Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    かとうあんこ

    赤安だいすき

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji ☀ 🎉 🍮 🍩
    POIPOI 50

    かとうあんこ

    ☆quiet follow

    ★男子高校生な赤安にイチャイチャしてほしくて時系列(主に赤井の年齢)を操作してます
    ★👻でません
    ★ハピエン
    ★いろんな赤安を楽しめる方向け!

    うちのクラスの降谷は赤井先輩と同棲してるらしい⑩解呪夏休みも終盤に差し掛かった職員室は、お盆のときとは打って変わってたくさんの先生が仕事をしていた。
    「失礼します。西島先生はいらっしゃいますでしょうか?」
     僕が入り口で声を掛けると、近くにいた先生が無人の西島先生の机を見に行ってくれた。
    「西島先生は映画同好会の部室にいるそうだ」
    「わかりました。行ってみます。ありがとうございました」
     そう言って職員室のドアを閉めると、心地よかった冷房の風は完全に途切れてしまった。
    今日も今日とて暑い。それでも僕はこの夏がずっと続けばいいのにと思っていた。
     文化部の部室は体育館横の部室棟にある。映画同好会と書かれた扉絵をノックをすると、中から西島先生の声がした。
    「はーい」
    「降谷です。先日お話しした書類を持ってきました」
     僕が声を張ってそう言うと、部室のドアがガチャリと音を立てて開いた。
    「こっちまで来てもらっちゃって悪かったな。もう部活終わる時間だったか」
    「はい。今日は夏休み最後の練習だったのでいつもより早く終わったんです。これ……」
     再入寮届と書かれた書類を見せると、先生はわずかに眉間を寄せて「少し話さないか?」と言った。
    「あ、はい……」
    「入ってくれ。今日は誰もいないんだ。だから掃除しとこうと思ってな」
    「失礼します……」
    「降谷は文化部の部室に入るのは初めてか?」
    「はい」
     映画同好会の部室は、運動部のそれとは違って、単身者用のアパートみたいだった。ソファの前には大きなテレビが置かれている。ここで先生や部員が選んだ映画を見たり、自主制作映画のチェックしたりするのだろう。
    「降谷には悪いことをしてしまったな……」
    「いえ、そんな……先生のせいじゃないですよ」
    「しかし……何回も引っ越しするのは大変だろう?」
    「まあ……ちょっとだけ……。でも慣れてますから」
     僕がそう言って苦笑すると、先生はさらに申し訳なさそうな顔をした。
    「あ、そうだ、先生、結婚おめでとうございます!」
    「ああ……ありがとう」
     そう言ってちょっと照れくさそうに笑った先生の左手の薬指にはシルバーの結婚指輪が嵌められている。
     この夏休み中に婚約者の滝沢さんと結婚されたのだ。
    「滝沢さん、お元気ですか……?」
    「ああ。あの一件のあと、少し落ち込んでいたけど、今はもう元気だ。心配してくれてありがとうな」
     先生は一学期に数日間、意識不明になっていた。これは呪いのDVDのせいなんだけど、それを知っているのはこの学校で僕と赤井と先生だけだ。
    一学期最後のホームルームで先生が結婚することを報告すると、クラスのみんなは先生はマリッジブルーで寝込んでたんじゃないかって冗談半分に噂していた。
    でも僕は知ってる。先生は恋という呪いのせいで命の危険にさらされたんだということを。
    「あのさ……先生」
    「ん?どうした?」
    「恋ってさ、呪いみたいじゃない?」
    「えっ」
    僕が提出した書類に目を落としていた先生はビックリした様子で顔を上げた。
    「だって……先生の友だちだった人なんでしょう?あのDVDをくれたの。それなのに、生徒の前であんなものを渡すなんて……」
    狂ってる。そう言いそうになって僕は慌てて口を噤んだ。
    「あー……うん、降谷の言いたいことはなんとなくわかるよ」
     先生はそう言うとテーブルの上で手を組んだ。
     先生に呪いのDVDを渡したのは先生と一緒に映画を作っていた大学時代の友人だった。彼は先生の婚約者である滝沢さんに恋をしていた。しかし、滝沢さんが先生と結婚すると知った途端、彼の恋と友情は憎悪に代わった。
    「彼女も……滝沢さんも、同じようなことを言ってたよ」
    「そうなんですか?」
    「ああ。付き合えないとはっきり言えばよかったって。彼が自分に好意を抱いていることに気が付いていたのに、気が付かないふりをして友人関係を続けたせいで、彼に期待をさせてしまったんじゃないかと後悔していたよ」
    「それは違うと思う……僕が言いたいのは、その……恋で盲目になって人を傷付けることを何とも思わなくなってしまうなんて普通じゃない。恋っていう呪いがかかってるみたいだってことで、滝沢さんは何も悪くない……です」
    「そうか。ありがとう。でも、彼女は先に呪いをかけたのは自分かもしれないって気にしてるんだ」
    「えっ……?」
    「ああ、ごめん、こんな話……やっぱり俺、マリッジブルーなのかもしれないな。忘れてくれ」
    西島先生は僕の書類にハンコを押しながら苦笑していた。
    「……いえ。そっか……それも呪い……」
    「え?」
    「なんでもないです。じゃあ、その書類、宜しくお願いします」
    僕はそう言って映画同好会の部室を後にした。先生が僕を呼んでいる気がしたけど、振り返ることはしなかった。
    部室の外はもう夕暮れに差し掛かっていた。グランド横に立つ木に止まった蝉が最後の力を振り絞るように鳴きじゃくっている。
    僕もあんな風に泣いてしまえたら……。
    「降谷くん」
     校門の前に立っていたのは僕に呪いの存在を教えてくれた男だった。
    「赤井……」
    「いま帰りか?」
    「うん」
    「そうか……一緒に帰ろう」
    「……うん」
    僕が赤井の横に立つと赤井はゆっくりと歩き始めた。
    こうして赤井と一緒に学校から帰るのは三回目だ。
    一回目は初めて会った時。
    赤井のことは先輩から聞いたことがあった。学校で何度かすれ違ったこともあったけど、緑の瞳に見つめられたのはその時が初めてだった。
    二回目は、あの花火の夜の帰り道。
    ヒロと駅前で別れた後、赤井は僕に「少し遠回りしよう」と言った。

