ダイニングで首を傾げ唸る長谷部。
ブブッ、反対側に首を傾げながら腕を組む。
ブブッ、唸りながら首を後ろに反らす。
パチリ、風呂上がりのアイス咥え、唸る長谷部を眺めていた俺と目が合った。
見つめ合ったまま数秒。「あ!」刻まれた眉間の皺がパッと消え姿勢を戻した長谷部の手元から軽快なタイピング音が聞こえ始めた。
棒だけになった元アイスをゴミ箱に捨て長谷部の向かいに座る。長谷部の手元には幾つもの四桁の数字が書かれたメモがあった。「PINコードをド忘れしてな、お前見て思い出せてよかった」耳を赤くした長谷部はパソコン画面に顔をくっつけてそっとメモを手のひらで隠した。
チラリと見えた一番上の数字は大倶利伽羅の誕生日。
真っ先に思いつく四桁の数字が自分の誕生日なのかと、緩む口元を隠しきれない大倶利伽羅。
そして思い出した数字は58916