに僕が使った紙皿などを片付ける。
    その手はさっきまでずっと僕の手を掴んでいた。
    どうして僕なんだろう。
    カフェのあの子のほうが可愛くて綺麗で素直で、お似合いなのに。
    可愛げがなくて、素直になれなくて、自分勝手な僕を選ぶなんて。
    「帰ろうか」
    「……うん」
    ゴミ袋を片手に家まで歩く。
    空はまだかすかに火薬の匂いがして、コンビニの前の大きなクーラーボックスの中を氷とペットボトルが泳いでいた。
    「家にあるよ」
    「え?」
    「出る前にアイスティーを作っておいた」
    「……うん」
    どこまでお見通しなのだろう。
    僕がカフェの彼女との関係を疑っていたことに赤井が気が付いていて、わざと怪しい行動を取ったのだとしたら、まんまと不安になって馬鹿みたいだ。
    悔しくて泣きたいのに、自分のために流す涙は出てこなかった。
    「唇を噛むんじゃない」
    「放っておいてください」
    「嫌だね」
    赤井の唇が僕の唇と重なる。こんなところで、誰が見てるかわからないのに。
    と思ったけれど、前にも後ろにも誰もいなかった。
    「なあ」
    「な、なに」
    「零と呼んでもいいか?」
    それ、今聞くことか?
    「……別にいいですけど」
    「そうか」
    赤井はなぜかホッとした顔になり、また歩き出した。
    家に帰るとテーブルの上に飾られたひまわりがエアコンの風に揺れていた。
    家を出る前には間違いなくなかった。
    「観葉植物と迷ったんだが、君は観葉植物はあまり好きではなさそうだったんでね」
    わかってるくせに。
    僕が嫌いなのは観葉植物でも、あのオアシスみたいなカフェでも、そこで働いている彼女でもなく、嫉妬してる僕自身だ。
    「ひまわりは好きだろ?」
    「……うん」
    「こっちも気に入ってくれるといいんだが」
    赤井は冷蔵庫を開け、大きな皿を取り出す。
    その上には丸いチーズケーキが乗っていた。
    「俺が焼いた」
    「えっ!?」
    「君が好きそうな味だったから。あの店員に交渉して、カフェのキッチンで焼かせてもらった」
    そのためにちょくちょくカフェに通っていたのか。
    「どうして僕なんかに優しくするんだよ……あなたの人生を奪ったのに」
    「そんな風に思っていたのか」
    赤井はおいでと言って、僕をひまわりとチーズケーキが並んだテーブルの前にある椅子に座らせた。
    「君が気に病む必要なんてない。俺は君の足に選ばれて嬉しかったんだ」
    「……ずっと連絡を取ってなかったのに?」
    赤井に会いにアメリカに行くまで、僕は赤井のプライベートの番号さえ知らなかった。
    それなのに怪我をしてもうダメかもしれないと思った時、頭に浮かんだのはあの組織と一緒に戦った時の赤井の横顔だった。
    「必要ないだろう、俺たちには」
    うん、そうかもしれない。
    もし連絡先を知っていたとしても、僕は同じようになんの連絡もなしに赤井を訪ねていたと思う。
    ギリギリの状況でないとひとを頼れないのは、強いからじゃない、臆病だからだ。
    「もし君が俺を訪ねて来なかったら、俺は仕事を辞めて君の家に押しかけて『足にしてくれ』と頼んでいただろう。そうなるとわかっていたから同僚たちは君の怪我について俺の耳に入らないようにしていたんだ」
    「それじゃまるで、ずっと好き僕をだったみたいに聞こえますよ」
    「ああ、好きだよ」
    「そんなの……一度も言われたことない」
    「言わなかったからな。君が足になれと言えば俺は君の足になるし、セックスがしたかったと言えば抱く。君が満たされれば俺も満たされる」
    グラスにアイスティーを注ぎながら赤井は愛を言葉にしていく。
    チーズケーキの上のプレートがあり、そこには『happy birthday れいくん』と書かれていた。
    だから呼び方を気にしてたのか。
    「僕も……好き」
    「知ってるよ。君は好きでもないやつと同居しないし、好きでもない男に抱かれたりしないからな」
    ぐうの音もでなかった。
    チーズケーキを刺したフォークを噛む。
    赤井お手製のチーズケーキは甘酸っぱくて、カフェで食べたのより少し硬くて、今まで食べたチーズで一番美味しかった。
    「誕生日おめでとう、零くん」
    「ありがとう……でも」
    「ん?どうした?」
    「……もう会わないで」
    ごめん、レモンチーズケーキの彼女。
    この男は僕のなんだ。
    「あの子が赤井を好きになったら困る」
    「いいよ。その代わり、俺から離れてくれるな。離れることを想像するのもダメだ……寂しいだろ」
    「……うん。僕も、寂しかった」
    どちらからともなく唇を寄せ合う。
    ほのかにビールの味がした。
    花火が夜空に消えた夜、僕はもう一度恋に落ちた。
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