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    koshikundaisuki

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    ラッキーすけべでお題をいただきました、影菅ノssです

    #影菅
    kagesuga

    ラッキースケベ(仮)聞いて欲しい。これは俺の懺悔と、とある追憶の記録だ。

    俺、菅原孝支は宮城県内某所で小学校教諭をしているごく普通の成人男性だ。俺には年下の彼氏がいるのだが、それはそれは可愛く、そして時には大変格好良い男で、バレーボール男子日本代表にも選ばれたトップアスリートである。名前は影山飛雄という。詳しくはWikipediaでも見てほしい。

    愛し愛されかれこれ8年ほど恋人としての関係が続いている。遠距離の時期が長く続いたこともあり、取り立てて大きな事件などは起きなかった俺たちだが、半同棲をはじめて1年半がたつ今、影山を怒らせてしまった。理由はさほど重要ではないので割愛するが、俺自身の不甲斐なさが原因だ。俺は自らの過ちを認めて非礼を詫び、彼の中にあった誤解を解くためそれまでの成り行きを丁寧に説明し、最後に影山を本当に愛していることを伝えて仲直りとなった。焦った。影山が小さな不満を貯め込み、それが表面に漏れてしまうことは珍しくないが、面と向かって不満を爆発させたのはほぼ初めてだったので、俺たちの関係もこれまでかと思った。抱きしめられた影山は落ち着くためにゆっくりと深呼吸をしたあと、シュンとした表情のまま「俺も、すみませんでした」と呟いたのでたまらない気持ちになる。でもそうだよな。長い付き合いだからこそ、きちんとお互いのことを話しいくべきだよな。

     俺は、影山が謝ることなんてないのだ、と話してから、「せっかくの機会だからもうこの際お互いの気になるところ、嫌なところをちゃんと伝えて直していこう」と言った。もちろん「相手の嫌なところがあったら」なんて話題は、「そんなものない、あなたのすべてを受け入れている」と言わせるための茶番に過ぎない。仲直りの締めのようなものだ。当然、俺は影山のすべてを愛していた。だというのに、当の影山が長考し始めたので、あるんかい、と思った。思ったが、自分が言い出しっぺな以上聞かないわけにもいかず、「いいよ、なんでも言えよ」と投げやりに促した。

    影山は少しだけ迷いを見せたが、意を決したように眉間にしわをよせ「高校のときですけど、」と言い出したので、俺は思わず「高校のとき!?!?」とオウム返しに叫んだ。いつの話だ。もう俺30なんだけど。しかも高校生のときって、俺らはまだただの先輩後輩に過ぎない関係だった。時効だ時効。さすがの俺もムッとしたが、やはり言い出した手前遮ることもできず、腕を組んで続きを促した。以下は影山が語った当時の話になる。


     
    バレー部の部室は狭かった。いや、当時の成績を考えれば立派な部屋を宛がってもらっていたとは思うが、ガタイのいい高校生男子が4、5人も集まればすし詰め状態だ。各々が勝手に持ち込んだ漫画や雑誌などが散らばっていて雑多だったし、ロッカーの扉を開けたまま着替えるものだから、動けるスペースはそう広くはない。1年生たちは謙虚にも自分たちのスペースをきっちりと守って着替えをしていたが、2年、3年にもなればもう我が物顔である。我が物顔で、田中のロッカー前スペースまで占拠して着替えをしていたのが俺だった。誰も文句を言う者はいない。何を話していたのかは影山自身も覚えていないそうなのだが、部活終わりのその日、俺はやたらテンションが高く、大きく身振り手振りで大地や旭と雑談を楽しんでいた。「いや、それがさぁ、」と笑いながら振りかぶった俺の手が、影山のちんこに触れた。直にではないが、今から制服のスラックスを穿こうとするところだったため、ボクサーパンツ越しに割としっかり手が触れた。影山は驚きのあまり固まったそうだ。唖然とする影山に、俺が振り返る。手の甲にしっかりとした肉感を感じたのだろう。自分の手が何にぶつかったのか、その正体を目視で探し、すぐに思い当たった。俺は影山に言った。

     「悪い悪い、ごめんなぁ」



     
    「軽っ」
    「軽いっつーか、何ならそのまま澤村さんたちに話の続きしようとしてましたからね」
    「まあ俺ってそういうとこあったよな」
    「そんなんばっかでしたよ」
    「言いすぎだろ。そこまででもないだろ」
     俺の抗議を無視し、影山は話を続ける。
     

