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    ちはや

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    クル監♀沼に沈んだノライッヌの末路⚗️🌸
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    ちはや

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    学園関係者WEBオンリー『秘密の魔法を教えて5』用のクル監SSです。CP要素薄め。
    イベント終了につき、パスを外しました。そのうちpixivに収録予定です。

    #クル監
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    ひみつま5用クル監SSその1【一人と一匹の卒業式】

     同級生たちが式典服を着て鏡の間に並んでいる。名前を呼ばれこの日のために用意された壇上に上がり、卒業証書貰って降りてくる。その表情は明るく誇らしげだ。その中に一人と一匹は入っていなかった。同じように式典服を着て、在校生の並びの片隅にちょこんと加わっていた。
     学びたいという気持ちと入学許可証さえあれば、どんな問題児でも受け入れるのがナイトレイブンカレッジのポリシーだ。しかし入学許可証が届いたわけでもなく、未だに原因究明に至っていない現象と成り行きで在学が認められただけの一人と一匹は魔法士養成学校の全課程を修了はしたが卒業はできなかった。ただ単に除籍となっただけだ。その話を担任から聞かされた時、ユウはショックではあったものの「あー……でもしょうがないか、自分たちはイレギュラーだもんね」と笑って諦めた。
     仕方ないで済ませたくなかったのは当人たちより周囲の方だった。
     親友マブたちを筆頭に同級生と先生がたと、果てはもう卒業した先輩たちまで巻き込んで、あの手この手を使ってなんとか卒業できるよう学園長に掛け合ったが、ついにあの鴉が首を縦に振ることはなかった。──そして今、卒業式が終わる。
     クラスごとに卒業生が順次退出していく。ユウとグリムは先生がたが退出するのに合わせてそっと鏡の間を出て行った。
     教室に戻れば証書を手にしたクラスメイト達がやいのやいのと騒いでいる。ユウとグリムもエースとセベクとエペルが固まっているところへ入っていって、卒業証書を手に取らせてもらった。滑らかな羊皮紙の中央に縦長なオーバル型の蔦系植物を模した装飾枠があり、下部中央にはNRCの紋章が描かれている。装飾枠と紋章自体は少し盛り上がっていて艶のない金箔が捺され、マットな輝きを煌めかせていた。枠の内側にはまず一番上に『卒業証書』とあり、ついで氏名、そして 『上記の者は本校に於いて全課程を修了し、卒業したことをここに証する』と少しアンティークな字体で文章が印刷されていた。最後にディア・クロウリーと学園長の署名が入ってその右隣りに紋章が判で捺してある。氏名と学園長の署名だけは直筆で、氏名の部分は装飾がデザインされた筆記体のカリグラフィで書かれていた。
    「おー、すごい……なんか重厚感がある」
    「かっけえんだゾ」
     一人と一匹はそれをくまなくじっくりと眺める。繊細に浮き出された模様の凹凸を触ってみたりしてから「卒業おめでと」と言ってエースの手元に戻した。
     このあと学園が終わったらみんなで麓の街へ繰り出して打ち上げみたいなことをして。そうしたら鏡の間からそれぞれの就職先や地元へ移動する。四年生では学外研修に出るのでその前に寮から荷物は引き上げていて、退寮手続きも終わっているからNRCに残っている理由はない。
     エペルは実家に戻って家業を継ぐし、セベクは元からマレウスの護衛なので茨の谷へ帰ってその任務に就く。エースはなんと奇術師としてやっていくらしい。手先が器用な彼のマジックは何度見てもタネがよく分からなかったし、楽しくて明るくてコミュニケーション能力やその場の雰囲気を敏感に感じ取る能力も長けているから案外有名になるかもしれない。グリムはどうするかといえば、カリムの家でお世話になるのだそうだ。アジーム家には多種多様なペットがたくさんいるのだけれど、動物言語学を修めて動物と意思疎通が取れる人間が少なくその世話に難儀しているとのことで、動物と難なくコミュニケーションのとれるグリムが通訳として抜擢された。「三食昼寝付きで楽ちんなんだゾ」とは本人の言だ。
     では肝心のユウはというと。
    「ユウサンはもう引っ越し終わった?」
    「うん。元々ほとんど向こうの部屋に荷物は移動させてたんだけど、残ってたのを一昨日持っていって、オンボロ寮の掃除も終わったよ。あとはパジャマとか歯ブラシとかギリギリまで使ってたやつを持っていくだけ」
    「クレーンポートのカフェだったか? バイト先は」
    「そうそう、クルーウェル先生の行きつけのお店。港がよく見える特等席だよ」
    「じゃああとでみんなで行こうぜ。お前の勤め先見とかなきゃな」
    「なにそれ。エース、お母さん?」
    「そこはせめてお父さんでしょ」
    「どっちでもいいけど。行くならマスターに連絡しておくね。そこまで大きなお店じゃないからさ」
    「全部で八人かな」
    「おっけ」
     メールメール、と呟きながらスマホを出す。
     今まで使っていたスマホは学園からの貸与品なので先日返却した。何もせずにそのまま返そうとしたところをオルトに止められ、データ消去の上初期化してから返すようにアドバイスをくれ、さらについでだからとその処理もしてくれた。そして代わりに渡してくれたのが今手元にあるこのスマホだ。「あった方がいいでしょ」とタブレットと併せてプレゼントしてくれたのだ。スマホを返却することでユウと連絡が取れなくなることを案じた彼とその相談を受けたイデアからの卒業祝いなのだそうだ。卒業はできなかったが、ありがたくその厚意に甘えさせていただいている。
