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    宇弟×煉→←宇の続きです。今回はR18なので(でもぬるめ)ポイ行き😇

    彼らはシャンパンとカヴァ。 無駄だ、と思うことは嫌いだ。けれど目標があって、それに向かって努力するのは嫌いじゃない。
     手に入れるのが難しいものを望んだら、絶望したり落ち込んでたら始まらない。それこそ、無駄な感傷というヤツ。
     頭を使って考えればいい。どこをどうしたら、欲しい物が少しでも手に入るか。効率良く、確実に。おれはそこが兄と違う。あの人は思慮深いけど臆病者。
     だいたい、0か100で考えるからいけない。最初は50でも、そのうち100になるかもしれないんだ。
     
     愛情だけ、なんて抽象的だろ。肌は重ねてこそ意味がある。
     


     
     
     
     
     
     宇髄家の食卓は賑やかだった。女性が三人も揃うと自然かもしれないが、彼女たちも宇髄も、招いたからには人を楽しませようという精神がある。おかげさまで、思ったよりは気まずくなかった。あとは杏寿郎自身が何も考えずにいればいいだけだ。
     そう。たとえ、好きな男の妻たち目の前にいるとしても。
     おまけに杏寿郎と肉体関係にあるその弟まで隣にいるが、とにかく何も考えない。それだけだ
     考えないで出された料理と酒を楽しめばいい。
     今夜は彼女たちが作った豪華な手料理の他、お祝いとばかりに宇髄はシャンパンを準備していた。
     濃い黄色のシンプルなラベルとは裏腹に、宇髄らしくド派手なのがそのボトルの大きさ。
     マグナムボトル、とかいう大きなワインボトルで、普通の二倍くらいの量らしい。人数が多いと、確かにボトル一本なんてすぐなくなる。今夜みたいな日はうってつけだろう。ただ、大きなボトルは重たそうで、宇髄も注ぐのは大変そうだ。

    「ヴーヴ・クリコのイエローラベルだ。シャンパーニュの中じゃ、俺は一番好きだな」

     宇髄はスパークリングワイン、特にシャンパンが好きだった。泡が強くて、見た目が派手だから、とう彼らしい理由で。しかもフランス語読みで、わざわざシャンパーニュといつも言う。
     杏寿郎はあまり詳しくないから、ヴーヴなんとかの価値も意味もよくわからない。この兄弟は酒には詳しくて、お互いかなりうるさかった。
     
    「あ、俺はいいよ。兄さん」
    「飲まねえのか?」
    「車で来たしね」
    「別に置いて泊まってってもいいぞ」
    「いや、杏寿郎さん送っていかないとね。気にしないで皆さん呑んで」
    「お前、シャンパン好きじゃねえしな」
    「別に嫌いじゃないよ。スパークリングならカヴァの方がコスパ良いってだけ。シャンパンは高いし」
    「相変わらず理由が地味」
     
     呆れながら宇髄はそう言ったが、弟は意に介することなし、とばかりに「なんとでも」と答えただけだった。気を使って雛鶴が「じゃ、炭酸水でも持ってきますね」と言って取りに行った。
     勢いよくグラスの中で回遊する泡を見ながら、杏寿郎は兄弟の言い合いを黙って聞いていた。その間もまきをと須磨から話しかけられていたが、無難に相槌を打つのが精一杯だ。
     
     
     何故なら、ここに来る前の一悶着を思い出して、密かにいたたまれなくなっていたからだ。
     

     

     

     数時間前。
     画廊の個展で宇髄家のホームパーティに急遽呼ばれて、杏寿郎は宇髄の弟に車で送ってもらうことになった。
     
    「兄さんは取材が終わった後で来るから。自宅で先に待ってていいってさ」
    「…そうか」
     
     画廊の入っているビルの、地下駐車場にある白いプリウスが彼の持ち物だ。燃費が良くて下取りも高い、という理由から選んだしい。ちなみに彼の兄は壊れやすい、大きなアメ車のクラシックカーを持っている。車の好みまで彼ら兄弟は対象的だ。
     助手席に座り、シートベルトをつけようとすると、不意打ちのように杏寿郎は手を掴まれた。そして何か言う前に、彼の大きな体は覆いかぶさって、唇を掠めるようにキスされる。
     
    「こんな場所で」
    「俺は構わない」
    「君は良くても、て、おい!」
    「兄さんにバレたくないから?」
     
     言いながら、確実にセクシャルな仕草で太ももを触ってきた。ベルトに手をかけられたところで抵抗するが、覆い被されているとなかなか上手くいかない。
     
    「その割に、物欲しそうに兄さんのこと、 見てたよな?」
    「そんなことは…」
    「自覚ないとか、最悪」
     
     ベルトを外して前を広げられて、問答無用で下着まで下げられる。あまりの早業に恥ずかしさが追いつかなくて、顔から火が出そうなくらい瞬時に恥ずかしくなった。
     しかも彼は、屈んで顔を下げるといきなり出したモノを咥えてきた。
     