     
    「おいスガ、影山固まってるぞ。なした?」
     大地の言葉に俺は再度影山を振り返った。未だ固まったままの影山を見て、俺は悪びれることなく「ラッキースケベんなっちゃった」と言った、らしい。影山はスラックスを手にしたまま、パクパクと開いたままの口を動かそうとしたが声は出ない。俺はそんな後輩の姿を見て、「ごめんって」と再度(軽薄に)謝罪し、そっと影山の手を取り、こともあろうにまだボタンを留めていないシャツの中に滑り込ませ、「お詫びに俺のおっぱい揉んでいいからさ」と言った。

     影山は今度こそフリーズし、ガチガチになった掌を俺の胸に当てたまま、信じられないという目を向けた。確かに、ボケにしてもひどい。収拾をつけたのは2人の親友だった。大地は「こら、セクハラだぞ」と言って丸めたノートの角で俺の頭をぽかりと叩き、旭は「大丈夫かぁ、影山」と優しく気遣った。影山は消え入りそうな声で「ス……」と返事をし、そのままササっと着替えて逃げるように部室を出ていった。 全然覚えてない。
     



    「ラッキースケベって……そんなこと言うか?最低じゃね?」
    「言いましたよ。でもラッキースケベ?とかよりその後の行動が最悪でした」
    「ご、ごめんなさい……」

     他人事のような言い方にはなるが、15の多感な時期に、気の毒なことである。まだ当時の影山は俺のことを先輩のひとりとしてしか見ていなかっただろうに、とんだ被害を被ってしまった。まさか、当時のトラウマが今につながっているのではないかと不安になって影山の顔をチラリと見たが、そんな俺の心中など気付いてもいない様子で頭を振った。

    「問題は俺がされたことではないです」
    「え……じゃあ何よ」
    「その数週間後、菅原さん同級生にも同じことしてましたよね?」
    「へぇ………?」
     当然覚えていない。影山は呆れた視線を俺に向けた。
    「昼休みの校庭で何人かでふざけてて、菅原さんの手がとある生徒のちんこにぶつかって。ゲラゲラ笑いながら自分のちんこ触らせてました」
     
     俺はついに頭を抱えた。己の愚行を思い出したのだ。確かに一時期、”そういった”コミュニケーションを楽しんでいた。若さゆえの過ちだと思ってほしい。
    じゃれ合いの中で身体のセンシティブな部分に触れてしまったとき、「この助平!訴えてやる!」などとふざける。その際、強制的に自分のセンシティブゾーン(安心してほしい、服の上からだから)を触らせることで痛み分けとする、そういう文化があったのだ。

    お察しの通り、この文化は本当にごく一部にしか根付かなかったし、すぐに廃れた。ゆえに俺もすっかり忘れていたのだが、影山はそのしょうもない青春の0.1秒に、不運にも立ち会ってしまったのだ。

    「触られたことより、触らされたことよりも、あれがすっげえ嫌でした。誰にでも触らせてるのが」
    「はい……あの、もうしません」
    「当たり前っす。でも今もそういう危ういところあるんで。特に飲んだ時とか」
     そんなことはないと思うのだが、そう強く言えるほどの自信もない。
    「わかった、もうしない。気を付ける」
    「そうしてください」
    「もういくらでも影山なら触っていいから。もう揉み放題」
     いい加減説教に飽きた俺は、ふざけて影山の手をTシャツの下に潜り込ませた。その後のことは容易く想像がつくと思う。意味わからんくらい影山に怒られた。


     終わり

     
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    ラッキースケベ(仮)聞いて欲しい。これは俺の懺悔と、とある追憶の記録だ。

    俺、菅原孝支は宮城県内某所で小学校教諭をしているごく普通の成人男性だ。俺には年下の彼氏がいるのだが、それはそれは可愛く、そして時には大変格好良い男で、バレーボール男子日本代表にも選ばれたトップアスリートである。名前は影山飛雄という。詳しくはWikipediaでも見てほしい。

    愛し愛されかれこれ8年ほど恋人としての関係が続いている。遠距離の時期が長く続いたこともあり、取り立てて大きな事件などは起きなかった俺たちだが、半同棲をはじめて1年半がたつ今、影山を怒らせてしまった。理由はさほど重要ではないので割愛するが、俺自身の不甲斐なさが原因だ。俺は自らの過ちを認めて非礼を詫び、彼の中にあった誤解を解くためそれまでの成り行きを丁寧に説明し、最後に影山を本当に愛していることを伝えて仲直りとなった。焦った。影山が小さな不満を貯め込み、それが表面に漏れてしまうことは珍しくないが、面と向かって不満を爆発させたのはほぼ初めてだったので、俺たちの関係もこれまでかと思った。抱きしめられた影山は落ち着くためにゆっくりと深呼吸をしたあと、シュンとした表情のまま「俺も、すみませんでした」と呟いたのでたまらない気持ちになる。でもそうだよな。長い付き合いだからこそ、きちんとお互いのことを話しいくべきだよな。
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