     新しいスマホにもたつきながらマスターに連絡のメールを入れる。ユウの就職先はクルーウェルが毎朝通っているカフェだった。
     四年生の必須単位である学外研修。魔法士養成学校に来るインターンの募集は当然のように魔法士であることが前提で、一見魔法と関係ないような企業からのものでも魔力がなく魔法の使えないユウはすべて門前払いだ。仕方がないのでどこでもいいからバイト先なりなんなりを見つけて、それを研修とするという特別緩和措置が取られた。ところがNRCに在籍しているくせに魔法が使えず異世界から来た素性の知れない人間を雇ってその評価をしてくれるようなお人好しな店は、残念ながらない、というのが現実であることを突き付けられただけだった。気の毒そうにはしてくれるけれど、そんなよく分からない人物を自分たちの懐には抱えたくないと考える店主がほとんどだったのだ。
     片っ端から手当たり次第にチャレンジしては砕け散り、四年生に上がる直前の夏休みをほとんど研修先探しに費やして、そろそろ両手両足の指では数え切れなくなった頃、クルーウェルが見かねて口利きをしてくれた。彼がまだNRCに生徒として在学中だった頃からの馴染みの店で、教職に就いて戻ってきた現在もおよそ毎朝通っているカフェ。その店にユウは住み込みのアルバイトとして働き口を得られることになった。カフェといってもベーカリー並みに朝早くからオープンし、スイーツや軽食からクレーンポートで働く男たちの胃袋を満たすようながっつり飯まで揃っていて夜になればお酒も取り扱い、ちょっとしたバルのようにもなる「カフェなの? ダイナーなの?? バルなの???」といった感じの、コーヒーが自慢な何でもありのお店だ。住み込み先はお店の屋根裏部屋で、マスターの休憩室兼簡易宿泊所となっていた場所だった。自宅に帰るのが面倒な時に泊まっていたらしい。休憩室は倉庫として使っている二階の一角に移し、ユウに明け渡してくれた。
     就職に関しても先んじて見せてもらったが、学外研修と同じで魔法士が前提の求人ばかりだった。そんな求人には箸にも棒にもかからないことが分かっていたので、ユウは将来を見据えて研修期間の約九ヶ月間をまじめに働いた。
     店内清掃やルーティーンを把握し、メニューを全部作れるようになるのはもちろんのこと、店に来るガサツなおっちゃんたちにも物怖じせず対応し、常連さんたちとも仲良くなり、酔っ払い相手でもそつなくあしらってお帰り願えるくらい逞しい店員に進化することで卒業後もそのまま雇ってもらえる信頼と実力と実績を積んだ。その過程はマスター以外にもクルーウェルがよく知っている。
     元から常連だった彼はユウが研修を始めてから朝だけでなく夜にも夕飯を食べに来るようになった。口利きをして雇ってもらった手前、何か問題を起こさないか気になっていたのだと思う。朝は近くの桟橋付近でお散歩中のわんこをナンパしていちゃついたあと店に来て紅茶をゆっくり飲んでから出勤し、学校帰り退勤後には夕飯を食べたり、ワインと軽く何かを摘まんだりしてユウやマスターとちょっと喋ってから「おやすみ」と言って帰るという毎日だった。お店でお客様として接するクルーウェルは先生の顔をしておらず、めちゃくちゃ美人でかっこいい、ウィットに富んだ話しやすい近所のお兄さんのようで、こんな先生を自分だけが知ってるのかなと考えたらなんだかひどくこそばゆい。
     場所柄か客層は男性の方が多かったのだが、おかげで去年の秋が終わる辺りからクルーウェル目当てのお姉さま方がちょいちょいご来店くださるということが起きている。遠くから眺めて目の保養に来ているというお姉さまもいれば、彼とよく話しているユウやマスターに探りを入れて情報収集をし、猛禽類のごとく狙いを定めて仕留めようとしているお姉さまもいてちょっと楽しかった。猛禽類系のお姉さまは鷹や梟になるより子犬になった方がクルーウェルの好みなんじゃないかとは思うのだけど、面白いので敢えて言わないでいる。
     そんな感じで去年からお世話になり、この六月からはユウを正規の店員として雇ってくれたマスターから返事が来た。席を取っておいてくれるらしい。八人もまとめて座れるような座席配置はしていないので、ばらばらで座ってもいいかと思っていたがありがたい。
    「予約席作っておいてくれるって。十六時頃行くって言っといた。それでいいよね?」
    「うん、いいんじゃない? みんなにも言っとかなきゃだね」
     卒業式の今日は午前中で終わりだ。このあと最後のホームルームがあって、それが終われば学園生活は終了となる。その後は部活に顔を出したり寮の後輩たちと話したり、それぞれの用事を済ませてから図書館前へ集合しようという話になっていた。そこから街まで下りてご飯を食べたりしばらく遊んだりしたら、まあそれくらいの時間になっているだろう。
     エペルと頷きあっていたらクルーウェルが入室してきた。机の下にスマホを隠しつつグループチャットでみんなに予定を伝える。
    (そういえば、四年間ずっとクルーウェル先生が担任だったなー)
     毎年クラス替えはあるのに不思議なことだ。どのくらいの確率になるのだろうか。
     そんなことを考えながら耳に心地よい声を聴く。
     言っていることはよくある卒業生への餞の言葉だ。教鞭をピシリと鳴らしながら「卒業後も俺の仔犬の名に恥じないよう励め」と言うのはとてもクルーウェルらしかった。ずっと朝晩会っていたけど、手のかかる生徒が無事就職できて懸念事項はなくなったのだからそれも間遠になるのかと思うと少し寂しい。平日の朝──そう、土日も、なんとホリデー中にもずっと彼は来てくれていたのだ──ぐらいは紅茶を飲みに来てくれるといいのだけれど。
    「よくやった。仔犬ども、卒業おめでとう。──では解散」
     その言葉と共に歓声が上がってみんな拳を突き上げたり指笛を鳴らしたりして卒業できたことにはしゃぎだす。その喧騒を縫って「ユウ、グリム。お前らはちょっと魔法薬学室まで来い」と呼び出しを食らった。



