Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    百合菜

    遙かやアンジェで字書きをしています。
    ときどきスタマイ。
    キャラクター紹介ひとりめのキャラにはまりがち。

    こちらでは、完成した話のほか、書きかけの話、連載途中の話、供養の話、進捗なども掲載しております。
    少しでもお楽しみいただけると幸いです。

    ※カップリング・話ごとにタグをつけていますので、よろしければご利用ください

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😊
    POIPOI 72

    百合菜

    ☆quiet follow

    2020年のバレンタイン創作です。
    pixivで掲載していたものの未完に。
    完結させるべくまずはこちらで掲載していきたいと思います。

    「想い重なるまで、あと半歩」の翌年1月の話。
    いつの間にか関さんと玲ちゃんはくっついています。

    冬の寒さで目が覚めた大輔。
    そんな彼が抱いた想いとは。

    ※続きはpixivに掲載しています(完結済)

    ##関玲
    ##2020年バレンタイン創作

    冬の中に感じる春の温もり冬は嫌いだ。
    それは関大輔が子どもの頃に抱いていた感想だった。

    築年数を重ねた部屋の中には寒気が覆い尽し、大輔を襲ってくる。
    暖房設備はあることにはあるのだが、脆弱で寒さを吹き飛ばすには心許ない。
    そもそも母親が女手ひとつで生活を支えているこの家で暖房を使うのは贅沢の範疇に入る。
    寒いときは布団の中で丸まって過ごす。そして、布団の温度が自分の体温と同化するのを感じるのを待つ。
    それが大輔の幼い頃の冬の記憶だった。


    「また、あの夢か……」

    布団と身体の隙間から入り込んできた1月下旬の冷たい空気で大輔は目を覚ます。
    寝起きの悪さを自覚している自分だが、冬はむしろ寒さでいったん目が覚めてしまうことが多い。
    それはもしかすると、物理的に寒さを感じるだけではなく、幼い頃の記憶がよみがえって苦しくなるからかもしれない。

    過去にとらわれている自分に苦笑しつつ、隣で寝息を立てている愛しい女性を見つめる。
    去年の春先からつき合っている女性―泉玲。
    肌を重ねるきっかけをなかなかつかめなかったふたりだが、今はこうして大輔の部屋でともに過ごすことも増えている。
    今日のように寒い日はなおさら。

    夜半まで温もりを分かち合っていたはずであったが、眠りがふたりを割いたらしい。
    すっかり冷えてしまった自分とは対照的に、彼女は暖に包まれていることを示すかのように顔は赤みがかっていた。
    触れれば自分の冷たさで彼女を起こしてしまう。
    そう思って大輔は玲の寝顔を眺めていたが、玲は何かに気がついたのかもしれない。

    「ん……」

    玲が眠りから覚醒しようとしている声。
    そして、玲はうっすらと瞳を開け、そしてぼんやりとした表情で自分の顔を見つめてきていることに大輔は気がつく。

    「すまない、起こしてしまったか」

    大輔の声に反応して、玲は首を横に振る。
    そして、布団の中から両手を差し出し、大輔の手を握ってくる。

    「大輔さん、手が冷たいですね」

    玲の手から温もりが伝わってくるのを感じながら、大輔は昔のことを思い出す。
    自分の母親もこうして手を握っていたことに。

    「どうかしたのですか?」
    「いや、何でもない」

    過去に思考がとらわれていたらしい。
    確かにもう自分の手を握ってくる母はここにはいない。
    だけど、今の自分にはこうして隣で温もりを分かち合える人がいる。
    そんな当たり前のことを忘れそうになった。

    「きゃっ、大輔さん!」

    大輔は玲の身体を抱き締める。
    腕を広げればすっぽりと収まってしまうくらいの小さな身体。
    だけど、大輔の優しさを感じたのか、玲は安心している様子が伝わってくる。

    「もう少しでバレンタインですね」

    玲のくちびるからそんなかわいい言葉が漏れてくる。
    去年は玲に事情があったらしく自分には渡らなかったチョコレート。そんなことを思い出す。
    その分のリベンジをしたいと年明けから玲がはりきっていたのを思い出す。
    そして、そんな様子がかわいく、また自分のために力をふるってくれることが嬉しく思う。

    「そうだね」

    今年のバレンタインデーは日曜日。
    誰にも邪魔されずふたりきりの時間を過ごすこともできるだろう。
    それはどんなに甘美で、そして贅沢な時間なのだろう。
    まだ半月以上先のことなのに想像するだけで胸が満たされるのを感じる。

    ……でも。
    バレンタインまで待たなくても今日もまだ時間はある。
    昨日も求めたけど、やはり足りない。もう少しだけ柔らかい彼女の身体を堪能しても許されるはず。
    そう思いながら大輔は玲のうなじにそっと口づけた。
    これから始める秘め事の開始を告げるために。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    百合菜

    DOODLE地蔵の姿での任務を終えたほたるを待っていたのは、あきれ果てて自分を見つめる光秀の姿であった。
    しかし、それには意外な理由があり!?

    お糸さんや蘭丸も登場しつつ、ほたるちゃんが安土の危険から守るために奮闘するお話です。

    ※イベント直前に体調を崩したため、加筆修正の時間が取れず一部説明が欠ける箇所がございます。
    申し訳ございませんが脳内補完をお願いします🙏
    1.

    「まったく君って言う人は……」

    任務に出ていた私を待っていたのはあきれ果てた瞳で私を見つめる光秀さまの姿。
    私が手にしているのは抱えきれないほどの花に、饅頭や団子などの甘味に酒、さらにはよだれかけや頭巾の数々。

    「地蔵の姿になって山道で立つように、と命じたのは確かに私だけど、だからってここまでお供え物を持って帰るとは思わないじゃない」

    光秀さまのおっしゃることは一理ある。
    私が命じられたのは京から安土へとつながる山道を通るものの中で不審な人物がいないか見張ること。
    最近、安土では奇行に走る男女が増えてきている。
    見たものの話によれば何かを求めているようだが、言語が明瞭ではないため求めているものが何であるかわからず、また原因も特定できないとのことだった。
    6326

    百合菜

    MAIKING遙か4・風千
    「雲居の空」第3章

    風早ED後の話。
    豊葦原で平和に暮らす千尋と風早。
    姉の一ノ姫の婚姻が近づいており、自分も似たような幸せを求めるが、二ノ姫である以上、それは難しくて……

    アシュヴィンとの顔合わせも終わり、ふたりは中つ国へ帰ることに。
    道中、ふたりは寄り道をして蛍の光を鑑賞する。
    すると、風早が衝撃的な言葉を口にする……。
    「雲居の空」第3章~蛍3.

    「蛍…… 綺麗だね」

    常世の国から帰るころには夏の夜とはいえ、すっかり暗くなっていた。帰り道はずっと言葉を交わさないでいたが、宮殿が近づいたころ、あえて千尋は風早とふたりっきりになることにした。さすがにここまで来れば安全だろう、そう思って。

    短い命を輝かせるかのように光を放つ蛍が自分たちの周りを飛び交っている。明かりが灯ったり消えたりするのを見ながら、千尋はアシュヴィンとの会話を風早に話した。

    「そんなことを言ったのですか、アシュヴィンは」

    半分は穏やかな瞳で受け止めているが、半分は苦笑しているようだ。
    苦笑いの理由がわからず、千尋は風早の顔を見つめる。

    「『昔』、あなたが嫁いだとき、全然相手にしてもらえず、あなたはアシュヴィンに文句を言ったのですけどね」
    1381

    recommended works