スカファラン③ 小さな花の集まりを、そっと指先でつまんでみる。一つ捕まえれば繋がれた他の部分も付いてきて、布全体が海の波のように揺れた。
「そういう趣味かよ」
腰回りを一周して覆い、端をきゅっと結ばれた白いレースはスカイファイアーが用意した嗜好だ。黒と赤で塗装されたパーツに植物を基調とした紋様の刺繍が揺れる。誰に言われたわけではないが、不釣り合いだと自分でもよく分かる。
「ケミカルレース、つまり機械レース。特殊な用紙に機械で模様を刺繍した後、溶液を使って下地を溶かしてレース部分を取り出すんだ」
俺にこんな格好をさせた彼は、先ほどから喜びの声で解釈を唱えている。
「私のドロレス、お人形さんみたいだ」
「誰だよ。あと言い過ぎだろ」
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