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    luv_JAMIE_

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    luv_JAMIE_

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    そんな喧嘩はパピーも食わない。2日の落ちてきた中華街は徐々に雰囲気を変え、昼の活気とは別の姿となる。
    鮮やかな色のライトの光が当たり、それは妖しくも魅力的な様子を醸し出していた。

    そこかしこでファイトをする姿も多く目にする。
    流石というべきか、ここがメトロシティの中華街であることがはっきりとわかるようだ。


    そんな喧騒のなか、一人の男が姿を現すだけで、その空気をビッと引き締める。

    そう、ジェイミーだ。
    昼のわだかまりを心に抱えながらも、「俺は俺のやるべきことを」と街のパトロールで通りを歩いていた。

    「あ、ジェイミー!こんばんは」「ようジェイミー、今日の調子はどう?」「この前はありがとうよ!、お礼に一杯やっていかないかい?」
    流石は街のトラブルバスター、いたるところから声がかかる。

    沢山の声がかかるなか、ジェイミーは明るい様子で返事をかえす。
    「おう。調子はいいぜ。お誘いはありがたいが、また今度寄らせてもらうかな。」
    わいわいとした雰囲気の中、ジェイミーは歩を進めるのだった。



    にぎやかな街も静かさを迎え始めた頃、ジェイミーは「いつもの場所」である屋上へと向かった。
    今日は大きな事件もなく街の平和を見届け、あとは雰囲気を見守ろうと考えていた。

    特に今日は、街のことを考えていれば"昼の事"を思い出さずに済むからだった。


    階段を上り、視界が開けたときにジェイミーはいつもと異なる雰囲気に気が付いた。
    いつもいるはずの黄巾族の姿がなかったのだ。

    その代わりに目に入ったのは、大柄な後ろ姿。
    迷彩柄のジャケットに、鮮やかなブルーのジーンズ。キャップを後ろ向きにかぶるその姿に、ジェイミーは見覚えがあった。
    見覚えがあるからこそ、困惑していた。


    今日はもう会いたくなかったからだ。


    後ずさろうとした際に、足音がかすかに出てしまった。
    その音を、後ろ姿の男は聞き逃さない。

    振り向いたのは、ルークであった。
    ルークは一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに柔らかな表情を向けジェイミーに話しかける。

    「よぉ、見回りご苦労さん。酔ってないってことは、大きいトラブルはなかったってことかな。よかったよ。」
    そう言い、柵に背を預けるようにジェイミーに向き直る。
    ねぎらいの言葉をかけてきたのだが、ジェイミーの心中は穏やかでなかった。

    心配をしているという建前、考えないようにしていた「嫉妬」心が思い出されてしまうからだ。
    ライバルと認めていて、実際ファイトすることは楽しいと感じることがある。
    気のいいやつで、生徒やメトロシティを歩けば声をかけられている姿が見られるなど、信頼が厚いのも理解している。そのはずであるがどうしても理解ができないのだ。 

    "こんなにもどす黒い嫉妬の心を抱えているというのに。"

    何故この男はこんなにも隙を見せるのか、その隙に付け込もうとしている者がいるとは微塵も感じていないのではないか。
    今日の件だって、止めなかったら付いて行ってしまっていたのだろう。
    そう考えを巡らせ、黙り込んでいるジェイミーにしびれを切らしたルークが、再び声をかける。

    「あー、昼間の件なんだけど、考えてみたけどやっぱり分からなくてさ。このままもやもやしてるのも良くないと思って、改めて聞きに来たんだよ。」
    そう言い右手で頭をぐしゃぐしゃと掻きながら、少々上目遣い気味にジェイミーを見つめる。
    その姿はさながら子犬のようで、その瞳の奥には、純粋な不安の色が見て取れた。

    そんな姿を見たジェイミーであるが、どうしても強がりな気質が出てしまう。
    返す言葉も飄々としたものになる。
    「説明ったって…脳筋くんには分かんねぇよ。ま、一つ言えるとすれば俺のほうが気遣いも何もかも上って事だな。優しさに感謝しろよ。じゃあな。」
    いまだ屋上入り口で立ち止まっていたジェイミーは片手をヒラヒラと振り、その場を立ち去ろうと踵を返した。

    「待てよ!」
    ジェイミーが階段に目を落としたとほぼ同時に声をかけられ、振っていた手を強く掴まれた。
    ほんの一瞬の間にルークによって腕をつかまれ、その力強さで屋上中央まで引き寄せられる。

    「いてぇよ。」
    「そうやってはぐらかさないでくれ、俺が何かしたなら言って欲しいんだよ。反省する。」
    「別に。謝って欲しいもんでもねぇから。」
    「だとしても、ちゃんとわかるように説明してくれ。頼むよ…」
    そう言うと、ルークの掴む手に一層の力が込められた。


    「分かった分かった。話聞いてやるから、その手、放してくんねぇ?」
    ジェイミーは降参と言わんばかりの表情と声色を浮かべ、問いかける。

    「あ…いきなり掴んで…悪かった。」
    今度は犬耳でも見えるんじゃないかというくらい元気をなくし、再び子犬のようになったルークは手を放して下を向いて立ち尽くす。

    そんな様子を見たジェイミーは、しょうがないなと思いながら、きちんと話をしようと向き直る。
    「とりあえず座って話しようぜ、そっちの椅子に座れよ」
    そう声をかけ、指をさした椅子の隣の椅子に座る。
    いい機会だ、きちんと気持ちに向き合おう。そう心に誓い、話すことを決意した。
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