    「こんな時間に?」
    「怖いか?」
    「怖くなんかない」
     本心だった。赤井と一緒ならどこにいても怖くない。そう思っていた。
     赤井が僕を連れて行ったのはあの教会だった。赤井に心霊がらみのバイトを斡旋しているのはその教会の関係者だそうで、西島先生が倒れた時に滝沢先生に赤井を紹介したのはその人だったと聞いている。
    赤井が定期的に通っている教会に興味はあった。でも、どうして今このタイミングで僕をここに連れてきてくれたのかが気に掛かった。
    赤井に僕のことをどう思っているのか尋ねたあとだった。絶対に好きなくせに僕を好きだと言わない理由を赤井は説明しようとしているんじゃないかと思った。
    「こんな時間だし鍵がかかってるんじゃ……」
    「ここの牧師は鍵を掛けない。いつでもだれでも祈れるようにと言っているが、まあ、ものぐさなだけだろう」
     赤井がそう言うので僕はその牧師さんが待っているのかと身構えた。赤井をバイトに使うような人物だから相当のキレ者だろう。
     そんな僕の予想に反して教会の中には誰もいなかった。蝋燭風のライトが中央のステンドグラスを照らしている。白いガラスが十字に交わっているそのステンドグラスは無宗教な僕でも見惚れてしまうぐらい綺麗だった。
     僕の横に立っていた赤井も同じようにステンドグラスを見上げていた。そして、黙ったまま僕の手を握った。
    「アメリカに行くことになった」
    「えっ」
     僕が横を振り向くと、赤井は真剣な表情で僕を見つめいてた。
    「そんな……なんで急に」
    「すまない」
     赤井は僕に素直に謝罪した。その態度で僕にアメリカに行くことになった理由を話す気がないのだとわかった。
    「勝手すぎる」
    「君には悪いことをしたと思ってる……あの家は好きに使ってくれて構わない……」
    「そういう問題じゃない!」
    「……すまん」
    「……何か理由があるんですよね」
    「あぁ」
    「僕には話せない?」
    「うん」
    「そっか……悔しいな」
     赤井が何か困った状況になっているのは間違いない。それなのに何もできないことがひどく歯痒かった。
    「はあ、そっか……いつから?」
    「九月」
    「もうすぐじゃないですか。もっと早く言ってくださいよ」
    「言い出せなかったんだ……君が……いや」
    「そうですね。僕はきっと落ち込んだと思いますよ。自分でもそう思う。赤井は僕にとって特別だから……。この際だから言ってしまいますけど、僕、あなたのこと」
     僕が生まれて初めての告白をしようとしたところで、赤井は僕を抱き寄せた。
    「言うな……」
    「伝えさせてもくれないんですか……ひどいな」
    「すまない……でも今度君に再会できた時は……俺はどんな状況だとしても君を選ぶ。絶対に。……だからその時まで待ってくれ」
     赤井の絞り出すような声を聞いて、堪えていた涙が溢れた。
     理由があって日本を急に発たなければならない赤井と僕が再会できる可能性はどれぐらいあるだろう。こんな間際になってから言ってくるあたり、赤井は僕と連絡を取り合うつもりはないに違いない。この世に運命というものがあるとしたら、ううん、だからこそ、僕は赤井とはここまでなんだ。
    「本当に勝手なひと」
     言いたいことは他にもたくさんあったけれど、赤井の肩に顔を埋めてそう呟くのが精一杯だった。


