綺麗な世界で生きていたい(途中)夏でも、雪が降る気候。
そんな山の中の平原に…大の字で横になっている。
城で聞いた、恋人と恋人の同僚の話が…リーバルの耳にはまだ残っている。
『リンクは、まさかまだリトの英傑殿とお付き合いを?』
『何だよそれ、もう振られてると思ったのか?』
『いやいや、もう振ったのかと思ってたさ』
廊下を歩いていて、聞こえて来た…リンクとリンクの同僚の会話。
どうやら、その部屋で…話は繰り広げられている様で。
リーバルは思わず立ち止まり…その話を聞いていた。
『振った?何で俺が振らないとならないんだよ』
リンクの言葉にリーバルは安心したが。
『だって、お前だってこども欲しいだろ?』
『それで、他種族でしかも男と付き合ってたら…こどもなんて望めねえだろ?』
そんな言葉が聞こえて来て。
リーバルは自分の顔が強張った事を自覚した。
『確かに…子供は欲しいかな』
リンクの一言に、リーバルは目を見開き。
慌てて…その場を後にした。
『あ、リーバル様?どちらに』
呼び止める侍女の言葉も無視して城外へ出て…飛び去る。
北へ、北へ…。
雪が降り積もる地帯へ。
こどもはほしい。
彼の願いを、リーバルは…叶える事は難しいから。
泣きながら…遠くへ。
自身に、雪が降り積もって来て。
重さを感じながら、瞳を閉じる。
(流石の僕も…こんな所で寝ちゃったら…凍死しちゃうかな)
真っ白い雪原の中で呑気にそんな事を考えて。
(ああ、でも…次こそは)
綺麗な世界で、生きていたい。
意識が途絶えて。
もう起きる事は無い、そう思っていた。