俺の恋人はエロ同人作家坂田くん(高銀)幼なじみの銀時は、昔から絵を描くのが好きなヤツだった。
幼稚園のときには、画用紙と広告チラシの裏いっぱいにクレヨンで描きなぐり。
小学生のときには、自由帳に鉛筆で描いた四コマ漫画をいくつも並べて。
中学生のときには、スケッチブックに画材屋で買ったちょっと良いペンを滑らせて。
「たかちゅぎ!」
「たかすぎ!」
「高杉!」
そう言って見せてくる銀時の顔はいつもキラキラと輝いていて。
俺は、そんなアイツのことが好きで、あいつが見せてくれるものが愛しくて……。
そして、そして……。
「大丈夫大丈夫間に合う間に合う」
「おい銀時!手を動かせ!あと何枚ち○こあるんだ!」
高校生のときには、腐男子に目覚めて、ち……こを描き始めて。
大学生になったアイツと俺は、恋人兼限界同人原稿戦士になっていた。
締め切りまであと四時間。
ペン入れの終わってない原稿はあと二枚枚。
仕上げの終わってない原稿はあと五枚。
未修正のち……こはあと五枚。
スケジュール管理はしっかりしていたはずだった。ネームもしっかり切らせた。
ラフと下書きも、まあまあ取り戻せるくらいの遅れだった。
あとはペン入れと仕上げだけのはずだった。
はずだったのに……。
「やっぱさぁ、ここのネーム変えたくてさぁ。いやだって、展開的にやっぱり唐突だよね。もうワンシーンは入れたいよね」
銀時がそう言い出したのは五日前だった。
きっとそのときから、この未来は決定されていたのだ。
それでも惚れた弱みである。高杉は目を閉じて頭の中でスケジュールをこねくり回し、この修羅場に付き合うことを決めたのだ。
「高杉テメェち……この仕上げと修正に時間かけすぎだろ!んなもんピッとやってパッとやって」
「だったら、こんなにバキバキに描き込むんじゃねぇよ!こちとらいかにテメェの描いたち……こを、画面映えさせて、なおかつ隠さずに魅せられるか考えながらやってんだよ!」
「それはありがとう!でも締め切りが……入稿がぁ……!ち……このことは置いていけぇ」
「てか、銀時このち……こ俺より大きいぞ!俺より大きいち……こ描くなって何度も言ってんだろうが!締め切りなかったから描き直させてるぞ」
「うるせぇ!攻めのち……こは盛れば盛るほどいいんだよ!」
「ワザとかテメェ!っ、それより、ペン入れは終わったのか!」
「ここのアングルの……マロンくん(受け)がポロンくん(攻め)のち……こ握ってる手が上手く描けないぃぃ」
「ち……こ貸してやるから、写真撮ってトレスしろ!」
「うう……好きぃ……。原稿終わったら抱いてぇ」
「原稿終わったら寝ろ!」
こうして限界同人原稿戦士の寝れない夜は更けていくのであった……。
次回!締め切り30分前に原稿完成!
よっしゃ余裕だな見返しなんかしねぇ!うおおなんとかなれぇ!!って入稿しようとしたらまさかのフリーズ!嘘でしょう!
どうなる坂田先生!