君はペテン師⑤の没案「まったく、小人閑居して不善を成す、とはこの事だな。自分を小人と言うのは、心楽しくはないが」
「え、と、カインそのショウジンカンキョシテって、どういう意味だ……?」
「ああ、ロック君には馴染みのない言葉だったかな。人間、暇を持て余すと良くないことをしがちだろう?」
「まあ、確かに」
ロックの脳裏に、休日、ファストフードをお供に日がな一日にテレビゲームに勤しむテリーの姿が浮かぶ。
「だから暇な時こそ、自己を向上させる努力をするべきで、それを怠ると悪い方に向かってしまう。そういう意味だ。一週間程度の先行で、休もうと思った私の慢心が、この様な事態を引き起こしたのだ。本当に申し訳ない。今後は進められる分はどんどん進めて……」
「休めよ!」
「いや、しかしだな。また同じことを繰り返す訳にはいかないだろう?」
「あのさ、そういう時は誰かに話せばいいんじゃねぇ?確かにマフィアのボスって、威厳とか?そういうの大事なんだろうけど、俺は甥だし、部下じゃないから、だから……寂しいとか辛いとか、ちゃんと言えよ。そういうの聞いたってカインが、俺の…………な、叔父さんってことは変わんねぇよ」
耳まで赤く染めて言うロックにだけ聞こえるように、ボックスは囁く。
「ロック、何で大事なとこ省いちゃうの?言ってあげなよ。カイン喜ぶよ」
「わ、わかってる。今度、ちゃんと言うよ」
「