かきかけ ヴリエス 鱗の話鱗…
あぁ、大したことない。
こっちこい。
塗ってくれるのか?
あぁ、アヒワーンがいなくなってからは塗れていないが、大丈夫だろう
「……ほら、知ってるんだからな? ……羽根広げろ」
「……」
おずおずと言われた通りに後翼を上げた。
そこには鱗が取れ、表皮が見えている箇所がある。鱗が生えかけている部分、今まで手入れをしていなかったせいで傷になっている箇所もあった。
「そんなにここの民が大切か?」
「あぁ、私の大切なものの1つだ」
「……そうか」
恐らく錬金術師が作ったのであろう、缶バケツにたっぷりと入っている軟膏は、人間のサイズではない。それを人間が、竜にどのくらい塗って良いかなど理解できただろうか。
困りながらも数本の指で掬って患部に塗布した。
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