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    nicola731

    @nicola731

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    nicola731

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    マシュマロで感想を貰えたので書きました。晴明殿が道満をうっかり殺してしまい作り直したらパーツが余ったのでそれも使って子供作った話のよく分かんない回です。やまなしおちなしいみなし。まさにやおい。なんとなくの気持ちで読んでください。

    https://poipiku.com/1112421/4069510.html
    https://poipiku.com/1112421/4294357.html

    #晴道
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     自分が地面に転がっていると気付くのに、道満は時間が掛かった。記憶の途絶がある。昨夜は吾子を寝かしつけてそのまま寝てしまった。それから記憶が無い。今こうして自分が倒れ伏している理由に心当たりさえ無い。体が動かない。視線を動かしてどうにか周囲を確認すると、晴明の邸庭であることに気付いた。
    「全くお前はどうしてそうも……」
     少し離れたところから呆れたような晴明の声が聞こえた。それから木の撓る音がして、沓の擦れる音が近付いてくる。家主が庇の間から降りて近付いてきたのだろう。
     俯せた道満の体をころりと転がして、晴明が見下ろしてくる。何も分からない道満は困惑したまま彼を見上げるばかりだった。
    「あの、晴明殿。何故このようなところに儂は寝ておるのでしょうか?」
    「庭に降りようとしたからですよ。私の術の効果範囲を無視して外に出ようとするからそんなことに、と、今のお前に説明しても仕方無いですね」
     「お前は何も覚えていないのですから」と晴明が言いながら道満を抱き上げた。驚いた道満は身を捩り、その時に自分の手足が無くなっていることに気付いた。思わず悲鳴を上げれば晴明が声を立てて笑った。何も面白いことなど道満には無い。
    「なっ、なん、は? なぜこんな、いや、えっ?」
    「吾子と添い寝したのが原因ですよ。無意識下で接続してしまったのか、お前の脳のスペックが元に戻ってしまってね。外部ハードだから繋げば元に戻るのは当たり前か、うーん、どうしようかな、阻害して弊害出たら嫌だからしてなかったんだけどな……」
    「晴明殿、晴明殿。儂にも分かるように説明してくだされ」
    「嫌ですけど。悩んでも仕方無いし、そろそろ中に入りましょうか」
     晴明が道満を荷物のように抱えたまま振り返る。庇の間で吾子が泣きじゃくっているのが見えた。道満は慰めようと「吾子や」と呼ぶ。撫でようとしたが腕が無いのでできなかった。
     晴明が御帳に囲まれた寝床へと道満を連れて行く。その際に「道満の手足を拾って来なさい」と吾子に命じた。泣きべそを掻いたまま吾子は庭へと急いで降りていった。
     道満は芋虫のままで褥に転がされる。出血も痛みも無いのでただ困るだけだった。顔に付いた土を晴明が手ずから払い、着ていた小袖も術で清めてくれた。道満は居心地が悪い。晴明に世話をされるのも慣れないし、いつも機嫌の良い彼が今日ばかりはもやもやした顔で自分を見ている。自分が粗相したことは何となく察しが付いていた。
    「せ、晴明殿……とんと覚えが無く申し訳ありませぬが、儂が悪う御座いました」
    「覚えが無いのに謝るのは無意味では?」
    「晴明殿に正論を言われるとは……腹立たしい……」
    「もうちょっと包み隠しなさいよ。傷付きます。嘘ですけど」
     二人が間抜けな会話をしていると吾子がよたよたと蹌踉けながらやって来た。七歳の小さな体で、常人よりも大きな道満の手足を引き摺って運んできた。
    「かかさま~」
     晴明の前に手足を置いて吾子は道満の胸倉に縋る。道満は「よしよし」と宥めるが、わんわんと泣き続けていた。どうしようも無かった。
     晴明は土に塗れた道満の手足を一つ一つ拭いながら考える。今朝、道満は邸から逃げ出そうとしたのだ。晴明への激情を思い出し、「飼い殺されて堪るか」と晴明を罵って、自分の一部である吾子を連れて逃げようとした。道満を生命として活動させている彼の術を自身のもので上書きして逃げ出そうとした。庭に出たところで晴明が追い付き、手足の付け根の関節を外してやった。強かに顔を打ち付けた道満は気絶して、目を覚ませば元に戻っていた。
     一時的なバグだと晴明は思う。それでもあの一瞬の、燃え盛る真っ黒な瞳は良かったと、無い心の何処かで惜しんだ。
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    nicola731

    DOODLE「罪深き墓前まで」
    思いつきの時代物パロ晴道。多分この後二人で共謀して旦那を始末します。
     晴明の兄が妻を娶ったのは彼が十五の時だった。付き合いのある旧家の長子で、美しいことで評判だった。まだ十八になったばかりだった。晴明の幼馴染だった。
     晴明は義姉になる前まで兄の結婚相手を「道満」と呼んでいた。義姉になるまで兄の結婚相手を抱いていた。去年の盆に宴会があり、その裏で二人は体を繋げた。お互い初めての相手だった。晴明にとっては初恋だった。
     道満は自分の妻になるものだと信じ切っていた彼は、夏の盛りを過ぎた頃に兄から婚姻のことを聞かされて、がらがらと全てが崩れていくような心地になった。美しい上に賢い道満は詩経さえ誦じてみせる。対して夫となる晴明の兄は凡庸で家柄ばかりが取り柄の役人だった。幼少のみぎりから才覚を発揮していた晴明とは大違いだった。
     晴明は兄が何処か勝ち誇ったような顔をして自分を見ていることに気付いた。兄が自分を打ち負かしたいがためだけに、道満を妻に迎えたのだとすぐに理解した。殺してやろうかと思った。
     道満は家庭に入ると頗る良妻で、よく躾けられた奥様になった。夫の父母に気に入られ、夫の床屋政談にも美しい笑みを浮かべたまま付き合った。晴明が「義姉さん」と呼んでも笑み 1027

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