〜妖精が上層部にイタズラしているのを見て腹がよじれそうになる五条〜 (え、なに?どういうこと……?)
五条は困惑した。
上層部との話し合い中、突然現れた奇妙な物体。ふよふよと浮いているその物体は、ちいさくて何故か光っており。襖を通して話している上層部の周りを飛んでいた。
ただそれだけなら、あっ、なんかいるなぁ。おじいちゃんの小言、面倒くさいからちょうど良かったなぁ。……と思えるのだが、
(ちょっと待って。ほんとやめて)
その物体が、おじいちゃんの髪の毛で遊んでいるのだ。
「ぶっ!!!」
「なんじゃ」
「……グフッ、い、いえ……」
言えない。
今あなたの髪、三つ編みにされているなんて。口が裂けても言えない。襖に映る影から三つ編みがどんどん完成されているのがわかり、笑いをこらえるため、必死に腹に力をいれる。がんばれ、僕!!!
(てか、なんで本人は気づかないの?他のおじいちゃん達も)
友達でしょ?
遊ばれているのに知らんぷりするなんて、なんて薄情な。……あ、見えないのか。納得。
完成した三つ編みに満足したのか、頭の上をぴょんぴょん跳ねて遊んでいる。耳の中はやめようね。ばっちぃから。
「はぁー!!!やっと終わった!!!」
いやぁ〜、おもしろいもの見れたなぁ!
ウキウキのまま帰宅。
すると、さっきまでいた物体もなぜか一緒に家の中に入ってきて。
(え、なんで着いてくるの?)
というか、勝手に入るなよ。なんて思っていたら、おかえり!と出迎えてくれた愛しい彼女の肩にとまった。
「どうしたの?」
「……ん?う、ううん。なんでもない」
なにもするなよ。
おじいちゃんは許すけど彼女にイタズラするのは許さないからな。ジトーと睨みつけていると、その視線に気づいた物体が一瞬こちらを見たあと、そのまま彼女のお腹の中へと消えていった。
「…………は?」
え、ちょっと待って。
どういうこと?
アイマスクを外し彼女のお腹を直視。
あ、これマジじゃん。首をかしげている彼女を抱きかかえ同期のもとへ。
「え、ちょっ、どうしたの……!?」
「この目で見えてるけど、一応、硝子に診てもらおうね」
「え?」
どうやら自分達の子どもは、とんでもないイタズラ好きなのだとわかってしまった五条だった。
「ほんと、誰に似たんだか」
おわり。