3000年前の話「嗚呼、早くお兄様に逢いたいわ」
宇宙のどこかの白い星で、白く美しい何かがため息混じりに呟いた。
それは形こそヒトのもの。純白の肌に純白の髪。しかし純白の睫毛に縁取られたどこまでも白い瞳と、純白の淡い光を放つその身体が、それがヒトでないことを如実に示している。
純白のそれはもう一度ため息を吐いて、白い星の白い地面をぺたぺたと歩きだす。
「何がいけなかったのかしら、あの日は……あの青い星を白くして、お兄様とワルツを踊ろうと思っていただけなのに。」
生命の溢れる青い星が、何もいなくなって白くなるなんて、とっても素敵な事だと思うのに、と純白は唇を尖らせて不貞腐れる。
「白はこの世でいっとう、とびきりに綺麗な色よ。それなのにどうして怒られたのかしら。」
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