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    みやこ

    @nevergivedog

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    みやこ

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    栞作りがマイブームの妹に「これ真田くんにあげてね」と栞をたくされた幸村くん、真田が自分の育てた花を手元に置いてくれたら嬉しいな……と思って栞の裏面に花を押す(作者である妹にはちゃんと許可とった)。それを素知らぬ顔で「妹から」と手渡すと、幸村くんの予想に反して真田はすぐ花に気づいてくれて、それが嬉しくてどきどきしちゃうんだ、可愛いね〜。
    というのを説明できなくて書きました。

    ビオラ・スミレ科スミレ属「最近、妹が栞をつくるのにハマってて、弦一郎くんにも……って」
     きらめくシールと色鉛筆のイラストで彩られた紙片を幸村から差し出され、ややひるむ。可愛いが、可愛すぎる。リボンが黒なのは幸いだった。
     受け取って、なんとはなしに裏返してみるとそちらは無地で、ただ端の方にひそやかに花が押されていた。水ににじんだ絵の具のようにじんわりした淡い黄色と薄紫の花びらに見覚えがある。
    「お前の花だな」
     驚いたように幸村がぱちぱちと瞬きをし、それにあわせて長いまつ毛が揺れた。
    「知ってたの」
    「名前までは知らん。だがお前の庭で見た」
    「そっか」
     噛みしめるように幸村は言って、それからにこりと笑った。
    「ビオラ。ビオラだよ!」
     なるほどと俺は教わったばかりの名前を口の中で転がしながらラミネートで閉じ込められた花を親指の腹でさする。秋の柔らかな風にそよいでいた花は俺の手の上で永遠になったわけだ。
    「そんなに大切そうにされたら照れくさいね」
     自分が触られたわけでもあるまいに何をおかしなことを。見やれば、幸村は珍しく頬を緩めていて、俺の視線に気がづくとおもはゆい表情を浮かべて逃げるように視線をそらしてしまった。
    「おかしなやつめ」
     呟きながら俺は英単語帳を取り出すと、ページの間に栞を滑り込ませた。
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    Replies from the creator

    みやこ

    DONE幸真
    きっといつか重たい雲の間から光がさすから。

    にわか雨に降られた2人が駅で雨宿りしています。
    いつか光がさすように 真田が怒鳴っていた。なにか言っているのはわかるのに、はっきりと聞き取ることができない。
    「聞こえないよ!」
     俺も負けじと声を張ったが、それも伝わったのかどうか。
     夕立は勢いを増すばかりで、バラバラと大きな雨粒が容赦なくアスファルトに叩きつけ跳ね返る。会話をしようとするとどうしても叫ばなければならなかった。意思の疎通が成功しているとはとても言えないけど。
     開けた海岸沿いの遊歩道に、雨宿りできそうな建物や葉の茂った樹木は見当たらず、ただひたすらにバシャバシャと水を蹴散らして駅へと走っていた。
     道を渡れば目的地はすぐそこなのに、ちょうど赤に変わった信号に足止めされ、こんなときに限って車は絶え間なくやってくる。点字ブロックのくすんだ黄色をじっと見つめていたら、雨をかいくぐっていらいらとした舌打ちがちっ、と耳に飛び込んできた。そっと真田をうかがう。真田はそうすれば信号が赤から青へと変わると信じているみたいに睨みをきかせている。責められているような気がするのは実際すまないと思っているからだろうか。
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