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    umi_twst_D

    DOODLEどむさぶのクル監、進捗

    1900文字ぐらい
     デイヴィス・クルーウェルには悩みがある。
     そう口にすれば、憎たらしい学園長が厭味を放つので、絶対に口にしないと就職前、学生の頃から決めている。付き合いが長いとそんなものだ。
     そんな学園長はさておき、クルーウェルは今日も今日とて悩んでいる。まあ簡単に言えば、可愛い仔犬が懐かない点である。
     嫌われていないのは確かだが、懐いてもいない。良くも悪くも普通、と見て分かる。こっちは本気で好きなのに、愛が一方通行なのは悩ましい話だった。
     と、唯一『頓珍漢』なことも『厭味』も言わない上に、同僚ではあるが立場が違う人物、サムに言えば、充分懐いていると思うと返された。 違う。尊敬しているのは嬉しいが、他の教員と同じなのは悲しい。

     「いや、クルーウェル先生、欲が強すぎないかい?」
     「上を目指さなくてどうする」
     「方向性がなー」

     そんな話をしていると、客が近寄ったらしく、クルーウェルは急いで隠れた。別にクルーウェルがいたとしても問題はないのだが、生徒たちに嫌そうな顔をされるのは避けたい。
     まあ、それにクルーウェルも学生の頃、プライベートに教師に会うのは嫌だったので気持ちは分かる。

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