    「お前たちにこれを渡そうと思ってな」
     他の生徒たちに渡した卒業証書と一字一句違わない文言がクルーウェルののびやかで流れるように美しい字で書かれた羊皮紙を呼び出した一人と一匹に見せる。本来クロウリーの名前が記される場所にはクルーウェルの名前が、ナイトレイブンカレッジの紋章が捺される部分にはフラスコと肉球の絵を描いておいた。
     ──学園長からこの一人と一匹の処遇を聞いた時、クルーウェルは愕然とした。
     入学許可証を持たないものを入学させることはできない。
     入学していないのだから卒業もできない。
     言っていることは理解できる。だからといって、それは到底納得できることではなかった。
     クルーウェルは知っているのだ。この一人と一匹がどんなに苦労していたのかを。
     他の生徒から魔力がなくて魔法が使えないことを、魔獣であることを馬鹿にされ、揶揄われ、見下され、結構な嫌がらせを受けていたことを知っている。それでも折れず、腐らず、投げ出さず、馬鹿みたいなトラブルに毎度毎度巻きこまれ、ハンデを背負いながら頑張って、努力して、進むことを諦めなかった姿を知っている。
     それを、彼女たちの四年間を、ただの規定ごときに全否定され、なかったことにされるのは我慢ならなかった。そして、「イレギュラーだから仕方ない」とこういう時だけ物わかりのいい顔をして諦めてしまう彼女に腹が立った。
    「ほら、二人ともそこへ並べ。授与式やるぞ」
     理解が追いついていなくてぽかんとする一人と一匹を急かすように並ばせる。
    「ユウ・タカナシ。上記の者は本校に於いて全課程を修了し、卒業したことをここに証する」
     持っていた羊皮紙をくるりと返してユウに渡す。
    「グリム。上記の者は本校に於いて全課程を修了し、卒業したことをここに証する」
     同じくグリムにも羊皮紙を渡すと、クルーウェルは破顔して式典服のフードの上から一人と一匹の頭をわしゃわしゃと撫でた。
    「卒業おめでとう。四年間よく頑張ったな仔犬ども」
     それは何の意味もない紙切れだ。本物を真似て書いただけの、お遊びの証書。それでも自分たちの努力と頑張りを認めてくれた証としてかけがえのないものだった。
     ぼろぼろと涙がこぼれる。手を握りしめたいのに、羊皮紙がくしゃくしゃになるのが嫌で両手で受け取ったままユウはべえべえと泣いた。つられたのか隣でグリムもべしゃべしゃに泣いている。
    「せん、せんせえぇぇ~~~っ」
    「クルーウェル~~~っ」
     うわああんと号泣する一人と一匹を見て声をあげて笑うと、クルーウェルはがっしりとその懐に抱き寄せた。自慢の毛皮に涙と鼻水がつくのも厭わずによしよしと撫で、もふもふの頭とぼさぼさの髪にキスを落とす。

