30日CPチャレンジ【色々CP】1.手をつなぐ【宵若】
ん!!!!
力が入りすぎて血管が浮きでた目に訴えられて、思わず呆れ顔になる。
子供っぽい行動も伸ばした手を見ればわかる。
こんなに、コイツを理解できるようになったのも過ごした時間が濃密なせいだろうと考えながら左手から伝わる温度を噛み締めた。
「昨日のナイトエンド、面白かったよ」
「はあああああああ!????」
すぐに離されてしまったが。
2.抱きしめる
『勝利』の歓喜を示すように強く抱きしめられた。
何重にも重なって体を寄せ合い、「息苦しい」と誰かが呟いても歓喜の輪が崩れることはなかった。チーム一丸の抱擁は中心にいる僕を包み込んだ。
熱い抱擁は君を感じることのできる1つの行為であり、君に想いを馳せる。
痛みも悔しさも悲しみも君を通して経験した。
ひょっとしたら君を憎んだこともあったかもしれない。
それでも、僕は君を裏切ることができずに一途の愛を捧げてきた。
この抱擁が愛のお返しだとしたら、こんなに嬉しいことはない。
僕は君を愛している。
王城×カバディ
終
3.映画を見る【畦彼女】
これから、待ち望んだ彼女と映画を観に行く。
地元にも映画館はあるが、自動車で家族が猛スピードで真っ直ぐな道を駆け抜けても30分以上かかる。
運転免許もない自分には誘うことができずに一緒に観に行くことはなく、もどかしい思いをした。彼女が遊びに来たら一緒に観に行こうと約束してから、ついに、この日を迎えた。
遠くから何時間もかけて来てくれた大好きな彼女が隣にいる。
充分すぎる喜びが畦道相馬を笑顔にさせた。
大事にしよう。
彼の誓いは固かった。
「離せえええッ!!!!全男子のために、ヤツをここで殺さなければならないッ!!!!」
「宵越君、野暮すぎぃ!!」
「テメェらはアレを見て何も思わないのか!!!!?」
「微笑ましいじゃないか!」
「伴まで!何故止める!!?」
「………………(人としてだめです)」
「離せええええええええええッ!!!!」
そのストラグルは固かった。
6.衣装交換【六井】
「体育祭で学ランが必要ってのはわかるが、なんで俺からなんだ?正人から借りれば、いいだろ」
「そんなのお前のを着たいからに決まってるからだろ」
「は?」
「まあ、いい。これは俺のだから、良かったら着てくれ。じゃ」
「えっ、おい、ちょ」
「井浦慶はテレ屋なんだー」
「正人!?テメーいつから!?」
7.コスプレ【王井】*出会って5秒でバトルのコラボ漫画のネタ
某管制室にて
「コスプレってキャラになりきるために、あるよね?
猫耳の帽子といい、尻尾がフリフリしてるのも再現度が高くて僕は好きだよ」
「魅音ちゃんのチャームポイントだからね❤︎」
「しっかり化粧をしてるのも良い」
「魅音ちゃんの口紅付けてあげたからね〜❤︎良い仕事したでしょ☆」
「あのォ。魅音さん、2人の邪魔しないであげて下さい」
「ええー!茶々いれ楽しいじゃな〜い。ヤンのケチ」
「こんなに、こだわっているのに…なんで!?なんで!!!?スカートじゃないの!!!!?」
「むしろ、なんでスカートだと思った?」
「だって!せっかくのコラボだよ!!ちゃんとコスプレすべきだよ!!」
「どうせ見切れるものに、こだわる必要ないだろ。そもそも、俺は嫌だ」
「もう!慶のバカ!わかった!僕が見本見せるからね!
ヤンさん!服貸して!!僕が正しくコスプレして、慶がコスプレしなかったって誠意を込めて、謝るから!
