Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    yctiy9

    @yctiy9

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 63

    yctiy9

    ☆quiet follow

    昔の魔法使いたちのお話

    パンゲア大陸 過去編 その昔、パンゲア大陸では魔法使いたちは人々に虐げられていた。特に不老不死の魔法使いに対する扱いは酷く、中には彼らを「魔物」と揶揄する者もいた。
     魔法使いを忌避する騎士(主人公)は強さ故に周囲から羨望の眼差しを向けられていた。だがある時、戦場で瀕死の重症を負い、死にゆく運命なのだと悟った途端、生に縋る。その願いを聞いた花の精霊ドリュアデスと契約を交わし、一命を取り留めるのであった。快復を喜ぶも、直後、自身が魔法使いになってしまったことに気がつき、その正体を隠して生きようとする。
     ある夜、酒場に訪れた彼はそこで見世物にされている不老不死の魔法使いの少年を見る。自分が魔法使いになったことを他の客に悟られまいと、必死に魔法使いではないフリを装い、一緒になって少年を虐げる。そんな中、一人の狩人が聞いた。
     「その奴隷を買いたい」
     奴隷商人は、まさか魔法使いを買う客がいると思わず、狩人にからかわれているのだと首を横に振る。が、狩人が金の代わりにと出した物を見て、すぐさま態度を変えた。それは売れば一生を遊んで暮らせる、煎じて飲めば万病に効くと言われている竜のツノだった。商人は奴隷を売るよりも儲けると言って、狩人に少年を売った。
     少年を引き取る間際、狩人は商人に聞く。
     「他にも魔法使いの奴隷はいるのか?」
     するとすっかり浮かれた商人は言う。
     「一部の星詠が金を稼ぐために、誘拐した人間をわざわざ魔法使いにさせてるんだ」と。それを聞いた狩人はニコリとだけ笑った。直後、何を思ったか、奴隷の手首に嵌められていた手錠の鎖を切り落とす。随所から小さな悲鳴と戸惑いの声が上がり、あるものは怒号を浴びせるが耳も傾けない。
     「これで君は自由だ。ついてきたいなら来るといい」
     行く当てもない少年は、狩人と共に酒場を後にした。その一部始終を見ていた騎士は狩人を追いかける。魔法使いを自由にさせては、住民が怯えると自身に言って。二人の後をつけ、狭い路地裏に入ったところで、彼は狩人に声をかけた。そして問う。魔法使いが怖くないのか、と。
     「怖いものはない。それよりも君だって魔法使いだろう」
     見抜かれていたのだ。魔法使いを虐げる自身の瞳の奥に、いつか自分もそちら側に立つのかもしれないという恐怖を…。
     
     これは、かつて魔法使いを蔑んできた騎士と、人々に魔法使いたちの存在が受け入れられるまでのお話。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works