     ────巣立っていく愛しき仔犬どもの道行きに幸多からんことを。

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    ちはや

    DONEデデさんのクル監ウェディングポストがぶっ刺さりすぎて、許可をいただき書きたいとこだけ書きました。
    デフォルト名ユウを使用しています。
    特に何も考えていませんので何でも許せる方向けです。
    デデさんのポストはこちら(ツリーに繋げた部分も最高です)
    https://x.com/dede_twst/status/1891360335145111893

    タイトルはスマブラの発音でお読みください⚗️🌸
    大乱闘クル監ウェディング(一体なんでこんなことになった!? ただのファーストミートだろう!?)
     ウェディングドレスを身に着けた愛しい仔犬の姿を見て喜ぶだけだったはずなのに。
     ほんの十五分前まではこうなる事なんて、クルーウェルは予想だにしていなかった。
     ファーストミートを中庭にて、参列者の前で行う。それだけのことだったはずだ。
     中庭の井戸のところにて控室に繋がる一階の外廊下に背を向け、この後の式でユウが持つブライダルブーケを手にクルーウェルは一人新婦を待っていた。やがて参列者が来た気配がし、いよいよかと期待に胸を膨らませる。ドレスのデザインはクルーウェルが自ら行った。なんならそのまま全部自分で完璧に仕立てたかったのだが、普段の教員としての仕事に結婚式の準備に、とやらなければならないことは山積みで、断腸の思いで一番信頼している以前世話になった服飾メーカーのボスに仕立てを依頼した。最後の最後まで自分で作ると主張してはいたのだが、ユウの「それだとファーストミートの感動が減っちゃうね」という一言であっけなく折れたのだ。
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    『先生、心理戦はお得意ですか?』

    大鍋をかき混ぜながら言う彼女は、魔法が使えないにもかかわらず、群を抜いて魔法薬学の才能に秀でていた。その才能に感心して、自分の監督の下であれば空き時間に自由に魔法薬の調合をしていい、と許可したのはつい先日のこと。

    『心理戦?』

    パタン、と読んでいた本を閉じて大鍋に歩み寄って中身を覗き込み、ほう、と感心する。鍋の中は綺麗な水色に染まっていて、香り高いブランデーのような香りが漂っている。その色と香りは、難易度の高い魔法薬の調合が見事に成功していることを示していた。

    『そう、心理戦です。得意そうですよね、ポーカーとか。』

    『さぁな。』

    ふっ、と微笑んで、もう一度鍋を覗き込み、おや?と今度は首を傾げた。先ほどまで水色に染まっていた薬は、微かに紫色に変色していた。

    『…残念だったな仔犬、今回の調合は失敗だ。
    香りは変わらないから、ほぼ成功と言えるが。』

    『うーん、残念。』

    そう言う割には彼女はあまり残念そうではなく、スンスン、とまるで犬のように香りを嗅ぐ。提出用の試験管にそれを入れて、教室の薄暗い灯りにかざした。

    『これはこれで、綺麗な色です 8067

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