うたえ、あいがあるなら 西に傾く恒星を中心に、白い光が放射する。繁茂する肉厚の草花は青々として、こがねにふちどられた艶を帯びてきらめいている。小ぶりの花実は研磨した宝石のようだが、大ぶりのものは挟割する前の鉱物が枝葉に重たげにぶら下がって見える。それらに遮られずに地面に落ちる陽光、その筋の中で、ちらちらと光の粒が揺れている。舞っている土埃と花粉が、そばを横切った何者かの気配を匂わせていた。
透明な天井の先は、雲ひとつもない快晴らしい。球を半分に割ったかたちの内側から見上げれば、広がる花弁に上から覆われているようである。つくりものの花の中は温かく、その表面は硬質で、さまざまな空の色に変遷する。このまま陽気が落ち込まなければ、次に訪れるのは薄暮との狭間だが、それまではまだ数刻の猶予があった。
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