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    igarashi65

    ツイッターに上げる漫画の途中経過が多いと思います。
    倉庫になる可能性も出てきました。

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    POIPOI 43

    igarashi65

    DONE学生→数年後、TS🐶、同棲と呑み会と。
    【100推し 42/100】tκ1zちゃん
    一人称ぼくTStκちゃんがブーム
    騒がしいところは好きじゃない。生まれ持ったこの耳は音を集めることに長けていて、たとえば恋人の泣きそうな声を拾うことだって造作ないけれど、聞きたくないような音までたくさん集めてしまうから。何百人もいる人々の足音、話し声、ビルの上の大きなスクリーンから流れる音。求めてない情報が耳から強制的に入ってくるのは、あまりいい気分じゃない。
     以前雑踏の中で、どうにもうるさい音を遮断したくて一度だけ、耳をぺたとねかせたことがある。隣にいたあの子は少し不思議そうな顔をして、それからぼくの耳をなでてくれたっけ。
     うるさい? ごめんね、静かなとこ行こっか、なんて。
     苦しいのはぼくなのに、悲しそうに眉を下げていた。相手の痛みを、理解しすぎてしまう子だった。

     

     うるさいところはあまり得意じゃない、だから、居酒屋もあまり好きじゃない。酔っ払いは声が大きいし、そこいらで飲まれてるアルコールと泳ぐ煙草の煙にこの鼻が耐えられないから。
     遠くからただよう香りをキャッチして新しいパン屋を見つける優秀な鼻先は、その才を発揮する場所を選ばない。喜んでくれる恋人も隣にはいないから、こんな時は鈍感でもええんにな、と 4900

    igarashi65

    DOODLE1825、TS🐶【tκ1z】
    酔っ払いのずるい大人と若者。
    リゼさんはお酒が好きだ。世間一般に言う酒乱、というものではないけれど、女の人にしては飲む方なんちゃうかな、と思う。ビールに始まって缶チューハイ、ワインまで呑んでもべろべろに酔うわけではないから、相当なんだろう。家族にそこまでの酒豪はいないから、よくわからないけれど。
     出会ってすぐの頃は、ぼくが17歳ということもあって気を遣ってくれてたみたいだけど、最近ではその様子もなくなった。嬉しいと言えば嬉しいし、困ると言えば、少し困ってしまう。だってぼくも、おとこのこやから。

    「リゼさん、」
    「ん~?」
    「リゼさん、近くない?」
    「だってとこちゃんあったかいから」
     
     リゼさんはそう言ってぼくの背中にさす、と顔をすり寄せた。人より優秀な鼻先が、アルコールの香りより先にお風呂上がりの香りを掴んで、それがまた、ぼくを困らせてしまう。

     出会った頃、付き合う前は指一本触れることすらなかなか許可してくれなかったリゼさんは、お付き合いを始めると今までのガードの固さはなんだったのか、と思えるほど距離が近くなった。手を繋いでくれるようになったし、キスだってさせてくれた。お泊りをする時はいっしょのベッドで 1512

    igarashi65

    DOODLETS🐶と姫、学パロ【tklz】
    体育祭の借り物競争に出るtκちゃん
    「ィゼ、いっしょ来て!」

     とこちゃんの、少し低めの声がそう言った瞬間、わたしは一瞬なんのことか理解が追い付かなかった。目の前にとこちゃんの、わたしより大きな手が差し出されている。
     いっしょ来て。だけど、どこに?
     五月の日差しは苛烈で、だけどわたしにはその日差しが当たらない。生徒が待機するテントにいるからじゃない、とこちゃんが、わたしを日差しから遮るように立っていたから。

     とこちゃんを見ていた。借り物競争に出ると言っていたから。トラックを走るとこちゃんは一緒にいた誰よりも脚が早くて、かっこよかった。あまりにとこちゃんがキラキラしてたから、柄にもなく「とこちゃんがんばって!」なんて叫んでしまったほど。
     学年は一つ上なのになぜかわたしの隣にいた笹木さんがにやにやしていて、だけど気が付かないふりをした。どうせあとから揶揄われるんだろうって思ったけど、きらきらしたとこちゃんを見ていたら、胸の内にせりあがってくる感情が抑えられなかったから。なんの感情だったんだろう、わかんない。わかんないけど、胸がきゅう、とした。

     そのきゅうって気持ちをわたしに与えたとこちゃんが、かっこいいとこち 1254