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    晴@うどん巫女

    @soudukisei

    成人済みクソオタク

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    晴@うどん巫女

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    こないだからの続きのアイ光。6.0最初ぐらいの話。うちのはつなさんとニャンが話してるだけ。

    シャーレアンへと向かう船の上。甲板に出て、少しひんやりとした潮風を受けながら、徐々に離れていくバイブルランド島を見つめる。海原を進みながら、脳裏に浮かぶのは別れ際のアイメリクの笑顔だった。「行ってきます」と言った私に優しく笑いかけてくれたけれど、その裏に隠されていた寂しさが垣間見えて。旅立つその瞬間まで心配をかけてしまったことが心残りだ。

    「ここにいたのか」

    黄昏れている私に背後から話しかけてきたのは、エスティニアンさんだった。

    「アイメリクとの生活はどうだ?」
    「どうって、言われましても……」
    「まあ、すぐに家を空けては分からんか」

    言いながら彼は私の隣に並び、船の柵に腕を組んで置く。

    「……なんだか、すごく気を遣わせてしまったような気がします」
    「嬢ちゃんが育った国とイシュガルドでは何もかも違うだろう。最初のうちは当たり前じゃないのか」
    「いえ、そうではなくて」

    おそらくエスティニアンさんが言いたいことと、私の考えは違う。

    「私が、いけないんです」

    幸せであればあるほど、怖くなって。素直にアイメリクの好意を受け取れなくなっていった私がいけないのだ。

    「――アイツは、自分の痛みに鈍い」
    「え?」
    「いや、あえて鈍いように振る舞っていると言った方がいいか。国のため、民のためなら、自分のことは後回しにする。そういう男だ」

    俺に弓矢を向けたときもそうだっただろうと言って、エスティニアンさんは遠くを見つめて笑う。その視線の先はすっかり小さくなったバイブルランド島ではなく、もっと違うところ――おそらくは過去に思いを馳せているのだろう。

    「為政者としては立派な心掛けだが、アイツはそうやって一人で心を擦り減らす。俺が言えたことでもないが危なっかしい奴だ。だから、嬢ちゃんと一緒になるって聞いたときは、正直少しホッとした」
    「そうなん、ですか」
    「俺から言うことではないかもしれんがな。この旅が終わったら、ちゃんとアイツのところに帰ってやれ」

    まさかホッとしたなんて彼から聞くなんて予想外だ。私が出会うよりもずっと前からアイメリクのことを知っているエスティニアンさんは、友人として彼の幸せを願っているのだろう。彼の言葉はまるで、私の思いを見透かしたようにも受け取れた。こちらに視線を向けるエスティニアンさんの顔を、まともに見ることができない。

    「ハツナになら、アイメリクを任せられる」
    「エスティニアンさん……」
    「ああ、そう言えば。嬢ちゃんもその呼び方はそろそろやめてくれ。一応、俺も仲間になったつもりなんでね」

    言うだけ言って、エスティニアンさん、もとい、エスティニアンは船内へと去っていく。彼から託されたものがあまりにも重すぎて、私は潮風に晒されながら、ただ呆然と立ち尽くしていた。
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