     家に帰るとハロの姿はなかった。最近、彼が祀られている神社の移転が完了して、ここに現れることは減っていた。そのことを寂しいと思いつつも僕は安堵していた。
     今日、西島先生に再入寮届を提出した僕もまた、この家を出て行くからだ。
    「赤井」
     僕が合鍵を差し出すと赤井は無表情でそれを受け取った。
    「やはり出て行くのか……」
    「ひと様のお宅を勝手に使わせていただくのは気が引けますから。それに、あなたのことを忘れられなくて困る」
     寮に引っ越したって忘れられる自信はあんまりないんだけど。それぐらいに、僕は、自分でも呆れてしまうほど赤井に恋していしまっている。
    「あなたのことは忘れるから、あなたも僕のことは忘れてください」
    決意を込めてわざと言葉にした。赤井に呪いを掛けちゃいけない。僕なんかに囚われないで、赤井……自由に生きてよ、そのほうがあなたらしい。
    「降谷くん」
    「な、なに?」
    「これは俺がかけた呪いだ」
     赤井はあのなんでも見透かすようなグリーンの瞳で僕を見つめた。
    「えっ……」
    「俺は君を決して忘れない。どうしても俺を忘れたいなら、俺になんか見つかるんじゃないぞ?降谷零くん……」


    ――――Ⅹ年後、香港。


    「初めまして。あなたがライですね。噂は聞いてますよ……。バーボン。これが僕のコードネームです。以後お見知りおきを。といっても馴れ合うつもりはありませんがね」
    「……ああ、俺もだ」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭🙏😭😭😭💖😭🙏😭🙏😭👏👏😭💖😭👏👏👏😭👏👏👏👏👏😭💯😭🙏😭😭👏👏👏👏💘😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭😭
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    かとうあんこ

