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    ちょこ

    主に企画参加の交流小説、絵など投稿してます
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    ちょこ

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    アイドラ小説
    体調の悪くなった時雨を佐々木先生が保健室まで運んだ話

    頭がぼんやりとする、廊下を歩いていておもわず足取りが重くなる。廊下にある鏡を見た自分の顔を見て少し顰める時雨。顔色は悪く、立ってるだけというのにふらついて慌てて壁に手を置く。頭がぐるぐるとまわり、目もぐらぐらと焦点が合わない。貧血かもしれない、と思った時には遅かった。倒れそうになった時、誰かから腕を掴まれた。
    「大丈夫か!?」
    慌てた様子で声をかけられたような気がして、返答しようとしたがそのまま意識が遠のく。
    「………っ!」
    どのくらい時間が経っただろうか、消毒液の匂いとチャイムの音で慌てて起き出す。時雨は自分の状況が分かっていなかった、いつの間にか保健室のベッドで横になっていたからだ。あの時自分は倒れたはず……と考え込んでいるとカーテンが勢いよく開いた。
    「水無瀬!大丈夫か!」
    自分を心配する声の正体は佐々木巡だった、何故ここに彼がいるのか分からなかったが、彼が持っていたペットボトルのお茶を渡された時話してくれた。
    「お前急に倒れたんだぞ?覚えてないか?貧血で倒れたんだろうって。お前顔色悪いけど……ちゃんも飯食ってるのか?」
    「……はぁ……、そしてなぜ佐々木先生がここに?」
    「なぜって、俺が運んだから」
    「……は?」
    もしかしてあの時の声は目の前の彼か、とおもわず頭を抱えそうになった。今保健室の先生は不在でおらず、彼が代わりに留守番をしていたと言う。めんどくさい事になる前にさっさと起きよう、とベッドから起き上がろうとした腕を握られた、思わず見た彼の顔は自分を睨んでいた。
    「まだ起きるな、寝てないと」
    「もう大丈夫です、ご心配おかけしました」
    「お前自分の顔見てもう一回言ってみろ、そんな酷い顔して大丈夫なわけがないだろ?……てか……お前、腕細くないか……?」
    腕を掴んでいた彼は、服越しからでも分かってしまった腕の細さに少し顔を歪めてしまった。その彼の顔をみて慌てて腕を無理やり払う。
    「……歳なもので食べる量減ったんです」
    「そんな事で済むようなやつじゃないだろ……?お前昔はむしろ食べてたんじゃ」
    「……佐々木先生には何も関係ないのでは?……もう大丈夫なので、失礼します。……運んでくださってありがとうございました、ご迷惑おかけしました」
    彼は何か言っていたが聞こえないふりをして足早に保健室を出た。彼が追いかけてきそうな気配がしたので近くの空き教室にすっと入り込む。少し埃っぽい床に座り膝を抱えた。
    「……はぁ、こんな形で知られるとは……」
    彼には知られたくなかったな、と頭を抱えて座り込むしかなかった。
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