    「ひッ…!や、やめ、」
     
     高い声が出そうになって、杏寿郎は思わず手で口元を押さえた。舐めて、強引に強く吸われて、背中がのけぞった。足のつま先が、靴の中でピン、と張るのが分かる。
     こんな、誰が通るか分からない場所。しかも車の中で、という状況は輪をかけて羞恥心が増した。なのに与えられる快感に、杏寿郎の頭は真っ白だ。
     雁首を甘く噛まれ、舌は別の生き物みたいにせわしく動いて、全体的に愛撫してくる。自分の両手で口を塞いでも、それでも耐えきれない声が車内に響いた。それと、セックスの時によく聞く、はしたないリップ音。
     わざと音をたてるようにしているのだろうか。だとしたら本当に意地が悪い。
     やけに響くその音のせいで耳からも辱めを受けている気がした矢先、一層強くペニスを吸われて、杏寿郎はとうとう彼の口の中に吐き出した。
     
     ごくん、と音がまたリアルな聞こえる。
     飲むなんて、最低だ、と杏寿郎は羞恥でプライドが傷つく中、心中で彼を罵った。
     
    「ふざけるな、こんな、こんな…」
     
     もっとひどい罵詈雑言を言いたかったのに、あまりの衝撃と恥ずかしさで口も頭も回らない。しかも当の本人は、口を手で軽く拭ったあと、何もなかったかのように車のエンジンをかけた。
     
    「これで懲りたろ。俺の前で他の男を物欲しそうに見るなよ。腹立つから」
     
     身勝手な台詞を吐いたあと、彼は言葉とは裏腹に優しい手付きで、杏寿郎のシートベルトをわざわざ付けてくれた。
     
     
     
     

     
    「なあ、煉獄。お前はカヴァよりシャンパーニュの方が好きだよな?」
     
     いきなり宇髄から話を振られて、杏寿郎はろくでもない記憶から我に返った。
     いつの間にか皆、料理はあらかた食べ終わり、女性陣は片付けに入っている。
     
    「ん、まあ。というか違いがよく分からないんだが…」
    「フランス産かスペイン産か、の違いだよ」
     
     口を挟んできたのは、杏寿郎の隣に座っている弟の方だった。ワインの代わりに雛鶴が用意していた炭酸水を飲みながら、彼は代わりに疑問に答えてくれた。
     
    「シャンパンもカヴァも、決まった産地の葡萄と決まった製法で作られてる。同じ瓶内二次発酵で泡の強さも一緒。なのにブランド化が進んでるから、品質に差は無くてもシャンパンはカヴァより高い」
    「歴史はシャンパーニュの方が古いしブランド化してんのはメーカーの努力だ。比べたらカヴァの方が地味だろ」
    「そこは好みの問題じゃないか?名声がある派手な方を取るか、地味でも、実利を取るか」
     
     そう言う彼の手が、テーブルの下で杏寿郎の方に伸びてきた。反射的にビクつかないよう、全神経を集中する。
     まるで躾のなっていない駄犬だ。密かに腹の中で怒りが増す。
     
    「つまんねえだろ、それじゃ。お前は遊び心がねえないつも」
    「俺は冷静に物事を判断したいだけ」
    「ふーん」
     
     酔っているせいか、宇髄はいつもよりやたらと弟に絡んでいた。心なしか、怒っているようにすら見える。
     あやうく兄弟ゲンカになりそうな気配だったが、杏寿郎はそれどころではなかった。「冷静に物事を判断している」はずの男が、さっきから杏寿郎の股の付近を触れるか触れないか、弄ぶように動かしているのだ。
     表情や態度に出していない自分を、誰か褒めてくれ、と当てもなく杏寿郎は思った。車でのことも含めて、彼は何かタガが外れたようにしか思えない。
     
    「ところでお前さ」
    「何?」
    「画廊のオーナーが紹介してくれた見合い、どうした?」
     
     杏寿郎は宇髄の言葉を聞いて、反射的に顔を上げた。思わずテーブルの下で悪さしている手を、ぴしゃりと跳ね除ける。
     
    「お見合い、なんて話があったのか?」
    「おうよ。常連客の孫だか姪だかの」
    「ああ、あれね。断ったよ」
     
     なんでもないような口振りで、彼はサラッと答えた。お見合いも、それを断った話も初めて聞いた。
     
    「気乗りしねえか?」
    「いや。恋人がいるって言った」
    「いたのかよ」
     
     いったいいま、どんな気持ちでいればいいのか、杏寿郎は自分でも本当にわからなかった。
     恋人の定義がセックスだとしたら、完全にそれは自分だ。それとも他に誰かいるのか、もしくは適当な嘘か。
     思考がぐるぐると回りだして、混乱するばかりだ。
     
    「まあね。でも、兄さん好みの派手な美人だからあんまり会わせたくないな」
    「俺がお前のモンに手を出すわけねえだろ」
    「逆だよ。兄さんに、あの人の気持ちを持っていかれると困る」
     
     彼は片手で頬杖つくと、実の兄を挑戦的な目つきで見つめた。宇髄も負けじと睨み返す。
     
    「へえ。それは是非、会ってみてえな」
    「だろうね」
     
     縄張り争いのような兄弟喧嘩に「勘弁してくれ」と心の中で叫びながら、杏寿郎はシャンパンのグラスを一気に呑み干す。
     
     宇髄は、勘づいているような気がした。
     
     
     
     
     
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