    DOODLE一度別れた赤安がバディを組んで幽霊退治(?)をする話、第三話。
    「その日のことはよく覚えてます。パパと姉貴とわたしの三人でママの誕生日プレゼントを買うために出掛けていたんです。姉貴は小学生、私は保育園に通っている頃で、パパが贔屓にしているアンティークショップに……え?名前?なんだったかなあ。随分前に倒産しちゃったから、もうありませんよ。……いえ、ママはドールハウスには全然興味なくて。アンティークショップのガラスの戸棚に飾られていたワイングラスをプレゼントすることにしたんです。それをお店のひとがラッピングしている間に、オーナーさんが『お嬢様たちにこちらはいかがですか?』と言って見せてくれたのが、そのドールハウスでした。本物の西洋のお屋敷を小さくしたみたいですごく素敵だったから、私も姉貴もすぐに気に入りました。ふたりでパパにおねだりして、買ってもらえることになったんですけど……パパがお会計している間、奥さんが、あ、オーナーの奥さんです、がこんなことを言ってたんです。『このドールハウスに人形は絶対に入れないで』って。私たちは不思議に思いましたが、奥さんがあまりに真剣な表情だったから「うん」と答えました。でも家に帰ってドールハウスを広げて、別に梱包してもらった家具を並べているうちに……人形を入れて遊びたくなったんです。ほら、子どもってダメって言われるとやりたくなるところあるじゃないですか。それに……人形がないほうが変な感じがしたんです。とても精巧にできていたから……ううん、そうじゃないな……人がいる気配がするのに誰もいない……そんな感じでした。でも、うちにあるのは着せ替え人形ばかりで、そのドールハウスのサイズにちょうどいい人形がなかったんです。そしたら姉貴が「紙のお人形を作ってドールハウスに入れよう」と言ったんです。「紙の人形なら約束を破ったことにはならないだろうから」って。私はすぐに部屋にあった画用紙に黒いマジックで女の子の絵を描いてソファに座らせました。その隣に姉貴が書いた猫の絵を置いたところで夕飯の時間になって、私たちはドールハウスをそのままにして部屋を出たんです。……あはは、大丈夫よ、真さん。子どもの頃の話だから。それに、もし何かあっても真さんが守ってくれるでしょう?……はい。そうなんです。夕飯を終えてドールハウスがある部屋に戻ってきたら、紙の人形が切られていたんです。バラバラに……。「やっぱり人形を入れたのがいけなかったのかし
    9903

    かとうあんこ

    DONE一度別れた赤安がバディを組んで幽霊退治(?)をする第二話
    烏丸怪談②友人の話「え?僕には怪談はないのかって?う~ん、そうだなあ……僕の友人の話でもよければ。はは、そういうことが多いね。まあ、どちらでもいいじゃないか。これは友人が保育園に通っていた頃の話だ。彼はいつもお迎えが一番最後でね。母親の仕事が忙しかったんだ。彼は保育園では周りの子どもたちとうまくいってなかったから、園児が少なくない遅い時間のほうが遊びやすかった。だから、母親の迎えが遅くても気にならなかった。嬉々として居残っている彼を見て羨ましかったのか、園児のひとりが意地悪を言ったんだ。『あいつはいらない子だからお迎えが遅いんだ』って。気丈な友人もこれにはショックを受けた。いつもは独り占めできて嬉しい積み木も全然楽しくない。今すぐに母親に抱っこしてほしかった……。そんなことを考えてると、友人の前に見知らぬ男の子が現れた。『キミ、いらない子なの?』友人は当然ムッとして無視をした。ちょっとだけ泣いてたかもしれない。その寂しさを見抜いたように男の子は『じゃあ、一緒に遊ぼうよ』と言った。友人は少し悩んでから『ウン』と言った。それから二時間、彼は行方不明になった。保育園の先生はもちろん彼を探したし、お迎えに来た母親も一緒に探した。家に帰ったんじゃないか、散歩で行った公園にいるんじゃないか。いろんな場所を探したが、見つからない。いよいよ警察に連絡しようとなった時、子ども用トイレから友人が現れた。『やっと帰ってこれた』と言いながらね。二時間だけの神隠しだ。……どう?名探偵の君には物足りなかったかな」
    8690

    recommended works