かわいい子 陽射しがカーテン越しに差し込んで、ソファに小さな陽だまりができている。最近根詰めて何かの作業をしていた真田は、珍しくその陽だまりの中で猫のように丸くなって昼寝をしている。幸村は持ってきた毛布をそっと真田にかけると、ぼんやりと真田が目を覚ました。
「ゆ、きむら……?」
「真田、起きたの」
俺は出かけるから、もう少し寝ているといいよ。そう言って、真田の前髪を上げて額にキスをする。真田は寝起きでまだまどろみの中にいるのか、ぼんやりと前髪を直す。そして、幸村の方を見たかと思うと、寝起きとは思えない力で幸村を自身の顔の前に手繰り寄せ、唇に口づけた。目を瞑って真田のキスを受け入れた幸村は、昼下がりの幸福を感じていた。
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