「18も上の男と一緒になっていいの」
「珍しいですね、貴方がそんな弱気なことを言うなんて」
「弱気じゃなくて事実だよ。このご時世にわざわざハードル高い選択しちゃって」
「ハードル、高いですかね?」
「若いね〜」
「む…いつ互いが敵になるかわからない当時の関係性じゃないんですからハードルなんて無いようなもんですよ」
「まあね」
「でしょう?ふふ、ねえ俺すごく嬉しいんですよ。わかります?」
「わかるよ。室町ならば表情に出過ぎていると叱りたくなるくらい」
「雑渡さんは嬉しくないですか?」
「嬉しいよ、とても。この歳まで君との再会を期待していたほど」
「俺もずっと会いたかったです。ねえ、雑渡さん。俺のことを好きな限りは絶対手放さないで」
「君も変な気を起こして逃げないように」
「逃げませんよ。…あの時の人生もかけがえのないものでしたけど、何にも縛られず貴方と一緒になれる今も幸せです」
「……縛られず、ね」
「どうしました?」
「君のお父上がなあ…当時の反動で過保護になってない?」
「ああ、貴方にとってのハードルって父のことなんですね。父は貴方のことを信頼してますから大丈夫ですって。もしかして来週末うちに挨拶に行くの不安になっちゃいました?」
「(お父上のことだけではないのだけど)不安は無いけどまあ高いよね」
「ちなみに当日お兄ちゃんもいます」
「更に高くなった」
「ハードルだと感じるなら共に超えて行きましょう。たしかに父もお兄ちゃんもちょっと素直になれないかもしれないですけど…そうだとしても母はこちらの味方ですから」
「うん」
「最期まで貴方といたいんです。今世では絶対俺に看取らせてください」
「うん。すまないね、不安にさせてしまったかな」
「不安にはなってないですよ。貴方の方こそ元気出ました?」
「ん…」
「ははっ素直じゃないですねえ」