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    koshikundaisuki

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    12/15 影菅アドベントカレンダーチャレンジ

    プレゼントこの前の撮影帰りの時のように、影山はプレゼントをされる機会が多い。
    そもそもバレー以外に関心がなく、物欲は限りなく無に近い。育った家庭も関係があるのかもしれない。
    影山の家はバレーに理解があり、また両親は共働きで、それなりにゆとりのある家庭だったそうだ。
    遠征の際も「行きます」と即答し、シューズやタオルも綻びかけると新しいものに変わっていた。
    良くも悪くも与えられることを当然として育ってきたのだろう。結果影山はあまり物に執着をしない人間になった。
    新作のシューズやウェアが出ても「今はいいです」と言う。
    現在使用しているものが、まだ使えるからということだった。デザインにも好き嫌いはあれど、こだわりがあるわけではないらしい。

    さらに、影山飛雄は今や「イケメン金メダリスト」「抱かれたいアスリート3年連続1位」という称号を持つ。
    単なるバレーファンに止まらず、影山飛雄個人を好きになるファンが非常に多いのだった。影山が所属しているチームのファンクラブ人数は爆上がりし、試合を見に来た時やバレンタイン、誕生日、またその他諸々のイベントになると大量のファンレターとプレゼントが届く。
    あまりの量の多さに一度チームがまとめて管理し、チェックをしたあとその中の一部を持ち帰っているらしい。
    それでも多い。そしてひとつひとつが、品のない言い方にはなるが高そうなのだ。
    ハイブランドの服、有名なスポーツメーカーの新作ウェア一式、メンズコスメや電化製品等々。影山はそんなものを前にしてもテンションがあがらない。
    使っているところは見るがその価値を理解しているとはいいがたく、一度なんかアル●ーニのカシミアニットにカレーを溢していた。


    そんな人間を恋人にすると、プレゼントという行為のハードルが高くなる。
    俺が節約に節約を重ねて贈ったシューズはファンのプレゼントと被っていたこともある。影山はファンのプレゼントを後輩に渡し、「大切にします」と宣言した通り俺が贈った方をボロボロになるまで履いてくれた。けどわかるよな?そういう問題じゃないんだよ。


    12月は俺にとって試練の月でもある。なんといってもクリスマスのほかに影山の誕生日があるからだ。
    ゆとりのある影山家では「誕生日とクリスマスが一緒」という12月生まれにありがちな祝い方はしなかったらしく、きちんと22日に誕生日会を、25日にはクリスマスパーティをやったという。
    試しに「欲しいものない?」と数か月前から聞いてみたものの、「今は全部新しいので、特にないです」と返ってきた。
    じゃあ暮らしに何か新鮮な何かを、と思うものの、デザインがいい高性能ワイヤレスイヤホンもスマートウォッチも、企業から直々にもらっているらしい。
    みんな、余計なことをしてくれるなよ。恋人の特権侵害ではないのかこれは。血迷った俺は酸素カプセルなんてものを検索したが、置く場所がないうえに純粋に手が届かないものだった。

    装飾品は身に着けない。香水もつけない。特に趣味もない。ハンドクリームはファンからイベントのたびに10本単位でもらっているらしい。
    去年は遠征用のバッグとカシミヤのマフラーにした。その前は財布と万年筆(ちなみに万年筆は使われているところをみたことはない)。
    冬に限定されがちなのもなかなか辛いものがある。影山の誕生日をずらすわけにもいかないので、クリスマスかバレンタインが夏に移動してくれないものだろうか。



    もう誕生日およびクリスマスが2週間前に差し迫った日、俺は実家に帰っていた。
    もう一年前に旅立った祖父の遺品の修理が終わったから、とのことだった。
    弟は腕時計を貰い受け、俺には「孝支に貰ってほしいって言ってたから」とカメラを託された。
    そのまま使うには少し不安なところがあるから、と専門店に見てもらったのだ。

