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    kanade_p

    主にすIけIべなお話をするために。
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    書き終わったのを見直しせずにアップするよ。
    最近はお絵描きも楽しいよ。
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    kanade_p

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    記憶喪失のうさかどを書きたいと言ったな!
    書いた!
    そのうちもうちょっと丁寧に書くね。
    りはびりりはびり。

    記憶喪失になった門倉さんのうさかど(?) 目の前の男のことは何も思い出せなかった。
    その男のことだけではない。門倉は事故にあい、記憶の大部分を失っていた。漫画のような話だが、俗にいう記憶喪失という状態のようだった。医者によるとこれは一過性のものらしい。日常生活を送っていくうちに何とかなるかもしれないし、ならないかもしれないもののようだった。どこか他人事のようで、現実感がない。けれど、ありがたいことに自分の名前も分かったし、家の場所も分かった。日常生活に困らない程度には記憶というものがあり、その代わりに特に人に関する記憶がごっそりと抜け落ちていた。けれど記憶を失い病院に入院していた門倉にも、見舞いに来てくれる交友関係があった。友達だといったその男は、相変わらず不運だな門倉、と笑っていた。それでも気を使って心配してくれているのが分かってそれが嬉しかった。上司だと名乗るめちゃくちゃハンサムな妖怪みたいな爺さんも見舞いに来てくれた。その人を目の前にしたら自然と姿勢が伸びて緊張して、体が覚えているというのはこういうことかとそんなことを思った。

     そんな中、その男はいた。見舞い客が途切れたタイミングでどこかひっそりと。
    「僕のことも忘れちゃったんですか」
     そんなことを言うその男が、本当に悲しそうに眉を下げるので門倉はただ焦った。
    そして若く、年の離れたその男が自分の『恋人』だと言った時は腰が抜けるかと思った。自分の指向にわざわざ意識を向けたりはしないが、おそらく自分は女が好きなはずだった。それなのに恋人、こんな年下の同性が恋人。
     門倉の動揺に気づいたのか、その男は寂しそうに目を伏せる。目のふちに光るものが見えて門倉は混乱する。その男のことは思い出せなかった。けれどこのままではいけないとそう思った。傷つけてはいけない、というのとは少し違う。刺激してはいけない、というような、そんな焦りにも、恐れにも似た……。
    「信じられないのも無理ないと思います」
     そう言うとその男はスマホの待ち受け画面を見せてくれた。そこには涎を垂らして寝ている門倉の写真があった。記憶がないのに恥ずかしくなって、スマホから視線を逸らす。こんな写真があるのなら、この男の言うことは本当なのかもしれない。寝顔なんて、よっぽど仲良くないと撮ることなんて出来ないだろう。……本当に?
    「退院ですよね。お祝いしましょ。門倉さんが入院している間もちゃんと掃除しておきましたよ」
     その男は、狸のキーホルダーのついた鍵を見せてくれた。それは門倉の家の鍵と同じもの。
    「僕たち、一緒に暮らしていたんですよ」
    はにかむように、その男が笑う。合鍵をもっているということは、そういうことだろう。にわかには信じがたいが、この男は自分の恋人で、同棲をしていた。今は記憶がないから、混乱に戸惑いもある。けれど、忘れられて一番悲しいのはこの男のはずだ。早く思い出そう。早く思い出さないと。そうしないと……、……?

    「到着ですね」
     門倉の家についた。家に関しては記憶がある。狭いアパート。こじんまりとしながらも、リラックスできる我が家。けれどもやはり、違和感があった。自分の家に、ではない。
    この家は男が二人で住むには狭すぎた。同棲したばかり? この男が転がりこんだばかりなのだろうか。だとしても、食器棚とも呼べないような収納スペースにあるのは一人分の食器だけ。座布団も一枚しか出ていない。洗面所に置いてある歯ブラシも一つだけだった。この家には『一人分』の気配しかなかった。恋人と同棲しているはずのこの家に、その男の気配が、ない。
    「どうして忘れちゃったんですか、門倉さん」
     その男はそう言いながら後ろ手で鍵をかけた。器用にチェーンロックまでかけながらその男は笑う。
    「でもこれで、ようやく貴方は僕のものになったんですね」
     頬を上気させた『宇佐美』がとろけるような表情で笑う。右手にはハンマーが握られていた。違う。違った。この男は。
    振りかぶられたそれが、門倉目掛けて振り下ろされて、そして──
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    kanade_p

    REHABILI記憶喪失のうさかどを書きたいと言ったな!
    書いた!
    そのうちもうちょっと丁寧に書くね。
    りはびりりはびり。
    記憶喪失になった門倉さんのうさかど(?) 目の前の男のことは何も思い出せなかった。
    その男のことだけではない。門倉は事故にあい、記憶の大部分を失っていた。漫画のような話だが、俗にいう記憶喪失という状態のようだった。医者によるとこれは一過性のものらしい。日常生活を送っていくうちに何とかなるかもしれないし、ならないかもしれないもののようだった。どこか他人事のようで、現実感がない。けれど、ありがたいことに自分の名前も分かったし、家の場所も分かった。日常生活に困らない程度には記憶というものがあり、その代わりに特に人に関する記憶がごっそりと抜け落ちていた。けれど記憶を失い病院に入院していた門倉にも、見舞いに来てくれる交友関係があった。友達だといったその男は、相変わらず不運だな門倉、と笑っていた。それでも気を使って心配してくれているのが分かってそれが嬉しかった。上司だと名乗るめちゃくちゃハンサムな妖怪みたいな爺さんも見舞いに来てくれた。その人を目の前にしたら自然と姿勢が伸びて緊張して、体が覚えているというのはこういうことかとそんなことを思った。
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