"例のあやまり方"で!」
「おい、コラ。それはやめろ」
「ヒュ〜☆ちなみに例のあやまり方でヤンはパンツ見えてたからね❤︎」
「ヤンさん!服!」
「王城さん、出番です」
「出番?何の?」
「次のカバディ対戦です。体育館の修理が終わりましたので、急ぎ向かって下さい。相手は『であご』からき」
「ヤン、もういないわよ。彼」
「貴方も苦労が耐えなそうね」
「……あれでも、ウチ(能京)のエースなんだ」
「んんー?❤︎違うでしょ☆」
「俺の王子様❤︎でしょ?」
8.買い物【井人】
恒例のカバディ部親睦買い物作戦のため、新入部員を含めて皆んなで買い物に来た。
どんなシューズにするか悩む人見が見えて、簡単なカバディの豆知識とアドバイスをする。
言いはしないが、真剣に聞く後輩は可愛いものである。
「あの、こんなに高い靴、本当に買っても良いんですか?」
「ああ、部費で買うから心配するな」
そうは言っても遠慮がちに心配そうな顔をしている人見に思い当たる節がある。
1万円以上するシューズは買った事がないんだろう。
スポーツでは、このくらいの値段は当たり前で部費もそのためにある。その常識を人見は知らない。付け加えれば、部費が足りない場合には交渉したり脅せばいい認識も人見は知らない。
「さっきも言ったように、怪我しないためにもシューズは必要だ。遠慮する必要はないからな」
「でも、僕に…」
「部員が部費使って悪いことなんてないさ。…去年は助っ人だらけの中で試合してたからな。ありがたいことだよ。助っ人を脅…呼ぶ必要がなくなったのは」
正直、人見は才能のあるやつではない。運動をしてこなかった代償として努力を何倍も強いられている。しかし、人見は今まで知らないかのように根を吐いたりはしなかった。
戦略を考える上で重要な事柄をクリアしている人見を使えないとは決して思わない。たとえフィジカル面が上でも無理矢理脅してきた助っ人よりも強くなろうとする者、勝とうとする者の方が圧倒的に信頼できる。
「あの、カバディを始めた時って、どうでしたか?」
こちらを見上げて人見が言った。
「カバディを始めた当初ねぇ…最初は『泥水』って思ったよ」
「『泥水』?」
最初の一歩は、何も考えずに踏み出した。何度も誘う友人にほだされて、その先の地面を見ようとしなかった。
しっかりとした地面で一歩一歩を確実に踏みしめたかと思っていた。だけど、違った。俺の次の一歩は泥に足元をすくわれていた。
先に行ってしまう友人に追いつこうと必死で追いかけた。アイツの下には薄い綺麗な水があって、それをいとも簡単に、ステップを踏んで楽しそうに向こう側へと行ってしまう。アイツだけじゃなく何人も、あっさりと俺の横をすり抜けて先に行ってしまった。
俺の足元だけが泥だらけの沼地で進めば進むほど体が重くなっていくのを感じた。
次の一歩を踏み出した後に底なし沼じゃないかって、溺れて死んでしまうことも考えた。躊躇してしまうほどに一歩の怖さを知った。同時に踏み出そうとしない自分に憤慨し、無理矢理進んだ。追いつきたかった。ただ、それだけのために、泥水を被ってでも足掻いて前へ進んだ。
そんなことを、ふと思い出した。
人見の地面はどんな感触だったのろうか。先へ行く者に追いつけない悔しさを噛みしてる頃だろうか。
どんなに綺麗な者も沼地に踏み込んだら汚れてしまう。
「汗くさくって、まるで泥水ってこと」
意味がわからないと人見の顔には書いてあったが、気にせずに「これ、いいんじゃないのか?」とシューズを勧めた。
9友達とみんなで遊ぶ【伊水】
*注:モブクラスメイト喋ります
「実は俺たち付き合ってるんだ」
突然の告白に飲んでいたジュースを吹きこぼしてしまった。
ここはカラオケ屋で、気の合うクラスメイトの集まりで、楽しく歌ったり喋ったり盛り上がっていた。
前後の会話は聞いていなかったが、曲の合間のタイミングはピッタリで真の告白だけは、この場にいる全員が耳にした。静まり返った部屋に、続けて不相応なふざけたBGMが鳴り響く。誰も歌い始めようとはしない。
は?えっ?真、どうす「おめでとう!」
「お似合いカップルだ!」
「いやー!本当、伊達っちのボケたがりは最高だね!」
あっ、冗談だと思ったのか。
「水澄、良かったな」
「良くねーよ!!!テメェ、真!何言ってんだ!ジュースこぼしただろうが!」
「照れんな。照れんな。水澄」
「照れてねーよ!!」
内心の安心を隠すために必死で
真は誇らしげにこちらに笑いかけてるが、バレたら、どうするんだ。くそッ、あとで覚えておけ。
「次、水澄の番だぞー!」
「お、おう」
「こりゃ、伊達っちとのデュエットだね!」
「しねぇーから!!!」
「やはり、カバディ部はそうだったのか…」
誰かが呟いた言葉をかき消して、俺は心の動揺を隠すように、シャウトした。
*****
「水澄って良い奴だよねぇ。顔も良いし、背も高いし」
「ああ。良い奴だな」
「なんで彼女いないんだろう?私、アタックしよう、かなー♪」
「いや。すまないが」
「実は俺たち付き合ってるんだ」
13.アイスクリームを食べる【高宵】
「たっつんがアイスクリーム食べてるって何かエロいよね」
「ぶっほっ!!!!!!ゴホッゴホッ!テメェ!いきなり何言ってやがる!!!」
「ええー。言いたくなったから?それとも俺の方がエロいかな?」
「知るかァッ!!!!!!!」
「じゃあ、みんなに聞いてみよう!」
「みんな???」
「おーい!みんなー!」
キャー!!キャー!ピー!ギャーピー!
