互いの休みが重なる前の日の逢瀬は、もはや馴染んだ感もあって、今夜は壁にプロジェクタで映像の映せる宿泊施設の部屋に身を置いていた。
夜更けに近い時間、軽く夕食を済ませて身を清めて、壁から天井までを見上げるように置かれたローソファーに並んで身を沈める。照明の絞られた部屋は、しかし相手がリモコンでネット配信サービスを繰って選んだ、壁一面に投影されたクラゲ漂う海中の画像で、相対する互いの身体を発光させるようにほの明るい。
部屋の隅に仕込まれているのであろうスピーカーが、ダイバーがプクプクと水中に息を吐き出すかのような、規則正しい音を響かせている。穏やかな立体的な音に包まれていると、自然と意識が緩やかに拡散されていく。
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