    「デジタルの時代に貰っても俺、使いこなせないと思うよ。デジタルネイティブだから」
    あちこち触って操作を確認しながらそういうと、そばで見ていた母親は「最近は逆にアナログがブームらしいよ。写ルンですって今の子には”エモい”んだって」などという。
    「俺、元々写真撮る方じゃないしなぁ。じいちゃんになんか悪い気がする」
    弟は俺以上にカメラには興味がない。「この時計ならちょっとしたパーティにも使える」と素早く腕時計を持って行った弟の世渡りのうまさを思い出す。
    「いいのよ、あんたがしたいようにして」
    「……例えば、誰かにあげちゃっても?」
    「いいんじゃない。孝支があげてもいいって思えるんなら」
    それは聞きようによっては試されているような言い方ではあったが、母親の顔は穏やかだった。
    ニコッと笑いながら「写真、好きな子がいるの?」と言う。
    俺は首を振った。
    「その人が撮った写真が、見てみたいだけ」

    終わり



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    koshikundaisuki

    DOODLE菅受けワンドロより「あざやか」をお借りした影菅の小話
    雑談「んでな、俺は言ってやったわけ。『いや、それは唐揚げへの解像度低すぎるだろ!』って」

     通常ならここでひと笑い起こるはずだったが、凪。まさに凪。俺はゆっくりと斜め後ろを振り返る。神妙な顔をした影山と目があった。話を聞いていなかったわけではないらしいな、と頷く。
     影山との会話は度々こうなる。例えば昼食を食べたあと「あーもう腹パンパンだわ、パンだけに」と言おうものなら、笑うでもなく、冷たい目を向けてくるでもなく、まじめな顔で「今の、どういう意味ですか?」とか言ってくる。俺が駄洒落を言うときなんて8割何も考えずに口にしてるだけだから、本当はくだらない、と一笑に付してくれるくらいがありがたいのだが、真面目に尋ねられてしまっては俺も誠意をもって「今ランチでパン食ってたじゃん?だからお腹いっぱいなことを『お腹パンパン』って言葉に言い換えてパンと掛けてんだよね」と説明することになる。ギャグは鮮度が命であり、説明なんてしようものなら笑いの神様は死ぬ。解説を聞き、影山は「なるほど」と納得した様子で頷く。その目は「やっぱ菅原さんはすげえ」とでも言いたげに輝いている。影山は感動はしてるが別に笑いはしない。なぜなら笑いの神様はもう死んだからだ。
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    koshikundaisuki

    DOODLEラッキーすけべでお題をいただきました、影菅ノssです
    ラッキースケベ(仮)聞いて欲しい。これは俺の懺悔と、とある追憶の記録だ。

    俺、菅原孝支は宮城県内某所で小学校教諭をしているごく普通の成人男性だ。俺には年下の彼氏がいるのだが、それはそれは可愛く、そして時には大変格好良い男で、バレーボール男子日本代表にも選ばれたトップアスリートである。名前は影山飛雄という。詳しくはWikipediaでも見てほしい。

    愛し愛されかれこれ8年ほど恋人としての関係が続いている。遠距離の時期が長く続いたこともあり、取り立てて大きな事件などは起きなかった俺たちだが、半同棲をはじめて1年半がたつ今、影山を怒らせてしまった。理由はさほど重要ではないので割愛するが、俺自身の不甲斐なさが原因だ。俺は自らの過ちを認めて非礼を詫び、彼の中にあった誤解を解くためそれまでの成り行きを丁寧に説明し、最後に影山を本当に愛していることを伝えて仲直りとなった。焦った。影山が小さな不満を貯め込み、それが表面に漏れてしまうことは珍しくないが、面と向かって不満を爆発させたのはほぼ初めてだったので、俺たちの関係もこれまでかと思った。抱きしめられた影山は落ち着くためにゆっくりと深呼吸をしたあと、シュンとした表情のまま「俺も、すみませんでした」と呟いたのでたまらない気持ちになる。でもそうだよな。長い付き合いだからこそ、きちんとお互いのことを話しいくべきだよな。
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