「…どこからか黄色い声が聞こえる………お前のファンクラブどうなってんだ」
イケメン…!イケメン…!キャッ…!キャッ….!
「アイスを食べた時に、どっちがエロいかな?」
キャアアァアァアァ!!!!!
「阿鼻叫喚すぎて聞こえんぞォッ!」
「わかった!」
「は?今ので聞こえんのか!?」
「たっつんに付いたアイスを俺が食べれば良いんだね〜!」
「はあ!!?えっ、ちょ、やめ…来るな!!」
「逃がさないよ。たっつん」
「アァーーー!!!」
キャアアァアァアァ!!!!!
22.肩を並べて戦う【井?】
能京高校に進学を決めた時から王城正人に頼りきったチームになる予想はしていた。だが、正人に頼りきるだけでは、あの世界組と同格に戦っていけない予想もしていた。
初めの1年は瞬く間に時が過ぎ、結局、正人に頼りきったまま試合が過ぎ去っていった。分かりきったことであったが、どんなにポンテンシャルのある選手でも、ただ脅迫するだけでは人は動かない。ましてや敵もまた勝ちたい気持ちは強く、そのための努力を惜しまなかった。
こっちだって、勝つための努力は惜しまない。けれども、どうしようもなく足りない何かも自覚していた。恐らく、それは己の限界を超えていけば手に入るものではなく、チームとして限界を超えた先に手に入るものであった。個人の惨めで屈辱な感情よりも、能京の勝利のための感情が遥か上を行っていた。
そう、何かが足りなければ補えばいいだけだ。
冬の間、正人が1人スカウトしたと言った。
旅の途中で偶然出会ったようで、正人の誇らしげで嬉しそうな顔を見ると不思議と一安心した。
「彼はきっとカバディが好きになるよ」
正人の妙な自信が何処かで見たことあるなと思った時には、カバディに誘われ時の口説きを思い出した。
すぐに「でも、彼はあと1年後だから」と正人は至極残念そうな顔をした。1年後という事は、俺と正人は3年ということになる。
俺も妙な自信がつくくらい好きになる相手を見つけたいものだ。
水澄を見つけたのは、ちょうど俺が悩んでいた頃であった。偶然撮影係から見つけた逸材は喧嘩早く、カバディをしている姿が目に浮かんだ。さて、どうやって脅そうかと考えた時が、ちょうど画面の中の水澄が人を殴る瞬間であった。
後日、水澄は脅しには屈したが初めて会った時とは考えられないくらいカバディに夢中な姿を見せていた。心の底から楽しむ水澄を見て、チームのビジョンが見えてきた。
1年と同じ過ちを繰り返した夏の大会の後、水澄の誘いで伊達が入部した。伊達は仏頂面で、昔見かけた、どこかの誰かに似ている無気力な雰囲気をまとっていた。
後輩の喧嘩を見ながら、
「京平と真司を見てると
「ああ。俺もだよ」
来年には正人がスカウトした奴がやってくる。合格発表の日にそいつを見つけた。
では、いったい誰が
強いレイダーが必要だった。
それは、きっと俺じゃない。
早々に自覚していた惨めな屈辱が心を傷ませる。
しかし、そんな幼稚な心よりも
また来るかもよ勧誘www
パソコンに打ち込む力がこもる。
これで、俺はお前達と肩を並べられるのだろうか。
これから出会う少年の成長を楽しみにしながら、少し顔が緩んだ。
井浦×能京