「シンデレラの君」教室の窓際、春の陽が降り注ぐ午後。
ルカは頬杖をつきながら、斜め前の席
一際静かな少年の姿に、また目を奪われていた。
黒縁のメガネに前髪がかかっている事により、顔の大半が隠れている彼。それでも、その所作ひとつひとつが、言葉では言い表せないほど、綺麗なものだった。
彼を気にするようになったのは、ほんの1週間前の事だった。
席替えで、斜めの席になったあの日から。
今まで気にも留めていなかったその存在を、初めて見つけてしまったから。
静かで、誰とも関わらなくて、ただ勉強ができるだけのクラスメイトだったはずなのに。
斜め後ろというこの距離だからこそ見える、横顔、指先、仕草が、どうしようもなく目を引くもので。
そんなふうに気づけば目で追ってしまっていた。
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