ネタでしかない「…ごめんなさい」
そう言って泣きそうな顔をした小エビちゃんは何かを堪えるように自分の腕をギュッと握り締めていた。ゆらゆらと瞳を揺らしている小エビちゃんに深く聞くことがどうしても出来ずオレは小さく「そっか…」と言って背中を向けた。
ゆっくりと去っていくフロイド先輩の背中をジッと見つめる。ギュッと握りしめた腕からザラリとした感触が伝わり、ギュッと唇を噛み締めた。
どうして、今日だったのだろう。もっと遅ければ、こんなに苦しくなかったのに。
ほろりと一滴、涙が流れた。頬を伝う涙を拭うとザラリとした感触に絶望する。
「……もう、時間が無い」
私がここ、NRCに来る少し前、私の住んでいた世界で起きた『塩害』それは、人間が塩に変わる怪現象。日本全土で始まったそれは、関東圏の人口を三分の一まで減らし、人々の生活を破壊した。
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